77 おかえりとただいま、そして
「んァ……?」
阿沙賀が目覚めればそこは教室。机ではなく床に仰向けにされている。
見覚えのある天井から体を起こし視線を前へ――黒板が見える。
迷亭の亜空間であるとそこで察し、自らの生存と他のメンツの無事を理解。
「あー」
すこし我が身を調べるも、おおかた問題はなさそうだ。
痛みもない。怪我はすべて巻き戻してもらえたらしい。
ちょっと安堵。ほっとかれる可能性もあったにはあった。
だが随分と気だるく、気力も萎えて座している態勢でも非常に大儀。極度の疲労困憊が圧し掛かっている。
これは巻き戻らない形なきもの、精神的なダメージなのだろう。
「だるぅ……」
と、言葉を漏らせば電撃的に反応する者がある。
全員で阿沙賀を背になにやら話し合っていたようだが、振り返っては飛び掛かって来る甲高い声がふたつ。
「契約者様! お目覚めになられましたのね!」
「あっ、ああ阿沙賀ー!」
同じ方向からニュギスとシトリーが喚きながら阿沙賀に駆け寄り、そしてぶつかった。
ふたりとも魔力がほとんど残っていないため、本当に少女の見た目通りにしか力がなくなっている。
わきゃ、と妙な鳴き声とともにぶっ倒れ、すぐに起き上がっては邪魔な女に罵倒をぶつける。
「この! 根暗、貴女邪魔ですのよ、どこへなりと消えてくださいませ!」
「じゃっ、邪魔はお前だ不細工! あっ、阿沙賀! 阿沙賀が生きてたんだぞ、邪魔するな!」
わーきゃー言い合うふたりを放っておいて、するりと近寄ってきたのは満面笑顔の仮面を被った悪魔、コワントである。
「おぉ阿沙賀よくぞ生きておった、賭けはわしの勝ちのようだなぁ!」
「いや誰と賭けてたんだよ、ていうかなんだその福笑いの失敗したみたいな仮面は」
「満面笑顔の面だ。これを被るのは稀なんだぞ? わははは!」
「知るか、笑うな、声でけェ」
「わははははー!」
いやほんと、気だるさにうるささが混じると気分悪くなるんだわ……二日酔いってこんな感じか?
聞いちゃいないしバンバン肩を叩かれる。なにをそんな上機嫌になっているのだろう、酒盛りでもしていたのか。こっちは未成年だぞ。
していると今度はフルネウス。やっぱり楽し気に。
「阿沙賀よぉ、お前ほんとタイミングばっちりすぎだろ。出待ちか? 出待ちしてたんか?」
「なわけねェだろ、全力疾走で来たわ。疲れたわ」
「風呂に入ってたって言ったじゃねぇーか」
「場を和ますためのジョークだよ!」
流石に火急の急場にそんな悠長なことはしていない。
いや、わかってたよね? まさか本気にしてないよね?
するとフルネウスはなにかに気づいたように震えあがって。
「えっ。じゃあお前、一か月風呂入ってないのか? きったね」
「銭湯くらい行ってたわァ!」
なんなんだよ、そのクソほどどうでもいい煽りはよ。しょうもなさ過ぎて頭くらくらしてきたぞ。悪口でもいいから好きな子に関わりたい小学生男児かオメェは。
げらげら笑って楽しそうにしやがって、こっちはさほど面白くもない。
あぁもうまったく。
殴りかかりたいのにだるさが全身を支配してできそうもない。腹立ちは増すのにやる気は湧かない。
なんだこの新手の拷問は。
なにやら妙にテンションの高く浮かれた悪魔どもが面倒で、阿沙賀はさっさとこの場を辞することを選ぶ。
「あーうぜェ! もう帰せよ、迷亭!?」
迷亭に命じた試胆会における特権――彼女の領域からの帰還を要請すれば、彼女は阿沙賀を帰さねばならない。
そのはずであるが。
「いやできないねぇ」
「なんでェ!?」
にやにやとしながら。
「単純に魔力がなくてね。帰還のための余力もなくなっちゃった」
「くっ」
実際にできないのだから仕方がない。
試胆会ルールに抵触しない範疇での拒否である。以前のように本当は余力があって嘘、という線もない。今回は契約事であるからだ。
では本当に、阿沙賀はこの亜空間から帰還する術を持たない。この酔っ払いじみた高揚感溢れる奴らから逃れられない。
「そもそもなんでおれオメェの教室にいるわけ?」
「そりゃこんな寒空じゃあ風邪ひいちゃうだろ?」
「真っ当な善意!」
くそ、責めづらい。
迷亭を責めることで他の奴らの干渉をシャットアウトしようとしたのに感謝の気持ちしかでてこない。悔しい。どうしてこういう時ばかり嘘じゃないんだと理不尽な思いに駆られる。
横でフルネウスはまた牙を鳴らして笑って、迷亭もにやにやしっぱなし。ニュギスとシトリーのキャットファイトも終わらず、それをコワントがなぜか上半身をはだけてた状態で観戦している。
「え……なにこの状況、地獄かな?」
「まぁ諦めろ、阿沙賀」
「……遠凪」
素面の阿沙賀にはついていけない惨状に、遠凪が苦笑しながらしみじみと言う。
「みんな、よろこんでるんだ。阿沙賀が生きてて、すげぇよろこんでるんだよ」
「その生還した阿沙賀さんにはだいぶ当たりが強いンですけど? 思い遣りが見えてこないンですけど?」
ついと目を逸らされる。
「それはそういう人望の形だから……おかえりの意が変質しまくって原形留めてないだけだから……」
「ただいまも変形させて拳にしていいかなァ!?」
「いいけど……後ろ」
「え」
「アサガー!」
がばりと抱き着いてきたのはアルルスタ。
大型犬に突撃されたような衝撃に、今の阿沙賀は為す術もない。抱きしめられ抱き上げられ全身で圧迫される。
「生きててよかった、アサガー!」
「ちょ、アルルスタ! やめろ、苦しい……!」
「ごめんネ! でもムリ! アハハ! アサガだアサガだァ! ワーイワーイ!」
うれしくて仕方がないみたいに名を呼んで、アルルスタは阿沙賀のぬくもりと命を感じ取る。
いや阿沙賀のほうは命の危機を感じるレベルの圧迫感。なんとか藻掻くが意味もない。
抵抗虚しくなすがまま――そこに助け舟をだしてくれたのは意外な人物、バルダ=ゴウドであった。
「そこらへんにしておけ、アルルスタ」
「むゥ。ばるばる……でもさァ」
「ばるばる!?」
なにそのニックネーム初耳なんだけど!?
そんな安易な感じの略称だと犬猫みたいに聞こえるぞ。この巨体の厳つい大男にして可愛すぎてギャップで弾け飛びそうだ。
謎に恐れおののく阿沙賀をしり目に、ばるばる――バルダ=ゴウドは重く言う。
「俺とて万全なら殴り合いたい気持ちはわかる」
「えっと、殴り合いたいワケじゃないケド……」
「しかし互いの望みが合致し同じ感情を共有できない戦いは楽しくない。俺は今日それを悟った」
「……」
戦い、という部分を別に置き換えれば言いたいことはわかる。
阿沙賀が嫌がっているのにこちらの欲望だけを発露し一方的にすり寄っても、きっと楽しさは半減だろう。迷惑だ。
その指摘は耳に痛い、アルルスタは顔を俯かせ――
「でも寂しかったんだもん!」
「ぐェ」
居直ってより強く抱きしめた。
納得しかけたと思ったが、別にそんなことはなかった。
そんなもんである。
処置なしと見て、というかそもそも言葉で伝えたりするのに不向きの自覚もあって、バルダ=ゴウドはそれ以上なにも言わない。
念のための忠告だけ。
「ともあれ、せっかく生きておった阿沙賀だ、殺すなよ」
「殺すワケないじゃん」
「死に掛けてるぞ」
「えッ!?」
抵抗の気力も絞り出せない今の阿沙賀には、アルルスタの抱擁はベアハッグみたいなもの。
背骨が軋んで内臓吐きそう……。
気づけばすぐさま手放して、そのまま阿沙賀は勢いよく床にぶつかる。トドメとなって阿沙賀は昇天しかけた。気合で生存してみせるが、マジでほんと死を垣間見たぞ。
アルルスタはひとりで慌てふためいてオロオロまごついき泣き叫ぶ。
「ワァー!? ごめんネ、アサガ!」
「おま……ほんと、ボケェ……!」
「アサガー!? きっ、キルシュキンテ、助けて助けて!」
大きな声で呼ばれずとも聞こえている。
遠凪の傍に控えていたキルシュキンテは袖で口元を隠して。
「残念ながら魔力がないでな」
いや、絶対に袖の裏で笑ってるだろ。声が震えてるぞ。まるで残念がってないじゃん。喜んでるじゃん。
笑いを堪えながら、キルシュキンテは慈悲深い声音で告げる。
「もういっそのことそのまま死なせてやればよいではないか」
「いいワケないでショー!」
アルルスタの注意がキルシュキンテへ逸れた。肩を押さえて前後に振り回している。
その隙に阿沙賀は這いつくばりながらどうにか逃れる。こんなところにいられるか、おれは部屋に戻るぜ!
いや、キルシュキンテの魔力が回復して巻き戻さなければ寮は消し飛んでいるのだけど。
必死に匍匐前進みたいなノリで移動するも、道を塞ぐようにロングスカートが視界を埋める。
まだ誰かいたっけ――首を上向かせて見上げれば。
「あ? メリッサか?」
青色メイドこと糸々のメリッサである。
そういえば彼女もまた顕能によるサポートのためにこちらに招かれていたのだった。帰還できないのは全員が同じ。
メリッサは業務時間内なのか華やかに微笑んで阿沙賀に手を差し伸べる。
「はい、メリッサにございます《《ご主人様》》。お疲れのようですのでお手をお貸しします」
「……お?」
ぱちくり一度、目をしばたたかせる。
あれ、今なにやら耳慣れぬ単語が鼓膜を震わせなかったか。
差し伸べられた手に応えるよりも先に、疑問が口をついてでる。
「なんて?」
「…………」
ふいとメリッサは顔を逸らし、頬を赤らめる。
それはメイドの時間帯にしては珍しく、彼女の素の表情だった。
「約束、したでしょ」
「あー、そうだったな」
そういえばグウェレンの勝利の暁にはそう呼ぶようにと賭けていた。
賭けを持ち掛けること自体が意趣返しみたいなものだったので、さほど執着なく覚えていなかった阿沙賀である。
とはいえ賭けに勝ったのならその権利を主張しておきたい。
「もう一回言ってくれ」
「だめ。一回って約束でしょ。もう絶対いわないもん」
「そーかよ」
苦笑しながら阿沙賀はまだ伸びていたメリッサの手を掴む。ぐいと引き上げられ、なんとか立ち上がる。
傍に用意してくれていた椅子まで付き添って座らせてもらい、体重を預ける。
「んで、オメェはこの後どうすんだ?」
試胆会連中とは違って浮かれた様子もない彼女との対話のほうが百倍マシ。
飲み会で素面の者同士が共感するみたいな感じで、阿沙賀は会話を続ける。
メリッサは既にメイドモードに武装しており、その言葉は丁寧でいて私情を挟まない。
「……迷っております」
けれどその言葉通り、メイドとして万全であるはずなのに迷いは透けて見える。
激動の一か月、劇的な一晩だったのだ。
「まさかこのような事態になるとは思ってもみませんでしたので……どう報告すべきか、そもそも報告すべきなのか判断しかねております」
「ふゥん」
「ですので、阿沙賀様。お願いしたいことがございます」
「おう、言ってみろ」
何の気なく安請け合いする阿沙賀に、メリッサは美しい微笑でもって爆弾をひとつ投下する。
「私と契約して縁故を結んでくださるか――」
「は?」
「え?」
なにそれという戸惑い。
「「「おい」」」
どういうこっちゃとドスの効いた怒り。
なんで先の男ども二名より三人そろって姦しいはずの女子の声音のほうが低いのだろう。
ちなみに他の面子は腹を抱えて笑っている。箸が転んでもおかしいかよ。笑いごとじゃないぞ。
当のメリッサはくすくすと笑んでから、すぐに居住まいを正す。
「もしくは私と無魂の約定を結んでくださいませ」
「……無魂の? なんだそれ」
「人魔間における契約を経ず、しかして確約を期する際の誓約のようなものでしょうか。言ってしまえば人間界における指切りげんまん、に近いかと存じます」
「あぁ、なんだそんなことでいいのか?」
「ええ。人間と違い、悪魔にとってその程度の約束事でも強い強制力を持ちます。実際、悪魔同士でもそれと事前に言い含めて約束すればまず破ることはありません」
人と悪魔の縁故によって結ばれた契約は絶対であり本能である。
その延長戦として約束を遵守すると口に出して結ぶのなら、悪魔にとっては非常に意味のある口約束となる。
「その約定をもって皆さまの前で私の口を封じてくださいませんか」
「あー」
そういうことか。
つまりメリッサは今回の件について知らぬ存ぜぬで通すつもりだ。
たしかに彼女の得た情報は非常に危うく、そして恐ろしいものばかり。
試胆会のこと。境界門のこと。
第十四の公爵。公爵を打倒した人間。
そして、それらが全てひとつにまとまり、一個勢力として秘匿されているという事実。
これを伝えればメリッサはおそらく消される。
御霊会としても重要度が高すぎて上層部でなんらかの決定を下されるまでは情報統制が敷かれるのはまず間違いなく、その時に仮契約でしかなく遠からず魔界に帰る彼女は野放しにできない。
適当な誰かと契約して紐をつける、程度ならまだしも、口封じの可能性は捨てきれない。
また上手く魔界に帰ることができても、ニュギスの存在を知った時点で彼女の祖国に狙われることになる。
ニュギスが一声報告しておくだけで、メリッサなどは帰還直後に暗殺されておかしくはない。
いやもうなんならこの場で抹殺されるかもしれない。逃げ場のないこの空間で、彼女はひとりなのだから。
メリッサ含め全員が魔力を欠乏しているからこうして会話していられるが、誰かの魔力が少しでも戻ればどうなるか……。
ロクでもない未来しか見えない絶望的な状況下で、なお冗句を吐けるのは大概メリッサも図太い。
一瞬、殺意が満ちた時には死ぬほど後悔したが、ともあれ現在見出せる活路はこれしかない。
すなわち、もういっそのこと阿沙賀の懐に入ってしまうか、もしくは口外の禁止を明確に契約してとりつけてもらうかだ。
契約遵守生命である悪魔ならではの生存方法である。
「わかった。いいぜ」
「どっちですの!?」
「後者だ後者。さすがにこれ以上、部屋が狭くなるのはイヤだ」
そういう理由で悪魔との契約を断るのか。
とことん悪魔という存在を等身大でしか見ていない。
だからこそ、その本質を理解できておらず、このように軽口を向けられる。
「ていうかそんな騒ぐなよ。流石に冗談だろ、なァ?」
水を向けられたメリッサは一瞬だけ返答に詰まって、けれど次になぜだからホワイトブリムを取り外した。
そして、地声でもって言う。
「半分はね、冗談だったよ。けど、もう半分はちょっと期待した」
「……は?」
「ほんとだよ、ほんと。あなたは奇跡を起こした。無理だって、不可能だって言い張った私に、奇跡を見せてくれた。
だから、この人のためならって、そう思ったのはほんとう」
彼女は奇跡を垣間見た生き証人。
人が公爵を打倒するというありえざる奇跡。
「……おれひとりで勝ったンじゃねェよ。オメェだって手伝ってくれたろ」
「それでも、あなたがいないと勝てなかったよ、絶対」
誰が欠けても勝算は非常に下がっていただろう。
けれど、誰かひとりくらいが欠けてもなんだかんだ勝利を掴むことができていたように思う。
阿沙賀という中心人物さえ欠けなければ――逆を言えば、他の全員が揃いまた埋め合わせに誰かが入ったとしても、勝てなかった。
阿沙賀・功刀がいなければ、絶対に勝てなかった。
そう断ずるに相応しいだけの有り様を、生き様を見せつけられて……メリッサは胸を焼かれたのだ。
「…………」
「でも、いいの」
言葉をなくす阿沙賀に笑いかけ、メリッサは再びホワイトブリムを装着。メイドのすまし顔でもって続ける。
「私は貴方様に仕えるには値しません、所詮は最下級の悪魔ですから。けれど忘れることもできそうになく、ですので、いずれまた」
「いずれ?」
「はい。これより私は日々を研鑽し、貴方様に相応しいメイドとなれるように努力いたします。そして再び相まみえた時には、その時は、きっと……」
一瞬だけ言いよどみ。
「きっと、またご主人様って呼ぶからさ」
「あー……」
――悪魔が自ら契約を申し出るということは、自らの魂をさらけ出すに等しい。
――当然、冗談なんかで言えるような軽い気持ちであるはずもなく。
「わり、軽率なこと言ったな」
「いえ、そういうところもまた貴方様であると理解しております。そういう貴方様だからこそ、契約をしたいと思えたのですから」
「おう。そうか、そうかよ。わかったよ」
突然の言葉にすこし戸惑ったが、腹を括る。
「安心しろ、おれが決める。他の誰にも口出しさせねェしどうでもいい。だからまた、会いに来いよ」
「はい、必ず」
学園祭はおじゃんになった。
クリスマスイブだってのに教室から出ることもできない。
周囲は酔っ払いのごときハイテンションで面倒くさいことこの上ない。
そもそも学生生活を一か月間お預けされて、それで得たものはただムカつく輩をぶっ飛ばした満足感くらいもの。
聖夜に交わした約束は、ようやっとそれらしい特別な成果。
その程度で満更でもなくなる辺り、阿沙賀もけっこう安い奴なのかもしれない。
そのことが自分自身でおかしく、肩を震わせひとりで笑った。
とはいえ、やっぱり笑い飛ばし切れなくて、最後にはため息を吐き出したのであった。
悪魔ってのは、まったく厄介な隣人だ……。
第三幕・了
「あぁ……可哀想。可哀想に」
「なんて可哀想な子でしょう」
「演壇には上がれず、客席にも通されず、いつも独りで蚊帳の外」
「同情しましょう、心から」
「あの子に似て非なる愛ゆえの束縛、愛しいからこそ舞台から遠ざける矛盾。なんという悲劇」
「ならば慰みにひとつ、可哀想な貴女にほんのすこしの手ほどきを」
「無知が罪であるというのなら、貴方の罪を禊ましょう」
「ただし気を付けて……一度知ってしまえば知らなかった時には二度と戻れませんのよ。優しいゆりかごを蹴破って、みんなの好意に泥を塗り、それでも――貴女は不条理な事実を知り、理不尽の演壇に上がりたいのかしら?」
――――!
「よくできました、そうでなくっちゃいけないわ。
さぁさ客席まで手をとって歩みましょう、一緒に演壇に上がってみんなと共に踊りましょう」
「――きっと、楽しい舞台になりますわ」




