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剣と魔法の世界に行きたいって言ったよな?剣の魔法じゃなくてさ?  作者: 六轟


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663/668

663:

 ~委員長に手を引かれてフードコーナーへと連れていかれてから1分後~




「大試様 大試様 蝶は アレ 食べたい です」

「ん?どれだ?」

「あの 白と 黄色いの です」

「あー、卵の寿司か」

「ハイです 白と 黄色い すし です」

「わかった」


 リエラに言われて、卵の寿司をトレイにのせた更に取る。

 ついでに、他のネタも試してもらおうと、サーモンとマグロとイクラ、イナリとツナマヨ軍艦も取っておいた。


 その際、寿司を提供するガラス張りの棚の裏にキッチンが見えた。

 そこに立っていた人物の後ろ姿に、何故か見覚えがあったような気がして、反射的に目線を逸らす。

 料理人なのだろうから、頭に縦に長い帽子をかぶっているのは間違いでは無いのかもしれないけれど、アレ、烏帽子じゃなかったか?

 いや落ち着け。

 大丈夫だ。

 俺は何も見ていない。




 ~委員長に手を引かれてフードコーナーへと連れていかれてから2分後~



「のう大試よ!ここのコックアホじゃぞ!私はコックです!って表情で変な帽子被っとったわ!」

「ソフィアさん、今日食べた物の中で何が美味しかったですか?おススメを教えてほしいです」

「む?そうじゃのう……春巻きなんてどうじゃろうか?皮がパリパリで食欲を刺激されるんじゃ!それよりコックが」

「じゃあ春巻きとってきますね。ありがとうございました」

「お、おう?」



 ~委員長に手を引かれてフードコーナーへと連れていかれてから3分後~



「大試君大試君!このお肉お勧めだよ!実は、あそこに置いてある生のお肉の中で、これが一番コスト掛かってるの!」

「委員長、そう言うの言って良いのか?」

「大試君になら言っても良いかなって!」

「そうか?まあ、それならいいけどさ」

「これ焼けてるからどうぞ?リジェネちゃんがいない今しか大試君に焼いてあげられないから、チャンスかなって思って」

「ほう、ホールスタッフ……いや、その姿なら、女中さんって感じか?そんな恰好をした美少女が焼いてくれた肉か……噛み締めて食べるわ」

「あはは……そこまですごい物じゃないけどね……」


 委員長に先程の人物について聞いてみようかとも思ったけれど、やっぱり見なかったことにした方が精神衛生上良さそうな気がするので、やめておいた。



 ~委員長に手を引かれてフードコーナーへと連れていかれてから4分後~



「ちょっと飲み物取ってくる」

「行ってらっしゃい!」


 委員長に笑顔で送り出され、ドリンクバーへとやって来た。

 うん、ドリンクの品ぞろえは、中々いいな。

 ところで、『京都産玉露』というのは、どのルートから仕入れたんだ?

 委員長が、実家の伝手であの自治区から買い付けたのかな?

 それとも、他にも京都に行っている人でもいるのかな?

 わからないな~。



 ~委員長に手を引かれてフードコーナーへと連れていかれてから5分後~



「大試様!ピザが焼きたてだったので持ってきました!」

「サンキュー」

「料理長さんが丁度持って来てくれたところで、運が良かったです!変な帽子被ってました!」

「サンキュー」

「ハイです!」



 ~委員長に手を引かれてフードコーナーへと連れていかれてから6分後~



「大試様 大試様 さっきの ちゃいろい すし 食べたい です」

「さっきの茶色……?」

「中に 甘い すっぱい ご飯 入ってます」

「あー、稲荷寿司だな。わかった。一緒に行くか?」

「ハイです」


 リエラを抱き上げて再びフードコーナーへ。

 寿司コーナーは、キッチンの中が見えるため早く離れよう。

 そうすれば問題ないはず……。


「これが稲荷寿司だけど、これで良かったんだよな?」

「ハイです 蝶は これが 食べたかった です」

「わかった」


 稲荷寿司を皿に乗せる。

 一瞬キッチンの中に居た誰かがこっちを見た気がしたけれど、気のせいだ。

 絶対に気のせいだ。



 ~委員長に手を引かれてフードコーナーへと連れていかれてから7分後~



「あ!大試君、そういえば新しいメニューがあったんだった!試してみない?」

「新しいメニュー?」


 委員長が、すごいいい考えが思いついたって表情でそんな提案をしてきた。

 なんだろう?

 委員長が勧めてくるなら、やぶさかではないが。


「あんまり大量には用意できないから数量限定なんだけれど、『季節の食材を使ったパイの包み焼き』ってメニューなの!」

「へぇ、なんか美味しそう」

「でしょう?じゃあ、ちょっと待っててね!注文するから!」

「注文?」


 不吉な言葉を残して、委員長が他の店員の元へ行き、何かを伝えていた。

 悪い予感がする。



 ~委員長に手を引かれてフードコーナーへと連れていかれてから8分後~



 白い料理人用の服を着て、ふざけた被り物をつけたイケメンが、銀色のトレイに皿を乗せてキザったらしく持ってきた。

 俺の本能が言っている。

 顔を見てはいけない。

 声も聞いてはいけない。

 面倒な事になるから。

 そう、俺はこんな陰陽師知らないし、関わりも無い筈だ。


「やぁ!久しぶりだね大試くん!」


 知らない知らない。

 聴こえない聴こえない。


「大試様 大試様 挨拶 されてます よ」

「おおう、こやつ、あの気味の悪い……」

「大試様!大丈夫ですか!?具合悪いですか!?回復魔術いりますか!?」


 他のメンバーが反応してしまったので、無視することが出来なくなってしまった。


「……久しぶりですね晴明さん。どうしてこんな所に?」

「もうすぐクリスマスだからね!」


 俺は、委員長の方に視線だけ向けて、アイコンタクトでメッセージを伝えてみた。


(めんどくさい浮かれ方してる感じ?)

(めんどくさい浮かれ方してる感じ……)


 俺と委員長の絆が深まっているのを感じる。

 恐らく、何度も同じ脅威に立ち向かっているからだろう……。





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