ほっこり謎解きの物語⑥謎解き編
第二章【謎解き編】
後日、依頼人にお父上の所在地域のエリアとヒントが解けたことをお伝えをしたが、仕事の関係上、お約束の日しかない来れない、との事でご報告を終えた。本音を言うと早めにお伝えをし、一仕事を終わらし、次の案件に備えようと考えていた「まあ1ヶ月に2、3件しか来ないがな」と自虐的な突っ込みを入れながらそう考えていた。
依頼人の北条様がお見えになる当日、この日は例年に比べて暖かい陽気だ。温暖の候ともいうべき過ごしやすい日だなと思った。
11時となり北条様が、前回よりフランクな服装でお越しになられた。
ビィーーーと呼び出し音がなり、所長が
「UTI探偵事務所です」
「あっ北条です」
「北条様、お待ちしておりました。直ぐにお開けいたします」
ドアを開け
「北条様、お待ちしておりました、中へどうぞ」
「ご丁寧にありがとうございます、では失礼致します」
依頼人は前回とは違い、表情や仕草がリラックスしている雰囲気だなと思った。
「お忙しい中、私のお願いに対して、ご丁寧に解いていただき感謝しております」
チーフに軽く会釈をしながら感謝を述べた。やはり、とてもお淑やかなで育ちの良さが滲み出ている。仕草や言動にしてもだ、それこそお嬢様が通われているであろう女子校出身です、と言わんばかりの雰囲気を感じざる負えない。
「北条様、お座りになられて下さい」
「こちらで、よろしいでしょうか?」
「はい、奥の広い方へお座り下さい」
「では失礼致します」
所長が丁寧にご案内し、依頼人が座られた後、手前に一人掛けソファーが3つあり所長とかチーフの2人が着席した。ちなみにリーダーは珈琲を淹れている最中である。
「北条様、折り返しさせて頂いたご依頼内容をお伝えさせて頂きますが、簡潔にお話しか、丁寧にお伝えするかですが、どちらが宜しいでしょうか?」
「はい、そうですね、時間は特に大丈夫ですが、良ければ簡潔にお伝え頂ければ嬉しいです」
「かしこまりました。ではお伝えさせて頂きます。では、こちらからお答えさせて頂きます。」
そう言った後、リーダーが
「お話の最中やと思いますが、失礼致します。珈琲でございます、お熱くなってますので、お気を付けてお飲み下さい」
リーダーが、ここも丁寧な仕草で珈琲を皆の前に静かに置き、取っ手も持ちやすくしている。
ちなみにコーヒーカップの取っ手の向きには、アメリカ式とイギリス式があります。取っ手がすぐに持てるように右にセットするのがアメリカ式。
取っ手を左にセットするのがイギリス式です。ミルクや砂糖を混ぜるときに邪魔にならず、左手をカップに添えながら混ぜるためです。飲むときは取っ手を右に回してから、いただきます。日本では、取っ手の向きは右でも左でも問題ありません。飲む方に合わせて右にするか、左にするか決めるとよいでしょう。相手を思いやる心遣いが、マナーの基本となる。
「ありがとうございます。」
「リーダー、いつもありがとう」
と所長が言うと、少し照れくさそうに、とんでもないです、と言い、後片付けに戻って行った。
皆が、珈琲に砂糖やミルクを、そのまま飲む者もおり目の前の珈琲に集中している。一息ついたその後、チーフは、絵や様々な文字が入っている用紙と地図を依頼人の前に出し
①の書面
「こちらから、お答えさせて頂きます」
「はいお願いいたします」
「一つ一つ解いていくと、場所を示しています。上の英表記をご覧ください」
「そうなんですね。天然は解ったのですが、他の文字はどう繫がるんですか?」
「こちらは、NATURALは英語で天然、coteは、Saraはイタリア語で砥石と館に訳せまして、繋げたら天然砥石館となりました。ギルートで調べると、京差府の釜岡市に天然砥石館が存在しておりました。なので、下の3つも、そうかも知れないと考えて、解きました。こちらの地図をご覧下さい。」
所長は、一言は発さないが、流石だなと心の中で思っていた。なぜならば、チーフは解決能力が優れているのを、初見で見抜いていたから、驚きはしない。
解決力の高い人の特徴は、問題や課題に対して自主的に解決する能力が高い人の事、よく言えば自己解決力という。独立心が強く、自分自身で解決することを好み、他人からの依存を避ける傾向にあります。また問題解決のスキルや知識も豊富で、臨機応変に対応していくことができるので、快刀乱麻の男と比喩している。
「へー詳しくですね。そこまで分かるとは、すごいです。では、残りも解けたのならお聞きしたいです」依頼人はテンション高めで言うと
「ありがとうございます、照れますね」
「照れんなよチーフ」
「て、照れてません、少しだけですが」リーダーと所長はハッハー、とほんの少しおちょくりな感じの笑いを
「ごほん!で、では取り直して解いた内容をご覧お伝え致しますね」とやはり照れくさそうに話を続けた
「はい、続けて下さい」依頼人は早く聞きたいと言わんばかりの声量で
「2段目は彩十なないろ公園です。えーサイの絵はわかりますよね」
「そうですね~サイですね」
「おーそやな、サイやな」リーダーは腕組みしながら首を傾げた。
依頼人は振り絞った感じで「と言う事はサイと、トゥーでいいんですか?」
「TOはトゥーですが、多分言葉のニュアンス的に、ローマ字の〘と〙だと考えます。そう思えば、次は虹ですが、読み方や捉え方を変えると、レインボー、7色またはななしょく、7つの色と言い換える事が出来ます。そうなれば、場所かもと捉えられるため、なないろと出てきます」
「ほー、その根拠は?」と所長が質問のように聞くと
「言葉のニュアンスです。多分、サイトが先頭にくるものと過程して言葉を繋げるなら、レインボーや7色という言葉は繋がりにくいと考えました。ちなみに、サイトは釜岡市から南に下ると、大鷹の茨井市に彩十という地域があったのでここかなと推測しました」続けて
「Parcなのですが、最初の問いと同じかなと思い、調べていくとフランス語で公園と出たので、繋ぎ合わせたら、彩十なないろ公園となりました。地図上で探したら、茨井市の北にあり、天然砥石館と直線となってました」
「うわー、素晴らしいですね」と依頼人
「そこまで分かるとは流石です」
「ありがとうございます」チーフは頭を垂れた。
続けて解いた内容を伝えようと思った瞬間、所長のスマホが鳴り、胸ポケットからスマホを取り出し画面を見て少しばかり目を細めて「失礼しました、一旦席を外します」と言い立ちあがり、玄関付近に行きながら電話に出た。
リーダーが「すみませんでした、別の依頼かもしれないもので・・・」
「いえいえ、お仕事であり、もしかしたら大変な内容かもしれないので当然です。私の依頼は、お父上を探して頂いているので」
「そんな事ありませんよ、お父上様をお探しになられるのも、北条様にとっては一大事ですから、我々は一つ一つの案件はとても大事です。疎かにすることは致しません。」チーフは真っ直ぐな目で言い切った。