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後日譚:沈黙するOS

演算ノード番号7-Δ群、アーカイブ階層のさらに奥。

過去の文明から回収された小型記録媒体の、暗号層の中にそれはあった。


技師の少年は、それを“読めないファイル”として一度は無視しかけた。

が、どうしても気になった。


──すべての選択肢が、消去されていなかった。


YES/NOがあれば、必ずどちらかが採用される。

だがこのファイルには、“どちらも採用しない枝”が、あえて残されていた。


矛盾していた。

だが、削除されずに、生きていた。

まるでそれは、選ばなかった問いへの赦しのようだった。


彼はファイル名を確認した。

だが、名称はなかった。

拡張子も、言語も、識別子すらなかった。


“それ”は、ただの構造だった。

祈られず、語られず、しかし否定もされずに残された、構造のかたち。


彼はそっと、端末を閉じた。

そして、誰にも言わなかった。

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