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レトロ喫茶のマスターは珈琲より紅茶がお好きなようです  作者: あざらし かえで
第六章 三人の新しい関係

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58.俺の気持ちは

 二人が俺のことを恋愛対象として見ていただなんて、全く気付かなかった。

 確かに最近過保護が増してきてるよなとは思ってたけど、俺のことが好きだから北條さんのことも牽制してたってことなんだよな。


蒼樹(あおい)、顔が赤くなってる」

「今更そんなに恥ずかしがるなって! っつーか、俺らの前でそんな顔するのは逆効果だぞ?」


 食べちゃうぞ? って、とっきーは軽口叩いてくるけど……目線がやや本気だから勘弁してほしい。

 俺、まだ抱かれてもいいだなんて返事してない。

 だけど、俺のことが好きって聞いた後だと食べるっていう意味も少し違う意味に聞こえてきちゃうんだよな。

 とっきーに軽い気持ちでいいよだなんて言ったら、遠慮なく来るに決まってる。

 さすがに俺の心の準備ができてない。


鷺羽(ときは)、蒼樹にひかれてるぞ」

「え、なんで?」

「とっきー……急に迫られても怖いって。圧を感じる」


 俺が困った顔を向けると、とっきーがショックを受けた表情でシクシクとわざとらしく泣く真似をし始めた。


「いや、だってとっきーの目が怖いって」

「ひどくね?」

「鷺羽の欲望がにじみ出てるな。蒼樹、危ないから離れろ」


 俺がげんちゃんの後ろにささっと隠れると、とっきーがイラっとした顔でげんちゃんに襲い掛かった。

 でも、げんちゃんの方が力も強いからびくともしない。


「おい、玄暉(げんき)! ふざけんなって!」

「俺は蒼樹を守ってるだけだ。まだ蒼樹から返事をもらってないのに調子にのるな」

「なんだよそれ!」


 とっきーは文句を言ってグイグイげんちゃんを押し込んでるみたいだけど、げんちゃんはやっぱり一歩も動かない。


「やっぱりげんちゃんは安心だなー」

「毎回そうだけど、蒼樹ってなんでそんなに玄暉贔屓なんだよ……温度差があるよな?」

「いやだって、とっきーだから」

「だな」


 いつものやり取りをすると俺は安心するんだけど、とっきーが本当に寂しがってたら可愛そうだよな。

 そろそろフォローしてあげないと。


「とっきーだから、俺も素を出してるんだよ。他の人にこんな失礼なことできないって」

「蒼樹、それ慰めになってないからな。俺はもっと蒼樹とイチャイチャしたいってのに」

「鷺羽、その言い方がよくないんじゃないか? 蒼樹が安心できないのはお前の振る舞いのせいだろう」


 げんちゃんが身も蓋もないことを言うから、とっきーも言い返せなくなってる。

 俺は二人のやり取りを見ながら笑いがこみ上げてくる。

 ごめんごめんと謝りながら二人を見ると、今度は二人が笑顔を返してくれた。

 

「うん。なんか安心した。その……恋人みたいな感じはまだ無理かもしれないけど、俺は二人と一緒にいるときが一番楽しい」

「蒼樹……」

「蒼樹、その顔は反則だって。ワザとやってるだろ? はぁ……毒気抜かれちゃうんだよなーもう」


 とっきーも一応は納得してくれたみたいだし、もう少しこのままの関係で甘えていても許してもらえそうだ。

 勿論、後回しにするつもりはないんだけど……俺は三人で一緒にいたい気持ちが強いんだって改めて思う。

 だからこそ、自分の気持ちときちんと向き合わないとな。

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