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剣と魔法の世界に行きたいって言ったよな?剣の魔法じゃなくてさ?  作者: 六轟


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701:

 視界一面が一瞬白く染まり、次いで意識が飛ぶ。

 恐らくたった数秒後だと思われるタイミングで気が付き、そして自分が地面を転がりながら削れて行っている状態だとやっと自覚できた。

 慌てて持っていた剣を地面に叩きつけ、勢いを殺しつつ宙へと跳ねる。

 着地と同時に脚を踏ん張り、そこでようやく回転が止まった。


「…………あー、いってぇ…………」


 我ながら、自分の行いに苦笑いがでる。

 自称女神が魔力を燃やす俺の攻撃に対して、耐性があるかもしれんなと思って考えていた奥の手を自分に向けてぶっ放すなんて、テンション上がってたとはいえやばいわ。

 あーあ……。

 服とかアクセサリーは、こんなこともあろうかとマル義兄さんに頼んで魔力効率度外視の防御魔術を付与した魔道具にしておいたため無事だけれど、流石にそれを着用している俺への衝撃を完全に消し去るまでにはいかなかったらしく、体中から激痛が走っている。

 頭からは、血がダラダラ流れ出しているし、体の何箇所かは、明らかに骨がボッキリと折れている感じがする。

 服の上からは、今のところ判別つかないけれど、この肌に感じるべちょっとした感覚からして、相当量の出血もしているだろう。


 これは……聖羅たちにはバレないようにしなければ……。

 ずずいっと圧力を感じる笑顔で近寄ってくる聖羅たちのイメージが浮かんでしまう。


 俺は、俺よりもよっぽどダメージの少ない小型の収納カバンへと手を伸ばす。

 服装が服装だったので、目立たないように懐に入れておいたんだけれど、ありがたいことに傷一つない。

 その中から、仙崎印のポーションを取り出し、味わうようにゆっくりと飲み干す。

 仙崎さんが特別に調合してくれたもので、回復量が強い代わりに、急いで飲むと体中から血が吹き出して逆に瀕死になってしまうという曰く付きのものだ。

 血が吹き出している状態でがぶ飲みしたらどうなるのか興味がないわけではないけれど、流石にそれを自分の体で試してみる気にはならないな。


 仙崎さんのポーションのお陰で、聖羅による瞬時の回復ほどではないにせよ、体中の痛みが解消されていった。

 そうしているうちに、俺が巻き起こした砂煙が晴れてきて、辺りの様子がわかるようになってくる。


 星明かりに照らされた砂漠に、直径100m程のクレーターが出来上がっていた。

 あそこで俺とボボンは吹き飛ばされたんだろう。

 というか、俺が吹き飛ばしたんだが。

 だとしたらボボンは、クレーターを挟んで俺の反対側にいるんじゃないかな?

 そう当たりをつけ走って向かってみると、ボロボロの人影があった。


 その装甲の殆どが吹き飛んだ鎧。

 俺と同じように地面を転がりながら削られたであろう血だらけの体。

 俺と比べてもダメージが段違いに多いので、恐らく受け身を取ることすらできていないんだろうな。


 そんな満身創痍のボボンを見つけ、彼女の元へと駆け寄る。

 えっと……またまたではあるけれど、死んでないよな……?

 死んでたら死んでたでしょうがないけども、思ったより頑丈だったっぽいから、こっちもかなりサービスして爆撃したんだけども……。

 あれ?呼吸してなくね?

 マジで死んだか!?


「ゲホッ!ゲボぉっ!!!」


 と思ったら、一時的に呼吸が止まっていただけらしい。

 ただ、2回目の咳で、大量の血を吐いていた。

 放置しておけば、そう遠くない未来にコイツは死ぬだろう。

 その前に敗北を認めて、カイネウスの剣がランダム変換を行える条件をクリアしてくれれば、ポーションくらいいくらでも飲ませてやるんだけどな……。


「よう、気がついたか?」

「…………ゲホッ」

「お前、今、かなり死にかけだぞ。自覚はあるよな?」

「ハァ…………ハァ…………にひ……にひひひひひ!!!」


 マウント取ってやろうかと思って放った俺の言葉に、壊れたような笑いで返すボボン。

 なんか怖いな……。


 俺は、頼れるけどいまいち信用するのが怖い相談役へとコソコソと話しかけた。


(なぁ、カイネウスの剣さ。まだ勝利回数クリアできてないのか?)

『まだでやがりますね。さっさとわからせやがりませ。殴ってダメなら、こう、エッチな感じで攻めやがるのがいいのでは?』


 うん、やっぱコイツはちょっと危ない思考しているな。


「負け……ない……もんね……。もう……体中……動かないけれど……これ、押すくらいは……できちゃったよ……」


 ボボンの手から、やけにレトロなデザインの機械がポロッと落ちた。


「何だこれ?自爆スイッチか何かか?」

「違う……よぉ……。これはね……大試くん、アメリカが……威信をかけて作り出した衛星砲。サテライトジャベリンって名前で……」


 悪い笑顔になるボボン。

 これは、全く俺に負けたと思ってない顔ですな。


「万が一……あちしが負けそうになったら……戦争に発展してもいいから……大試くんの大切なもの……全部……全部全部……この衛星砲からのビームで吹き飛ばしてって……」


 衛星砲なんて作ってんのかコイツら……。

 それはそれとして、なんか厄介なことになったな。


 俺は、空を見上げた。

 すると、ヤケに明るく光る何かが目に入った。


「もしかして、あの光ってるやつがそのサテライトジャベリンなのか?」

「うん……。今は……日本を照準に収めるために……衛星軌道上を移動してるんだろう……ね……」


 うーん……。

 イチゴに頼めば、危なげなく解決してくれそうな気もするけれど、できれば俺1人で勝ちたいんだよなぁ。

 ただ、流石にここから衛星軌道上にある機械へと攻撃するのは難しい。

 そうとなれば、あの衛星砲を止めるには、もっと別のやり方が必要で……。

 そういや、相手の攻撃先を誘導できる剣もあったな……。

 でも、この剣の有効範囲って、一回試した後にソフィアさんと2人だけで実験したところ、半径100mくらいの範囲内の知的存在には効果が発生することがわかったけれど、それ以上の距離だと、相手がこっちをしっかり見ていないと発動できないんだよなぁ。

 機械越しでもサングラス越しでも、俺のことを見てさえいれば発動できる。

 まあ、そんな俺に利点が全然ない効果を、まさかこんな形で使うことになるとはなぁ……。


「確認するけどさ、俺達の今の戦闘って、お前の信者たちに衛星映像か何かで見られてたりする?」

「……まあ、みんなあちしのこと……大好きだからねぇ……。いきなり消えた……ように見えてただろうし……あちしがもってる発信機の反応……頼りに……見てるんじゃない……かな……」

「成る程。それさえ聞ければなんとかなるだろ」


 俺は、「何言ってるんだろう?」って顔になったボボンを無視し、殆ど出番のない、魔剣みたいな副作用のある剣を手に持った。







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