28.休日は何をしよう?
今日は休日。
俺にとっては久しぶりの休日だ。
店自体は木曜日を定休日にしているんだけど、俺は軌道に乗るまではと休日もこっそり店へ行って作業をしていた。
だから、俺にとって店へ行かずにのんびりできるのは久しぶりだった。
何しようか全く考えてなかったからゆっくり寝てたんだけど、突然のコール音に叩き起こされる。
「……もしもし」
「蒼樹、もしかして寝てた?」
「ん。今起こされた……ふわぁ……」
まだ頭が起きてないけど、この声はとっきーだな。
改めて時計を見ると、今は八時過ぎだ。
とっきー昨日飲みに行ってた割には、活動時間早いな。
「どうせ起きるの早いとか思ったんだろ? 普通だからな、普通。俺起きたのは七時だし。蒼樹が起きるの遅めなだけだから」
「そうだね。そうですね」
「返事が適当すぎる。まあ、いいけど。蒼樹、今日ヒマだろ?」
とっきーは俺のことなんておかまいなしで話しかけてくる。
今日は家でゆっくりしようとしてたし、予定もないから暇だけど……とっきーと話している間も欠伸が止まらない。
「何、なんかやりたいことでもある?」
「折角だから、レトロ喫茶の視察に行こうぜ。仕方ないから玄暉も誘うか。どうせ休みの日も筋トレしか予定ないだろ」
「仕方ないからって……げんちゃん多趣味だから、一緒に行けるか分かんないけど。メニューの視察するつもりなら、一緒に行く方がいいでしょ」
「それもそうか。蒼樹と二人で行きたかったけど、店のためなら仕方ないよな」
とっきーは何を言ってるんだか。
視察っていう名目なら、三人で行くべきだろ。
朝から起こされちゃったし、今日はとっきーの言うことに従って視察にでかけますか。
「とっきーはどっか行く当てあるんだよね?」
「いや、まあ。これから調べてみるけど。調べてる間に、蒼樹から玄暉誘っておいて。蒼樹が言えばアイツはすぐ駆けつけるだろ」
「げんちゃんは優しいから来てくれるだろうけどさ。じゃあ、俺支度するからあとでね」
「おー。ちゃんと顔洗うんだぞ」
とっきーはどうでもいいことを言いながら電話を切ったから、俺もスマホをテーブルへ置いて洗面所へ向かう。
ホント変なところは気にするっていうか。
心配の仕方が母親みたいなんだよな。
俺は支度をしてからげんちゃんに連絡を取る。
げんちゃんは予想通り筋トレしてたみたいで、シャワーを浴びたら車で拾ってくれるって言ってた。
運転も上手いし、安心して任せられる。
とっきーにも連絡したから、後はげんちゃんの到着を待つだけだ。
このところ店で忙しくしてたし、三人で朝から外出とか久しぶりだよな。
さっきまでは眠いだけだったけど、だんだん楽しみになってきた。




