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ボンボンとのサシでの密会……コイツ相手だと密会って言葉嫌だな……。
まあとにかく、内緒話を終えてイチゴエアの場所まで戻って来た俺達。
未だにイチゴエアを取り巻くように作られた包囲は残っており、中から王子たちが出てきた様子はない。
イチゴエアの中は、空間が拡張されている上に食料も最高品質のものが十分に用意されているので、ゲストたちは何不自由なく過ごしている事だろう。
仮に、今周りにいる戦車とか装甲車たちが全力攻撃を行ってきたとしても、傷一つつけられない程に強固な装甲もあるので、こっちとしても安心して留守に出来る。
ただ、そのイチゴエアを包囲している奴らは、俺が離れる前とは様子が違っていた。
畏怖と恐怖、そして対抗心とか嫉妬心みたいなもので満たされていた彼らの顔は、何故か現在俺への殺意で満たされている気がする。
なんで?
「皆!お待たせ!お客様たちに変な事してないよね?」
「はっ!もちろんであります!」
「准将ー、キミが一番不安なんだからね?いっつも感情に任せて無茶しようとするんだから……」
「ご心配をおかけし申し訳ございません!」
ボンボンが偉そうなおっさんに話しかけている。
准将って呼ばれていたそのオッサンは、確かさっき命令違反で拘束されてた筈だ。
でも、ボンボンが男の娘化した影響で、その辺りの事が少し無かったことになったんだろうか?
うへぇ……そんな所まで変わるのか……。
こえぇ……。
「それよりアンドリュウ様!そのお召し物……その者に何をされたのですか!?まさか、問題を表ざたにしないために体で……!?貴様!!!!」
なんて考えながら事の成り行きを見守っていると、今度は俺の話題になったようだ。
なんで怒ってるのかよくわからんが、めっちゃキレてる。
軍人たちの目線が更に一段階鋭い物になった。
「な、何言ってるの!?そんな事してないし、されてないよ!」
……ん?
もしかしれ、これはアレか?
俺がこのボンボンの体を要求したと勘違いされてるのか?
俺にとってこのボンボンは、あのいけ好かないヤンキーの印象が強いからそんな発想絶対浮かばないけれど、俺以外の人間にとっては、ちんちんがついていること以外すごい美少女な見た目の少年なんだよな。
それが、明らかにサイズの合っていない服に着替えていて、その服がどうやら俺のサイズっぽいとなれば、勘違いする奴も出てくるかもしれない。
俺からすると非常に不愉快な話ではあるけれども!
ってか、ここにいる軍人ども全員そんな発想してんの?
確かに可愛いけれど、男だよ?
そこのボンボン男だよ?
流石は、エロサイトの検索ワードの使用回数データで、殆どの州で上の方に来るのがチンチンつきの性癖な国は違うなぁ……。
「大試君は、その……とっても、紳士的だった……よ?」
「「「「「な!?」」」」」
いや、軍人よりむしろこのボンボンのせいかもしれん。
何顔赤らめながら、萌え袖みたいにした俺の服で顔隠してんだよ?
あれか?
ヒロインキュンってのは、そんな感じの勘違いも誘発させる効果があんのか?
もう一回ランダム変換してやろうか?
そして、周りの軍人ども!
何人か鼻血出てるぞ!
性癖捻じれてんな!
「はぁ……なぁ、もういいよな?流石にそろそろこの包囲を解いてくれないか?うちの国の代表たちを滞在場所まで移動させたいんだが?」
「あ、うん!そうだよね!わかった!」
はっとしたようにボンボンが我に返り、そして周りに指示を出し始めた。
取り囲んでいた馬鹿どもがどんどんといなくなり、代わりに送迎用と思われる黒塗りで無駄に長い豪華な車が列を成してやってくる。
一見ただの高級車だけれど、何となく装甲もガラスも厚みがある気がする。
防弾か?防弾なのか?
いや、この世界なら、対魔術の備えもしてあるかもしれない。
普段車に乗る時は大抵うちのメイドが用意したゲーミングカーばっかりだから、逆にこういうちゃんとした要人用の車って新鮮かもしれん……。
一応、貴族なんだけどなぁ……。
「じゃあ、中に戻って皆に移動するって伝えてくるわ」
「うん、お願い!これでやっと」
「ホテル……行けるね……」
「「「「「ギギギギ!!!!」」」」」
周りに少数残っている軍人たちが変な歯軋りしてる……。
お前ら……。
いやもういいや。
知らん。
俺は、周りから向けられる殺意を無視して、イチゴエアの中へと戻った。
「ただいまー」
なんて軽い調子で戻った俺。
しかしその直後、鋭い衝撃を腹部に受けた。
「ぐぼっ!?」
そのまま壁まで吹き飛ばされる俺。
何事かと腹を見ると、白い奇麗な髪の女の子が目に入る。
うん、俺をフッ飛ばしながら抱き着いてくる時点でわかってたけど、有栖だね。
なんかちょっと泣いてる気がする。
「心配かけたか!?大丈夫だ。何もされてない」
「ううぅ!うううぅ!大試さんの……大試さんの純潔が、あんな泥棒猫に!」
「…………え?待って?何の誤解されてんの?」
ヒロインキュンとかいうギフトのヤバさを最も感じたのは、その時だったかもしれない。
何とか誤解を解いた俺は、代表団を連れてアメリカ側が用意した車に乗り込み、全員で滞在先のホテルへと向かった。
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