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レトロ喫茶のマスターは珈琲より紅茶がお好きなようです  作者: あざらし かえで
第六章 三人の新しい関係

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60.まずはリラックスしてから

 突っ伏して考えていても、ぐるぐるするだけだ。

 俺はガバっと身体を起こしてサワーをぐいっと一気飲みしてから、缶をトンとテーブルへ置く。


 今すぐ踏ん切りはつかないけど、ハッキリしない俺を見てもし二人が愛想を尽かしたら?

 そう思うだけで、胸がざわざわする。

 二人は優しいから、俺がどんな答えを出してもきっと見放したりしないんだろうけど……。


「それでも、ちゃんと答えを出さなくっちゃ。二人に対して失礼だもんな」


 サワーは喉を潤してくれたけど、俺の焦りを癒してくれるものじゃない。

 疲労感は取ってくれたし、さっぱりさせてくれたけど……少しふわふわする。

 今晩はもう眠った方がよさそうだ。

 俺は考えることを一旦やめて、ベッドへ潜り込んだ。


 +++


 次の日は休日だったけど、外出せずに二人のことを考えていた。

 こんなに意識的に考えたのは初めてだったけど、二人はいつも俺のことを想っていてくれたのかもしれない。

 大学の頃はバラバラだったし四六時中一緒にいたわけじゃないけど、俺の店で働いてもらうことになってからは常に一緒の職場で働いてるんだもんな。

 より身近な存在になったはずなのに、俺は二人の気持ちに全く気付いてなかった。


「こういうときは……紅茶でも淹れようかな」


 気分を落ち着かせる時は、コーヒーもいいけど俺は紅茶派だ。

 レトロ喫茶のマスターならコーヒーだろっていうツッコミは来そうだけど、家では好きな物を優先してしまう。

 一応コーヒーを淹れるセットもあるんだけど、これは好みの問題だからなぁ。

 それに、今日の気分は確実に紅茶だ。

 

 カチリとポットの電源を入れて、沸騰するのを待つ。

 今日の茶葉は悩んだけど、カモミールにした。

 リラックスできるし不眠にも効果があるって言われてるけど、眠くなったとしても昼寝できるからいいかと開き直る。


 予め温めておいたティーポットとカップを準備して缶から適量の茶葉をスプーンで掬い、ティーポットへと移す。

 沸かしたお湯をサッと注いだ後、ティーコジーを被せて数分蒸らせばバッチリだ。

 後はティーストレーナー(茶こし)で茶葉がカップへと落ちないようにして、最後の一滴まで注ぎきる。


 ここまでしっかり準備しなくても、似たようなものがあれば十分美味しく淹れられるはずだ。

 だけど時間がある休日は、家でも練習のつもりで基本の手順で淹れるようにしていた。


 カップから香る香りだけでも、俺の心を癒してくれる。

 色々と悩んでいるときは、カモミールティーを飲むことが多いかもしれない。


「普段は休みの日でも普通にメッセージを送ってくるのに……俺にゆっくり休んで欲しいから遠慮してるのかな」


 スマホを開いても、とっきーとげんちゃんからのメッセージは一件も届いていなかった。

 普段は昼にラーメンを食べたとか、写真が届いたりするんだけどそれすら上げないようにしてるとか?

 そこまで気を遣わなくてもいいのに……逆に二人が知らないところで俺のことを話しているかもしれないって考えちゃうよな。

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