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当然のような顔で俺達のテーブルに同席した烏帽子コック。
おい、仕事はどうした?
シェフを呼ぶなんて洒落た行為、した覚えはないんだが?
「大試様 大試様 この白いの 美味しい です」
「うむ!悪く無いのう!」
「ぐぬぬぬ!私の焼いたお肉も食べてください!」
腹立つのは、あの烏帽子コック、ふざけた格好しているくせに、ちゃんと料理が上手い事だ。
しかも、イケメン。
白曰く、体を作る際にイケメンにしたという訳ではなく、人間だった時の顔そのままらしい。
腹立つわ!
パイ包み焼の中身は、グラタンというか、ホワイトソースの中にキノコやベーコンっぽいものが入っていて、とてもコクがある美味しい物だった。
委員長曰く、どれも旬のものらしい。
俺には、どの食材が旬なのかとかよくわからんが、とにかくおいしい事だけは分かった。
「あの、晴明さん。こんなとこで何してんですか?」
「先程も言ったけれど、クリスマスの為の準備だよ」
「クリスマスと陰陽師に、イベント数日前から前のりして来るほどの関連性がイマイチ感じられないんですよ」
「ははは、陰陽師かどうかは関係ないよ。娘と嫁と家族水入らずで聖夜を過ごしたいだけさ!」
だったら過ごしたらいいじゃん勝手に!
なのにこんなデカい店を作って、適当な建前を使って委員長を働かせてまでここに居る理由が聞きたいんだよ!
俺が突っ込みを入れようか迷っていると、委員長も加勢してくれた。
「私も聞きたいです。晴明さん……いえ、師匠。貴方がここに来た真の理由を教えてください!」
迫真の真面目な弟子ムーヴ。
流石は、真面目な光の陽キャの委員長だ。
俺としては、聞いておかないと俺にも被害が及びそうだから聞いてるんだけど、委員長的には、「何か考えがあるのなら協力するので、水臭い事しないで下さい!」とか考えていそうだ。
「うーん……。そうは言っても、本当に私は、家族でクリスマスを過ごしたいだけなんだ。この姿でね」
「その姿で……?それだと、流石にエネルギーが足りないですよね?確かに私もこの店を盛り上げて頑張っていますけれど、それでも賄いきれないくらい燃費悪いですよね?」
「確かにこの店だけだとそうかもしれないね。しかし、龍脈穴からの天然自然魔力は順調に吸い上げることができているし、クリスマスには、クリスマスなりの有効活用の仕方があるんだよ」
笑顔でそう言うと、可愛い幼女であるところのリエラの頭を自然な動きで撫でるイケメン晴明さん。
イケメンなので、その姿も画になるけれど、瞬時にリエラがパシっと手を叩いて拒否した。
リエラ的にナンセンスな相手らしい。
少し晴明さんのイケメン笑顔が引きつったが、なんとか気を取り直して続ける。
「ほら、キミたちだって経験があるだろう?クリスマスに世界中の子供たちが、強い欲望を持って願う究極のイベントがさ」
「なんですかその人聞きの悪い表現は……」
「ずばり!サンタクロースによるプレゼントだね!」
話をスルーされた。
やっぱりテンションが高いらしい。
「プレゼントがどうしたんですか?晴明さんが世界中の子供たちに、希望のプレゼントを配るとか?」
「流石にそれは難しいかな」
「じゃあ、どういう?」
「世界中は無理でも、王都東京くらいなら何とかなると思うんだ!そして、そのプレゼントを得た子供たちからは、子供ゆえの純度の高い感情のエネルギーを少し分けてもらう!そうすれば、クリスマスイヴからクリスマスにかけて、この体を維持することも恐らく可能だと思うんだよ!」
それはそれですごいけれど、本当に可能なのか?
「そもそも、プレゼントって何を配るつもりなんですか?子供たちそれぞれの希望を聞いて用意するなんて無理でしょ?」
「確かにそうだね。でも、子供があまり嫌わない物をプレゼントしておけば、多少イレギュラーが発生したとしても、十分必要量を賄える計算だよ!」
「子供に嫌われにくいものって?」
「ああ、今ここにサンプルとして持って来ているから見てみるかい?」
そう言って晴明さんがポケットから出したのは、透明なビニール袋に入れられた細長い白い物。
円柱型なので、一見チョークか何かみたいだったけれど、その上面を見せられてこれが何なのか何となくわかってしまった。
だって、あのキモイ安倍晴明ロボの顔がかかれてるんだもん。
これ、金太郎飴……いや、晴明飴とかそんな感じか……。
呪いのアイテムすぎる……。
「雨にするなら、もうちょっとポップでキュートな物にしましょうよ。最悪、無地で良いと思います。この飴のデザインは、流石に無いわ……」
「なんだって!?そんな……。頑張って手作りの金太郎飴の作り方を覚えて来たというのに……!」
そんな事言われても、誰もこの飴を喜ばないと思うし……。
「まあ、配る物に関しては、後で大試君の意見を反映させて、何か替わりを考えておくよ。あと、この人間の体でここに居るもう一つの理由は、単純に人間の体の動きを忘れてしまっているから、それを思い出すためのリハビリかな」
「リハビリ?」
「うん。あの絡繰りの頃のつもりで、首を360度くらい回しそうになったりするからね!」
「それは、さっさとリハビリしてください。怖いんで」
普通でも怖いんだから、ホラー映画みたいな動きはしないでくれ……。
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