39.噂は確実みたいで
商店街は関係ないと信じたいけど、自治会長さんがわざわざ俺に話したってことはそういうことだよな?
緊張しながら話の続きを待つ。
「会長さん、まさか商店街がなくなるっていう話じゃないだろうな?」
「そのまさかだって言ったらどうするよ?」
「あぁ……やっぱりそうなんですね。折角軌道に乗ってきたのに、立ち退きを迫られたりするんでしょうか」
カウンターの空気が一気に重くなってしまう。
この古き良き雰囲気の商店街が好きなのに、面影も全部なくなってしまうのは悲しいよな。
どういうつもりなんだろう? とにかく詳しい話を聞いてみないとな。
「会長さんは再開発の話を誰から聞いたんですか?」
「私はその再開発するっていう会社の人間と会った人から聞いたんだよ。店を買わせてくれないかっていう提案らしいが……要は立ち退きの提案だろう?」
「この辺りを買い上げて新たな施設に作り直すということでしょうか……」
お客さんの前で不安な顔をしてはいけないんだけど、つい顔に出てしまった。
通りがかったとっきーが俺の顔を見て、すぐに側へ来てくれる。
「蒼樹……いや、マスターか。どうした?」
「ごめん、顔に出ちゃってたか。後でちゃんと話すよ。今は仕事に集中しないとね」
「それならいいけど。具合悪い訳じゃないんだよな?」
「大丈夫。ありがとう」
とっきーと小声で短いやり取りだけをしてから、俺も仕事に専念しようとコーヒーのお代わりを目の前の二人へ勧めた。
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店を閉めた後、話があるからと伝えておいたのでとっきーとげんちゃんが俺の前へ腰かけてくれた。
げんちゃんは俺の表情が冴えないことを心配してくれて、お茶菓子になればとチョコレートケーキを用意してくれた。
店でも定番で出しているものだけど、げんちゃんのケーキは味のバランスが凄くいいんだよな。
「今日の茶葉は……アッサムでいいか」
「俺は何でもいいよ。それより、蒼樹が気にしてた話を聞かせてもらわないとな」
とっきーはカウンターに頬杖をついて、俺の顔をじっと見つめてくる。
その視線から逃れるつもりはないんだけど、急に話せと言われても話づらいな。
「蒼樹、さっきから元気がないみたいだけど大丈夫か?」
「大丈夫。話を聞いてからどうしようかって悩んじゃったからさ。でも、二人のも聞いてもらわなくちゃいけない大事な話だ」
喉が渇く前にカップを持ち上げて一口飲んでから、げんちゃんととっきーをじっと見つめる。
二人ともプラコレの大切なメンバーだからこそ、ちゃんと伝えないとな。




