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学園の女子寮は、今回のこのサンタスニークミッションにおいてボーナスステージみたいなものだ。
なにせ今夜ここには、俺の婚約者2人と、その他友人やクラスメイトたちが結構いるからだ。
クラスメイトって言っても、名前も顔も覚えていないんだけども……。
有栖の味方をしてくれた女子たちってカテゴリーに入っていたので、部屋番号とクリスマスプレゼントのための侵入茶番劇を許可するかどうかだけ聖羅に聞いておいてもらったんだ。
全員大喜びだったらしい。
前にバレンタインとかで配ったプレゼントがかなり好評だったらしくて、持ってるだけで自慢できたそうだ。
それはそれで俺としても嬉しいけれども、今回配ってる腕時計は、まだまだ俺の技術が足りないせいで、単純な構造の物が多いからどうかなぁ?
素材にはこだわってるけどね?
あと、名前も覚えていないくらい関わりが薄い相手へ渡す腕時計は、基本どれもデザイン一緒だから自慢できるほどのものでもない気がするし。
素材にはこだわっているし、作るのに手を抜いてもいないから、防水性能も深海100mくらいでも平気なくらいにしてあるしで、個人的には満足行くものになってるんだけど、年頃の女子が貰ってどこまで喜んでくれるかはわからん。
おしゃれアイテムとしては、ちょっとだけ自信がない……。
でも渡すし!これが流行の最先端ですが!?って顔で渡すし!魔石電池を入れるための蓋の裏にシリアルナンバーも掘っておいたくらい頑張って作ったし!
貰ったプレゼントを質屋にでも売ったらわかるようになってっからな!やめてくれよな!
クラスメイト以外だと、ドイツのお姫様とその護衛のお姉さん。
あと、友達であることに強い執着がある後輩女子かな?
とりあえず1年の部屋は1階だから、先に3階にある会長の部屋によって、その次に2年の女子たちの部屋に潜入して、最後にお姫様たちのとこ行くことにしよう。
「というわけで会長の部屋の前まで来たけれど、時間も伝えておいたし、多分寝たフリしてくれているはずだ」
「ならばさっさと済ませ!ワシ早く終わらせて酒がのみたいんじゃが!」
「大試様 好き 好き」
「はいはい」
うーむ、この二人、潜入に関してはなんの役にも立ってないな……。
大精霊と魔神だし、ふたりとも浮かべるから着いてこれるだろうとお供に選んだけれど……。
いや、でもソフィアさんのセクシーサンタコスと、リエラのキュートサンタコスを見ると、俺の心が急速に満たされていくので、精神面でとても役に立っているか。
よしよし、後でご馳走を食わせてやろう。
会長の部屋のドアを開け、そっと中に入る。
ベッドの辺りまで進み、部屋の主の顔を確認する。
「……すぅ……すぅ……」
「…………」
あ、これ、ガチ寝だ。
本来この時期会長は、実家の予定で大忙しだったはずなんだけれど、クリスマス以降俺達と過ごしたいからととても頑張って、用事を前倒しで片付けてくれていたんだ。
だから、なんとか今日こうして一緒にクリスマスを過ごせることになった訳だが、疲れが出て、寝た振りでは済まなかったらしい。
このあと実家に帰るのに間に合わない場合、翌日に迎えに行くと説明してあるから、このまま寝かせておいても問題ないだろう。
「会長、お疲れ様です。プレゼントここにおいておきますね。明日迎えに来ますから、ゆっくり休んで下さい。大好きです」
「……ん……」
耳元で囁くと、少しだけ会長が笑顔になった気がした。
この人、普段はドヤ顔が似合うイタズラっ子みたいな感じなのに、寝ていると美人度が急上昇するから心臓に悪いな……。
会長のために用意した腕時計は、会長に似合いそうなパープルピンクなメタリックボディで、文字盤が少し大きくなっている。
明るいところで見ても、ただの俺基準でおしゃれな女性用の時計なんだけど、暗いところだと、文字盤に猫の目が浮かび上がる仕様だ。
もちろんその目は、猫のソフィアの物を参考にしているぞ。
きっと喜んでくれるだろう!
多分!
おしゃれかどうか、俺の基準だと自信はないが!
俺のプレゼントの代わりに、枕元に置いてあった俺宛のプレゼントを受け取る。
中に入っていたのは、ビロードっぽい光沢のある生地で、紫色のネクタイだった。
なんか、ホストっぽいな……。
おしゃれアイテムとして、紫色って、美少女には合っていても、俺にはどうなんだろうか?
それとも、俺にホスト的な会長は求めているんだろうか?
ドンペリタワー的な?
今度試してみよう。
肩抱いてぶどうジュースでも飲みながら甘いセリフを囁いてみれば、喜んでくれるかもしれない。
俺の心臓が恥ずかしさに耐えられればだが。
「さて、次の部屋行くか」
『オス人間!遊びに来たの!?遊んで!』
「うおっ!?」
部屋を後にしようとしたら、件の猫がいた。
そういえば、夜行性だもんなお前……。
「ほら、チュールやるから静かにしろ。会長起きちゃうだろ」
『わかった!チュール食べる!遊んで!』
「何もわかってないだろ……」
結局、ソフィアを宥めるのに10分くらいかけてしまい、かなりのロスタイムが発生した。
「時間を食ってしまったので、急いで次行きますよ!」
「次は、理衣の部屋じゃな?」
「ですです!」
女子寮の廊下を音もなく駆け抜ける。
もはやほぼ無視しているようなもんだけど、女子寮に男子は基本進入禁止だ。
別にこの国の法律ってわけじゃないから犯罪ではないけれど、見つかったら多分反省文では済まないと思うので、絶対に見つからないようにしないとな!
「あ」
「へにゃ!?」
しかし、理衣の部屋の前で、寝間着の理衣に見つかってしまった。
「……えーと、こんばんわ」
「こ、こんばんわ大試君……。ごめん、ちょっと大浴場に行ってて……寝ちゃって……えへへ……」
「危ないな……。それはそれとして、これから侵入したいんだけど、寝た振りしてもらっていいか?」
「あ、うん!ちょっとまってて!1分!」
「助かる」
部屋に駆け込んでいく理衣を見送る。
いやぁ、見つかっちゃったけど、これサンタ的にどうなんだろうな?
いいけどさべつに。
「大試様 大試様」
「どうした?」
「大試様は 濡れた雌 好きですか」
「濡れた雌って……。どうしてだ?」
「大試様 理衣様を見て 発情しました」
「…………」
確かに少し髪が濡れてて、顔が赤くなっている女の子はセクシィだと思うけれど、発情までしてたか俺……?
「リエラ、その事は内緒な」
「ハイです 蝶は 内緒にします」
「大試もちゃんと思春期の男子じゃのー!」
またもやソフィアさんにゲラゲラ笑われてしまった。
今日何度目だろうか?
あまりにも腹が立ったので、その大きなおっぱいを鷲掴みにして振り回してやりたい衝動に駆られたけれど、それこそが思春期の男子の発情状態な気がして辞めた。
1分経ったので、理衣の部屋へと入る。
ベッドに入っている理衣の下へ向かい、頭を撫でながら、早速恥ずかしいセリフを言うことにした。
「普段の理衣も可愛いけれど、湯上がりの理衣にさっきドキッとしちゃったわ。最初に出会ったときもかなりびっくりさせられたけれど、俺は理衣にドキドキさせられっぱなしなのかもしれない。だから、これは俺の仕返しだ。これで理衣がドキドキしてくれたら嬉しい。理衣、好きだ。愛してる」
「…………ひうぅ!?」
理衣のラッキーガールによって、俺は割と直接的なラッキースケベを堪能……被っている。
だから、俺からの仕返しも直接的で単純なものにするべきだろうと思い、直球で囁いてみたんだけれど、寝た振りしているのに声を漏らしてしまうほど理衣にはクリティカルヒットしてくれたらしい。
それがまた可愛くて、このままずっと頭を撫でていたくなりそうな……いやもっとすごいこともしたくなるような……。
「大試様 大試様 発情してます ね」
「…………」
俺は、正気に戻った。
「理衣、じゃあ後でテレポートゲートでな」
そう最後にささやき、理衣が頷くのを確認してから部屋を出た。
「ソフィアさん、俺って、そんなにエロガキですか?そんなに頻繁に発情しているように見えますか?」
「いや、むしろあの状況でなんもせん時点で相当な忍耐力じゃと思うぞ?枯れてるんじゃないかと心配になるわ。ワシの漫画知識じゃと、あそこまで行けば、後はもうエロエロに走らんほうがおかしいと思うんじゃが?」
「…………」
俺は、エロ多めのラブコメ主人公にはなれそうにない……。
心臓がいくつあってもたりないわ……。
ちなみに、さり際に理衣の枕元に置いてきた時計は、レモンイエローのボディに、伸縮機能をもたせたバンドを付けてある。
突然理衣のギフトが暴走して変身しちゃったとしても切れない構造にしてみた。
おまけに、万が一そうやって変身してしまって困っている時に俺に対して救助要請を出せるボタンも付けておいた。
今回作った時計の中で、一番電子機器が多い作品となっている。
きっと喜んでくれるだろう。
お礼に、貰ったネクタイは、紺色に白のポルカドットが入った割とオーソドックスなデザイン……かと思えば、裏側に『大好き』って刺繍が入ってるんだけど……。
「大試様 また 発情」
「次行くぞ!」
感想、評価よろしくお願いします。




