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剣と魔法の世界に行きたいって言ったよな?剣の魔法じゃなくてさ?  作者: 六轟


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652:

 不滅剣エキドナ。

 隠された力を解放することで、疑似的な不死を実現する剣。

 って設定。

 別に無敵の力ってわけじゃ無いんだけど、回復速度が物凄く速いので、死亡判定を受ける一瞬の間に、HPが0になったとしても回復してしまうので、このゲームの中であれば不死になれます。

 ただ、死亡判定を受けないだけで、痛みは普通にあります。

 そもそもこのゲームで、こんな痛みが発生する要素なんて無かったはずなんだけどなー!?

 ああああ痛いなあああああもおおおお!!!!


「大試、それ大丈夫なの?」

「大丈夫!死ぬほど痛いだけ!」

「そっか。よかった」

「良いの!?絶対ダメでしょ!」

「これぞ気合です!すごいです!」


 今どのくらい味方が生き残ってるのかわからないけれど、とりあえず聖羅の周りに投げた2人は何とか無事らしい。

 多分皆で何らかの魔術を使い、この原因不明の激痛から逃れているんだろうけれど、それだっていつまで続けられるかわからない。

 全滅して、現実世界にこの魔神モンシロチョウちゃんを解き放つわけには行かないので、確実に倒さないといけない。


 この痛みの原因を予想するなら、やっぱり背中の羽から鱗粉を飛ばしている事が一番ビジュアル的に考えられるけれど、少なくとも俺の強化された視力でも見つけられない。

 リジェネ曰く、俺達に対して先制攻撃はできないって話だから、きっとあのモンシロちゃん的に、これは攻撃ではないんだろう。

 プレゼントとか何とか言ってたから、本心から善意でやってくれている可能性が高い。

 魔力的な何かなのか、俺の目に見えないくらいの小さい何かなのか、俺の全く予想していない何かなのか……。


 まあ、わからないので考えてもしょうがない。

 これ以上現実逃避しても無駄だ。

 俺の魔力だって無限じゃないんだ。

 この謎の痛み……なんか、カッコいい名前つけようか……。

 うーん……インヴィジブルペイン……いや落ち着け!

 謎痛でいいよもう!恥ずかしいから!

 これをこの剣で無効化していられるのがあとどれくらいかもわからないから、決着を急ぐ必要がある。

 決着とはつまり、あの可愛い可愛い幼女を、俺が剣で切り裂くか、素手で撲殺するか、脚で蹴り殺すか……。

 何れにせよ、俺の人間性が疑われる事態になる事請け合いだ。

 それでもやるけどさ!


 俺は、痛みを無視して真っ直ぐ突っ込む。

 モンシロちゃんは、余裕の笑み……というより、俺が近づいて来てくれたのが本心から嬉しいのか、とってもキュートな笑顔で俺を待っている。

 この状況でそれは、ものっそい怖いだけだから止めて!


「こんの!いい加減大人しくしろよ!」


 とりあえず、あいさつ代わりの顔面パンチ。

 可愛い可愛いゴスロリフェアリーな見た目と違い、鉄筋コンクリート製のビルの壁でも殴ったような感触がする。

 いやいや、俺って結構身体能力上がった状態を参考にゲーム内にキャラメイクされてるから、鉄筋コンクリートくらい殴り壊せるはずなんだけど、それを考えればこのモンシロちゃんは、物凄い頑丈さだ。

 流石は、魔神って所だろうか?

 不可視の遠距離ダメージソースを持ってて、しかも物凄く硬いって、そんなんもう反則だろ……。


「痛い です 嬉しい」

「俺の良心が死ぬからそれやめて!」


 光悦の表情のモンシロちゃん。

 その幼女を殴る俺。

 罪悪感がすごい。


 それでも手を休めず、目の前の魔神ちゃんをとにかく殴りまくる。

 剣で斬りかかりもしたけれど、俺の剣は、早々に折れてしまった。

 不滅剣エキドナが折れたら困るので、後使える武器が拳しかないんだ。


「リンゼと有栖は、俺ごとで良いから、魔術バンバンたたき込め!聖羅は、そのまま皆を守ってくれ!」

「わかったわ!」

「わかりました!」

「うん」


 3人の返事と共に、俺の体が感じる痛みが増えた。

 さっきまで、ただただ痛いだけだったけれど、今度は実際に体に傷を伴う痛みが発生しているようだ。

 何が俺にぶつかっているのか考えるのも怖いので、まあ気にしないことにしよう。

 痛いけど。


「シオリもやる!」

「じゃあニャーは結界で盾張るにゃ!」

「おやおや、それでは私は攻撃役になりますか」

「ここで勝ったら一時帰国させて頂けませんか?弟に一目会いたいだけなんです」


 他にも何名か生き残っているようなので、心強い。

 まあ、多くの人員が俺に攻撃を加えている構図ではあるが、別にこれは俺が嫌われているからではないので問題は無いだろう。

 無いんだ。

 痛いだけ。


「お友達 こんなに たくさん うれしい です」

「これは、友達って呼べる関係じゃないだろ!?殺し合いしてるんだぞ!」

「……? 痛いの プレゼント しあってます 痛ければ 死にません ずっと一緒 いられます」

「その理屈がわからねぇんだよ!嫌だね俺は!痛い事ばっかしてくる奴が友達なんて!おらぁあ!!!」

「痛いの ダメ です? どうして?」

「痛いからだろ!辛いんだよ!」

「……………………………………………………よく わからない です」


 モンシロちゃんの中で、なんで痛いのがそんなに重要なのかわからないけれど、まだ会話の余地があるっぽい……のか?

 とりあえず、殴るのと並行して話しかけるだけ話しかけておこう。

 そう決意し、急所をガンガン狙いながら殴る。


「アナタは 友達って どんな 人の事 ですか?」

「そんなに多くないからわからんけど!一緒に居て嫌じゃない奴だ!痛い事は、するのもされるのも嫌なんだよ俺は!」

「でも 蝶は 痛いの 感じたら 体の 中の ぼわぼわ 無くなって 生き残れ ました 痛いの 良い事だと 思います」

「だとしても俺は嫌なんだよ!」

「…………そう  ですか」


 俺の言葉を聞いて、すごく悲しそうな顔になるモンシロちゃん。

 でもな?

 幾らそんな悲しそうな顔したって、俺に現在進行形で激痛感じさせてんのお前だからな?

 惑わされんぞ!


 しかし、そのすぐ後に、何かを決意したような顔になるモンシロちゃん。

 あれ?もしかして話し合いが通じた?


「わかりました 痛いだけ ダメ なら 蝶が アナタたちを 倒します 生き返って また遊んでください ね」


 ふんすっと可愛くあざといアクションをした次の瞬間、魔神ちゃんの背中側から、今度は目に見える鱗粉が大量にばら撒かれた。

 それが俺の皮膚に付いた瞬間、周囲の空間が大爆発した。






感想、評価よろしくお願いします。


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― 新着の感想 ―
クラスター爆弾か、カエンタケみたいな炎症系(擬似的な火傷、爆発)か、粉塵爆発か、まさか全部やっってるか。なんておそろしい。しかも硬いなんて。
鱗粉1粒1粒が爆発系とか鬼畜かな?
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