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レトロ喫茶のマスターは珈琲より紅茶がお好きなようです  作者: あざらし かえで
第六章 三人の新しい関係

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56.真剣な表情のとっきー

 げんちゃんは俺たちから一歩離れて、見守るように両腕を組んでブランコの支柱に身体を預けた。

 まるで、見届人みたいな感じだ。

 

 対してとっきーは真剣な表情のままだ。

 こういう時は俺に対して怒ってることが多いんだけど、今回は何だか緊張してるみたいだな。


蒼樹(あおい)は一生気付かなさそうだから、いつ言おうか迷ってたんだよな。だけど、今回みたいに誰かにとられそうになるくらいならこの関係性が崩れるとしても言うわ」

「崩れるって……今更だろ。それに最近俺に対して過保護みたいだけど、とっきーのことを放ってどこかに行ったりしないって」

「……それは分かってる。だけど、俺はそれだけじゃもう、我慢できない」


 とっきーがじっと俺を見つめてくる。

 不機嫌な目線じゃないし、むしろ熱がこもっている感じだ。

 とっきーが熱くなる時は、心の底から真剣に何かを伝えようとしているときなんだけど俺に何を言おうとしているんだろう?


「別に我慢なんてしなくても……」

「蒼樹、俺はずっと蒼樹のことが好きだった。もちろん今もだ」

「え……うん、ありがとう?」


 とっきーに嫌われてないことは知ってるけど、何かがおかしい。

 俺の気の抜けたような返事を聞いて、とっきーはぐいっと俺の腕を引いて俺のことをぎゅうっと抱きしめてきた。


「とっきー?」

「この反応は予想してた。だから、本当はもっと実力行使に出たいくらいだ。でも、玄暉(げんき)の前でするのはルール違反だよな」

「だから、何を言って……」


 とっきーは俺を一旦開放すると、今度は俺の頬を両手で包んで額を突き合わせてきた。


「だから、蒼樹のことが好きなんだよ。今すぐキスしたい」

「は……? え、今なんて?」


 とっきーはフッと笑んで、俺の額にちゅっと唇を触れさせた。

 スキンシップにしても過剰な気がするんだけど、とっきーが俺を見つめる視線は熱がこもったままだ。


「なんでキス……」

「あのさあ、ここまで言っても分かんない? 本当は唇にキスしたいんだけどな。それはまた今度。さすがに返事も聞いてないのにするのは反則だろうし」

「だって、俺は男だし。なのに俺にキスしたいっていうのは……」


 俺が軽くパニックになってると、見守っていたげんちゃんが俺たちの方へ近づいてきた。

 今度はとっきーが一歩離れると、げんちゃんが俺の側に来て優しく微笑んだ。


「蒼樹が困惑するのも無理はない。だけど、鷺羽(ときは)が言っていることは事実だ。そして、俺も同じ気持ちだ」


 げんちゃんが笑ってくれるのは俺の前が多いよなとは思ってたけど、それは俺に心を許してくれるからであって幼なじみだからだと信じて疑わなかった。

 だけど、二人とも同じ気持ちってどういうことだ?

 とっきーが言っていることを聞いてから、心臓のバクバクが止まらない。

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