表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
剣と魔法の世界に行きたいって言ったよな?剣の魔法じゃなくてさ?  作者: 六轟


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

660/662

660:

「ありがとうございましたああああ!またのお越しをおまちしておりまああああす!本当におまちしておりまあああああす!」

「ソフィア様ああああ!」

「リージェーネ!リージェーネ!」

「リエラちゃんこっちに手ふってー!……キャアアアアアアア!」


 しめさばを退店した。

 うん、なんか、大騒ぎだったなぁ……。

 地方のオンボロ野球場で年に1度プロ野球が開催されるレベルのテンションだった気がする……。

 あのオーダーメイドの職人さん、どんどん製作速度が上がって、最後の方は、リエラがステージに上がって戻ってくるまでの間に1着仕上げてたし……。


 あと、毎回思うんだけど、服関係の場所に誰かと行くと、ほぼ確実に俺は空気になるんだよなぁ。

 いや、別にいいんだよ?

 目立ちたくなんて無いし。

 というか、むしろそれを何か活用できないかと考えているくらいだ。

 具体的に言うと、あの犬の頭被らなくても、アイドルちゃんとかに「ひっ!?」って言われないようなシステムができないかなと……。

 こう……存在はしているんだけど、身内でもない限り、委員長クラスの聖人にしか話しかけられないくらい存在感を薄くできたらなぁ……。


「大試様 服 嬉しい です」

「私もです!久しぶりに新しく服を買いました!これで一杯お仕事できます!」

「ワシもストレス発散になったわ!やはりここは良いのう!」

「それは良かった」


 全員ニッコニコである。

 女性のおしゃれにかける情熱は、年齢層に関係なくやっぱり強いもんなんだなとここに来る度に再認識させられる。

 俺なんて、何でこんなもんが販売されているんだろうって思わざるを得ないTシャツ買って喜んでるだけなのに。

 具体的に言うと、この国で一番売れているとんかつソースのラベルがそのままTシャツになっている。

 1500GPが半額になってた!

 お買い得!


 嬉しそうに自分の服を見たりクルクル回りながら歩くリエラの後ろをついて行く俺達。

 思い付きで出かけただけなので、ここからは特に目的地も無い。

 たまには、こうやってゆっくりするのも悪くないと思うんだ。

 ……なんて思っていると、リエラの動きがフッと止まり、すぐに俺の元へと戻って来て手を握られた。


「大試様 大試様」

「どうした?」

「お腹 すきました」

「おお……」


 そうか、コイツって飯食うのか……。

 いや、言われてみれば食べてたんだろうけれど、なんか魔神ともなるとその辺り超越してそうなイメージだったわ……。


「何食べたいんだ?」


 モンシロチョウだったんだし、キャベツとかか?

 農薬かけないで育てると、青虫に食われて芯しか残らないんだよなぁ……。

 それとも、成虫みたいに蜜でも吸うのか?


「お肉 食べたい です」

「肉……」


 かなりイメージと違う物が来て、少し狼狽える。

 肉かぁ……。

 肉食系妖精幼女……。

 うん、一部界隈では人気出そう。


「ワシも肉食いたいのう!デザートもあると尚良い!」

「では焼肉はどうですか!?焼きますよ私!いっぱい焼きますよ!」

「お肉 お肉 大試様 好き 好き」


 肉的な意味で好きなんじゃないんだよな?


 こいつら、新品の服を着ている自覚はあるんだろうか?

 いや、この世界だと割と服にタレが飛んだとしても何とかなりそうな気もするけどさ……。

 まあいいや!

 最悪アイが何とかしてくれる気がするし!


 というわけで、昼食が焼肉に決まった。

 しかし、普通の焼き肉では、正直面白くない。

 肉をモリモリ食べるだけなんて、折角可愛い幼女が初めて外食するというのに、あんまりではないだろうか?

 もっとファンシーな要素が欲しい!

 あくまで俺個人の意見ですけども!


 俺の拘りを最大限取り入れられる飲食店は無いだろうかと辺りを見回しながら進んでいると、大き目の飲食店が並ぶエリアへとやって来てしまった。

 そこで、お誂え向きというかなんというか、驚くほど俺の要求を満たすお店を見つけて立ち止まる俺達。


「ほう!ワシ、一回こういう店入ってみたかったんじゃ!」

「私もです!いっぱい焼きます!ブギョーですブギョー!」

「蝶は よく わかりません 美味しい ですか?」


 えらくテンションの高い大人2人と、よく分かっていない様子ではあれど、声が少し弾んでいるリエラ。

 俺としても、ここなら大満足な気がする!

 まあ、当たり外れも大きいんだけどなこういうお店って。


『焼肉バイキング Sunny Bright』


 看板にデカデカとそう書かれたお店に入っていく俺達。

 焼肉もサイドメニューの甘い物なんかも食べ放題らしいこのお店、さぁ……どれだけうちの美女と美幼女たちを満足させられるかな……!?

 俺は、から揚げあればある程度大丈夫です。

 あと、サーモンのお寿司。


「いらっしゃいませ!こんにちは!何名様でしょうか!?」


 入って直ぐに店員さんに声をかけられた。

 元気がありつつもうるさくない程度に計算されたその挨拶に、自然と明るい気分にさせられてしまった。

 成程……やるじゃないか。

 これは期待できるな……。


 ところで、だ。


「何してんの委員長?」

「犀果君!?」


 大正ロマンが溢れる和服に皮ブーツとエプロンという服装で俺達を迎えてくれたのは、光の陽キャ、委員長だった。




感想、評価よろしくお願いします。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
委員長がまた出てくれて嬉しいです。今度はどんなトラブルに巻き込まれるんでしょうね。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ