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剣と魔法の世界に行きたいって言ったよな?剣の魔法じゃなくてさ?  作者: 六轟


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685:

 日本の代表団がアメリカに到着したその日の夜、各国の代表団との食事会が催された。

 何カ国参加しているのかは知らないけれど、ざっと見た感じ200人はいる。

 会場がとても大きなホールなため、身動きができないほどの混み方ではないけれど、夏休みの市民プールくらいの人口密度だな。

 端的に言って帰りたい。


「美玲柚、おいしいか?」

「…………」


 コクリと、俺の膝の上に座る少女が頷く。


 この会場内は、基本的に立食パーティーみたいになっているけれど、座って食べられる席も用意されており、給仕に頼めば、料理を持ってきてくれるサービスもあるらしい。

 外交目的で来ている王子たちは、今も各国の代表たちと共に、にこやかに会話しているようだ。

 腹の中でどんな事を考えているかは、俺にはさっぱりわからないけれど、こんな所に外交担当者として送り込まれるくらいだから、狸と狐の化かし合い状態だろう。

 怖い怖い……。


 しかし、それよりも怖い存在もいるようなんだ。

 それが、大統領の一人娘。

 名前……なんだっけ?

 まあいいや。

 兄貴はボンボンだし、妹はボボンにしよう。


 そのボボンだけれど、何故か自分の父親であるはずのアメリカ大統領を従えている。

 更に、日本から先乗りで派遣されているはずの卜部侯爵も何故か彼女の後ろに控えている。

 その顔は、両者とも光悦の表情で……。


 卜部侯爵は、今俺の膝の上に座っている美玲柚ちゃんの父親だ。

 彼女の話を聞くに、かなりの娘バカだったはずなんだけど、何がどうなったのかあのザマだ。

 イケメンで若々しい見た目なんだけど、ロン毛なのはいただけないかな。

 何かやらかしてたら、後でバリカンやっとくか?


 そして、そんな父親の姿を見てしまった美玲柚ちゃんは、物凄く意気消沈中。

 ぶっちゃけこの娘がここに来たのって、パパに褒めてもらいたかったかららしいんだけれど、ホテルに着いたらパパも使用人もいないし、食事会で見かけたと思ったら、しらん女の子にくっついてんだから、それはもう訳が分からないだろう。

 立場的にも、日本サイドの人間のはずなのにあんな状態だから、かなりまずいんじゃないかって気がするが……。

 あのおっさんのことはともかく、美玲柚ちゃんを放っとくとヤバそうに感じたので、なんとか彼女をパーティーにつれてきたんだ。

 適当に料理を取って席に座ったら、なんと彼女は飛行機の中のときと同じように俺の膝の上に座ってきたので、多少困惑しつつも、今は誰かの近くにいたいんだろうなと特に拒絶せず受け入れて、至る現在。

 口の前に料理を持っていけば、無言ではあるけど口を開いて食べてくれる。

 だけど、目線はチラチラとボボンの後ろに控えている卜部侯爵に飛んでいて、そしてどんどん元気がなくなっているので、割と不憫に感じているが、だからといって出来ることもなぁ……。


「ソフィアさん、アレ、どういうことだと思います?」

「そうじゃなぁ……。なんぞ嫌な気配があの女児から奴らに伸びているのは感じるんじゃが、その効果はいまいちわからんのう。あの様子を見るに魅了系統じゃろうか?」


 魅了といえば、思い出すのはヤツの兄貴。

 ムキムキヤンキーだったボンボンのギフトの効果だ。

 しかし、それも今や過去の話。

 彼は、ヒロインキュンとなってしまった。

 今もその美少女さながらの美少年は、周りからすごいペースで話しかけられて忙しそうだ。

 中性的な男の子が好きな女性も、あっちの気がある男性からも人気がある上、大統領の息子さんですもんね。

 大変そうだなとは思うけれど、女性用のドレスを着てここに参加していることから考えるに、自業自得とも言える。


 転生者だからかはわからないけれど、とにかく転生してきたらしいアイツにそんな厄介なギフトが与えられていたので、その妹で、しかも本人も転生者っぽいあのボボンに魅了の力があってもおかしくはないんだけれど、まだ決めつけるのは早いな。

 もっと別の厄介なギフトかもしれんし……。


「サラダコーナーにご飯があったのは許せないニャ。でも、そもそもこの芯が残りまくりなご飯だからギルティだにゃ」


 メイドの格好しているのに、一応主であるはずの俺よりもパーティーをエンジョイしている猫耳メイドにイラッと来る。

 しかし、こいつのメインの仕事は、万が一の時のVIPたちの護衛と、テレポートを使用しての離脱だ。

 だから今は、存分にエネルギーを補給してもらおう。

 それはそれとして、やっぱりイラッとするので、この仕事が終わったあとのコスプレ写真撮影会in犀果邸の時間を伸ばそう。


「……うー……」

「有栖、そんなむくれないでも……」

「ですが!私もあーんしてほしいです!」

「しゃーないな……。ほら、あーん」

「はい!もぐもぐもぐ!」


 久しぶりに外の婚約者がいない状態で一緒に出かけているので、ちょっといつもよりワガママに行動しているらしい。

 そんなの、可愛い婚約者からされるのはご褒美以外のなんでもないため、俺は俺でニヘラっとしながらあーんをしている。

 俺が喜んでいることに有栖も気がついていて、そのことに照れながらも続きを要求された。

 あぁ……生きててよかった……。


「あれ?こんな所にいたんだ!犀果大試くん」


 10人ほどの男たちを従えて、10歳そこそこくらいの容姿の女の子が話しかけてきた。

 件の大統領の娘、ボボンである。

 近づいてきているのは知っていたけれど、勘違いであってほしいと願っていた。

 しかし、彼女のお目当ては、どうやら俺らしい。

 無視しちゃダメかな?

 ダメか……。


 今回、このパーティーのルールが事前に知らされていて、会場内に連れてこれる人数は、護衛を1人までって事になっている。

 各国首脳の代理であるトップたちは、10人まで許されているらしいけれど、俺みたいな護衛も兼ねて投入された奴が連れ込めるのは1人だけ。

 なので、有栖の護衛役でファム。俺の護衛役でソフィアさん。そして、美玲柚ちゃんの護衛として、表情が抜け落ちているイチゴを起用しているんだ。

 それに対して、あのボボンのやつ、後ろに50人くらいの男たちを引き連れてやがる……。

 開催国権限だとしても、絶対やりすぎだよなぁ?


「なんだ?」

「あ、早速不機嫌そう!いいね!いいねぇその反応!わざわざ人の器に入ってまで転生した甲斐があったよ!」

「そうか。それは良かったな。ってわけで、他に行ってくれ」

「まぁまぁ、折角会えたんだから、自己紹介させてもらおうかな!あちしは、アメリカ大統領の娘、クリスティーナ!そして……」


 ボボンが俺の耳元に口を近づけて囁く。


「大試くんの前世の世界を管理していた女神、『アウロラ』だよ。大試くん、キミが大切にしている全てを奪いに来たんだ」


 周りの空気が、なんだかネットリした気がした。





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― 新着の感想 ―
種族を対象にして『ランダム変換(本剣の恣意的)』したら面白そうな実験台がw
おやこんなところに殴りやすそうな腹が
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