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剣と魔法の世界に行きたいって言ったよな?剣の魔法じゃなくてさ?  作者: 六轟


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610:

「マスター大試からの要請を受諾。即売会への参加を許可。しかし、この本を1000冊売りきるという行為は、非常に困難であると評価します」

「ピリカ、困惑でロリキャラ崩れてるぞ」

「……大試お兄ちゃん、このゴミみたいな本を本当に1000冊も売らないとダメなのです?」

「そうなる。何かいい方法無いか?」

「えっちな方法でもいいのです?」

「ダメ。それはもう試そうとしてたから止めた」

「了解なのです」


 ピリカは、十勝エルフの集落の管理に関しての権限は、メインでリンゼ、サブで現状アナスタシアに持たせている。

 しかし、ピリカ個人……個AIとしてのマスターは、俺という状態だ。

 だから、俺のお願いを結構聞いてくれるんだけれど、そのピリカですら困惑して苦言を呈す程度には、プリンセス本の内容が酷かったらしい。

 あ、プリンセス本って言っても、お姫様のエッチな本とかじゃなくて、お姫様が自分のリビドーに従って描いたってだけのもんだからな?

 内容的には、ショタ王子本になる。

 ルイーゼ姫の妄想内を一人称視点で表現されており、お姉ちゃんちゅきちゅきな弟王子と戯れるという内容が20ページほど続いている。

 山も谷もオチも無い本となっております。

 これをルイーゼは、秋葉原の同人誌ショップに自ら乗り込んで置いてもらえないかと交渉したらしいけれど、良くて半笑い、基本悲しい顔で断られたらしい。

 ああいう店って、委託を頼まれたら、内容はともかく普通に受け付けてくれるもんだと思ってたけど、流石に限度があるんだなぁ……。


 何故これを売る相談をピリカにしているのかといえば、今度ピリカが開催する同人誌即売会に出したいからだ。

 それに、ピリカはこう見えて同人誌の制作に関してそこそこ知識がある。

 何故なら、エルフの集落では、レズか百合同人が溢れていたからだ。

 一部には、BLもあったらしいけれども……。


 更に、それらの知識も使って出版社を作ったらしく、そちらで出している雑誌や本も結構売れているそうだ。

 俺は、普段あんまりテレビを見ていないから知らなかったけれど、ピリカの会社から出版しているマンガが何作品か、既にテレビでアニメになったりドラマになったりしているらしい。

 ピリカが王都で活動するようになってからまだ2年経っていない筈なのに、随分早く売れたんだなぁと思ったけれど、「ネット上での布教活動でピリカたちに勝てる存在は、現生人類に存在する訳ないのです」とのことだ。

 怖いね。


「ゴミみたいな本……」

「ご主人様の匂いがする……」


 ピリカと相談している俺の後ろに控えるのは、チョップされるよりも本についての評価を受けた時の方がダメージを受けているルイーゼと、メイド服……と呼んでいいのかいまいちわからないが、パーティーグッズ売り場にありそうなテカテカの安っぽくて露出の多い服に着替えたベティさんだ。

 因みにベティさんは、未だに正気に戻っていない。


「確認したいのですが、この本は、1ページ描くのにどのくらいの時間をかけているのです?」

「1ページ?そうですね……。10日程でしょうか?ページによりますが」

「何に時間を掛けているのだ貴様?」

「ピリカ、キャラ」

「……どうしてそんなに時間がかかっているのです?」

「何分マンガというものを初めて描きましたので。それに弟の可愛さを表現するには、その位の時間が必要なのです」

「だとしても、これ1ページに10日……。全部描き直して、新たに刷り直すというのは無理そうなのです……」


 成程。

 割と正攻法としては、最後の手段っぽい事を考えていたのか。

 残念だったなピリカ。


「そうなると、後は表紙を描き直して、しっかりした物につけ直す……というより、追加してしまうのがいいかもしれないのです」

「表紙?」

「今のこの状態は、表紙まで全て同じ紙なのです。恐らく、一番安いコースで発注したのではないかと。会議で使われる資料などに用いられるタイプのものですね。普通、この手の物でマンガが送られてきた場合、印刷業者から、本当にこの注文で間違いが無いか確認が来ると思うのですが、何か言われなかったのです?それも1000冊分も」

「私は、本の内容に自信がありましたから、印刷の質などどうとでもなると考え、確認事項には、ハイかイエスとしか答えていません」

「そうなのですか」


 普段、すごく自然な人間らしい動きをしているピリカ含めたAI娘たち。

 にも拘らず、今ピリカがギギギギっと音が出そうなロボットっぽい動きで首をこちらへ向けて、「こいつ本当に大丈夫か?」って感じの視線を俺に送って来た。

 でも、俺に聞かれても困る。

 多分、大丈夫じゃないもん。


「やはり、私がサキュバスになるしか……!私、ご主人様の為なら、乳首だって出せます!」

「落ち着いて下さいベティさん。もっと自分の事を大切にしてください」

「ご主人様が私を労わってくれる……大切にしてくれる……嬉しい……」


 こっちはこっちで大丈夫じゃねぇな?


「それでピリカ、表紙の事をもう少し詳しく教えてくれ」

「わかったのです。簡単に言うと、表紙だけ見て買う層に訴えかけて、中身がアレでも買わせようという話なのですよ」

「話し方はロリキャラなのに、内容がエグイな」

「私の本の中身がアレ……?」

「メイド服の中には、ちゃんとボンテージを着ていますよご主人様……」


 出版社の社長ってのは、子供の心のままではいられないのかもなぁ……。







感想、評価よろしくお願いします。


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― 新着の感想 ―
この駄目な2人の頭の中身デリートし記憶改竄した方がまだ楽そうな気がする
タイシーが大人の階段登りそうで怖いなこのニューメイドさん。タイシーの鋼の理性が壊されるのか見ものですね!…いやヘタレだから無理か。
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