表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
剣と魔法の世界に行きたいって言ったよな?剣の魔法じゃなくてさ?  作者: 六轟


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

690/770

690:

 この世界のフィギュアスケートは、基本的に貴族のための競技だ。

 魔術を使うことが認められているので、大して魔力を持っていない平民では、スタートラインに立つことすら難しい。

 そして貴族の子女は、結婚前に婚約者ではない異性とあまり触れ合うような行為は推奨されていない。

 だから、フィギュアスケートにおいても基本的にはソロでの演技がメインとなっている。

 とはいえ、今回は結構な数の参加者が世界中から集まっているので、中にはもの好きがいるかもしれないということなのか、ペアでの参加も認められていた。

 なので今回、ソロとペアで別れて競技を行うということはなく、一緒に審査を受けるらしい。

 異種格闘技戦みたいなフィギュアスケートだ。

 普段は、こんなルールではないらしいので、今回のイベントのために急遽作り上げたルールだからか中々無理やりなやり方だ。

 だからこそ、俺はそこにつけ込むことにしたわけで……。


「全世界の人間に注目されるっていうのは、あまり気持ちのいいもんじゃないなぁ……」

「うぅ……緊張してきました……。本当にペアでやるんですか……?」

「もちろん」

「でも、練習も3日しかできませんでしたし……」

「大丈夫だって。美玲柚は、この前俺に見せてくれたような演技をしてくれればいい。練習でもやってみたように、俺が合わせるから」

「確かに練習では上手くいきましたけど……」

「俺の動体視力は、今や美玲柚の動きを見てからでも完全にトレース出来るくらいの領域にあるんだ」

「すごすぎてよくわからないです……」


 後出しでガードも余裕だぞ?

 入力速度が速すぎて、ゲームだと認識されないレベルだ!


 俺と美玲柚ちゃんがいるのは、巨大なリンクの上だ。

 俺の前世でフィギュアスケートのリンクとは、もう完全に別物の規模となっている。

 リンクの面積的には、サッカーのコートくらいの広さだ。

 これだけの広さがあっても、魔術を用いた演出を行うこの世界のフィギュアスケートだと狭さすら感じてしまうんだとか。

 俺が見たことあるこの世界のフィギュアの演技は、美玲柚ちゃんの物と、ボンボンから提供されたボボンのものくらいなので、他の選手がどんなスケールで演技するのかはしらんけどな。


 このリンクの上でこれから各国のおえらいさんたちの娘や息子が滑る。

 その様子は、インターネットを通じて全世界に配信される予定だ。

 別に負けたからってペナルティがあるわけじゃないけれど、それでも皆緊張した表情になっているのは、その世界中のギャラリーを意識してなのかもしれない。


 ぴんぽんぱんぽーん


『これより、第一回世界会議記念フィギュアスケート世界大会を開催いたします。各国代表は、リンク場へとお越し下さい』


 そんなアナウンスが聞こえて、リンクのど真ん中で堂々と待っていた俺の周りへと子どもたちが集まってきた。

 てか、よく見たら平均年齢ひっくいなぁ……。

 前世だとフィギュアスケートは、年齢が低いほうが魅力的だって評価を受けやすいとかで、年齢詐称をしてまで小さい子を出場させようとする国もあったりなかったりしたらしいけれど、目の前のチミっ子だらけの状況を見るに、この世界でもそのあたりの風潮はそこまで変わらんのだろうか?

 単純に、親たちが自分の可愛い子どもや孫を連れてきたら、平均年齢が下がったって線もあるか?


 俺が自分が浮いている事を自覚し始めた辺りで、リンクに作られた仮説のステージの上に登る人影。

 どうやらボボンちゃんらしい。

 あれだけの騒ぎの中心人物だったのに、よく恥ずかしげもなく出てこれるもんだ。


『宣誓ぇ!私達はぁ〜』


 などとありきたりな宣誓を行ったボボンちゃん。

 正々堂々と戦うことを誓ったはずだが、すでにどう考えても正々堂々ではない力を使ってきているので、馬鹿らしいな。

 さっさと娘離れできないおっさんをロリコン状態から解放してくれ。


 その白々しい宣誓が終わり、耐壇したボボンちゃんは、あろう事か俺達の方へ。

 司会進行のお姉さんが色々大会の説明してくれているけれど、流して聞きながらボボンちゃんの動向に注目せざるを得ない。

 ニヤニヤと笑いながらこっちにくるけれど、これから俺達はあの笑顔を屈辱でぶち壊すんだと思えば可愛く思えてくるな……。


「逃げずにやってきたんだぁ?でも、なんで大試くんも一緒に出てるの?フィギュアスケートの経験無いはずだよねぇ?」

「無いぞ。少なくとも、公式な競技としてはな」

「それなのに出てくるのは、あちしを自分の演技で上回りたいからかなぁ?でもぉ、あちしはフィギュアスケートだと世界一だって噂されるくらい上手いんだぁ。それにぃ……あ、これ以上は秘密にしておくね?ようは、大試くんとそこの美玲柚ちゃんじゃ絶対に勝てないよって言いに来て上げたわけ!逃げ出すなら今だよ?できればそんなつまらないことせずに、しっかり敗北した姿を世界中に晒してほしいけどね!」


 この前あれだけボコボコにされたのにすごい自信だが、確かに事前にボンボンからもらった映像だと、その自信を裏付けるかのようにダイナミックな演技をしていた。

 かなり魔力が多いのか、大技連発していたし、容姿も良い。

 だからこそ、こうやって俺にまた宣戦布告しに来ているんだろうけれども、そんな事承知の上でこっちはてめぇをぶちのめしに来ているっていう事を後から理解してもらおう。


「負けません!絶対に!そして、元気なパパを返してもらいます!」


 俺の相棒も殺る気満々のいい表情だ。

 12歳にして将来美人になること間違いなしなその美貌から繰り出されるきつい表情は迫力満点だな!


「あはははは!じゃあ、互いに全力を出し合おうねぇ!」


 いつの間にか大会の説明が終わっていたらしい。

 他の選手達がリンク外へと向かう流れに乗ってボボンちゃんも離れていった。


「……私達も、リンクから上がりますか」


 冷静さを取り戻しそう提案してくる美玲柚ちゃん。

 でも、折角の機会だし、ここは魔力無しでもできる演出でテンションを上げてやろう。

 俺は、我ながら器用だなと思いつつも、美玲柚ちゃんの前でスケートシューズのまま騎士のように片膝をつき、美玲柚ちゃんの右手を取る。


「卜部美玲柚様。この犀果大試、貴方の騎士として、必ずや勝利を手に入れてみせましょう」


 なんてキザったらしく言ってみた。


「はひ!?よ……よろしくお願いします……!」


 顔を赤くしながらも、やる気のある顔で頷いた美玲柚ちゃんに微笑み、手を引きながらリンクを後にする。

 これで、相棒のメンタル向上と、大会のルールの穴の利用。

 更に、ダメ押しの仕込みなども無事完了した。

 後は、俺達の演技の順番を待つだけだ。


 待ってろよ自称女神様よぉ!

 ランダム変換はすぐそこだぜぇ!?





感想、評価よろしくお願いします。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ