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555:

「おはよう委員長!突然お願いしちゃってごめんな」

「いいよいいよ!犀果君と行くとまた何かすごい事起きそうで楽しみだし!」


 早朝6時、俺たちが駅に着くと、既に佐原侯爵家の方々が待機していた。

 相変わらず委員長は、俺のコミュ障を癒すくらいのコミュ強だなぁ……。

 はぁ……。


 ただ、委員長と仲良く喋れば喋るほど、残りの2人の気配が剣呑になるからここまでにしておこう。


「佐原侯爵と、お兄さんもお久しぶりです。今日は、よろしくお願いします」

「お義兄さん!?君に義兄と呼ばれる覚えは無いんだが!」

「ちょっとお兄ちゃん!犀果君に絡むのやめてよ!」

「京奈がいうならそうしようかな」

「そうだな……京奈が言うならしょうがない」


 相変わらずの娘と妹大好き父兄だ。

 その次に好きなのが酒とツマミで、共に目が逝く程の重さで好いてるんだよなぁ……。

 気を付けよう。

 目の前で委員長とにこやかに会話するだけで死亡フラグが立つし。


「じゃあ、こっちの紹介もしておきますね。リリアは、皆さんご存じですよね?」

「お久しぶりです!」

「やぁリリアさん、元気そうだね」

「去年京都から帰ってきたとき以来だよね?」

「そうですね。王都にはいましたが、いつも食べ歩きしていました!」

「「それで……」」


 去年、京都自治区から王都へと引っ越してきたリリアさんは、食欲に任せて王都の美食を堪能し続けた結果、あの儚げな線の細い美少女っぽい見た目から一転、豊満で煽情的な肉体へと変貌していた。

 それなのに太っているようにはならない辺り、流石はゲームの美少女キャラだけあるわ。


「そして、その妹に当たるリコと、アルテミスです」

「よろしく頼む」

「よろしくれす!」


 次に紹介するのは、リリアのコピーであるリコと、リリアを元に自分好みの肉体を作ったポンコツ上級AIのアルテミスちゃんだ。

 詳しい話は、面倒なので割愛。

 妹で通す。


「妹……?」

「父さん、妹って……」

「妹……」


 父兄が困惑している。

 当然だろう。

 ここは、彼女の出番だ。


「色々あって、妹さんが新しく見つかったんだって!」


 委員長には、リコとリリアの事情を昨晩の内に包み隠さず話してある。

 ただ、それをこの2人に話してすぐに理解してもらえるかわからないし、そもそも受け入れて貰えるともかぎらないから、敢えて伝えない。

 でも、委員長にさえ話を通しておけばそれで十分なんだ。

 だって……。


「京奈がそういうならそうなんだろうね」

「そうだね父さん」


 というわけだ。


「それと、実はもう1人連れていきたい子がいて……」


 そう言うと俺は、俺の後ろにくっついていた女の子を前に出す。

 彼女は、人外とかがいっぱいいる中ならともかく、普通の人間ばかりの所で姿を見せて、更に大人の男と会話するとなるとちょっと怖いらしく、俺の陰に隠れっぱなしだったんだ。

 前に出した今も、俺の服の裾を掴んでいる。


「し、白といいますです……。出身は京都で……。今回は、里帰りのためにご一緒させてほしいのです……」


 キツネ耳ロリ巫女である狐狗狸こっくり しろちゃん。

 物凄い可愛いけれど、この見た目で1000歳オーバー。

 仲良くなると、敬語が取れて妹感が増すぞ!

 因みに、あの珍妙からくり安倍晴明ロボ……いや、当時は普通の人間だった安倍晴明と、玉藻さんとの間に産まれた娘さんらしい。

 この前会った時、寂しそうにしていたので、もしかしたら京都に行くときに連れていって、晴明ロボと会わせたら喜ぶかもと思って呼んだんだ。


 当初、「でも、神社の電話番のお仕事が……」と渋っていたけれど、「いや、現代には、留守番電話っていう機能があるから……」と教えてあげた事で連れ出せた。

 しなやかなのにもふもふなキツネ耳に、長めのもふもふ尻尾。

 白い髪の毛……。

 うーん、可愛い。

 お揚げさんたべる?

 イナリ寿司にする?


「犀果君、彼女は……?」

「コスプレ……ではないんだよね……?」

「そうですね。半妖ってなるんでしょうか?俺の友人で、京都にいる知人の娘でもあります」

「「半妖……」」

「因みに、その知人というのが、京奈さんの陰陽術の師匠でもあります」

「「京奈の?ならいいか」」


 話が早い。


「犀果君、私に搦めていえば何でも通ると思ってない?」

「通っちゃってるじゃん」

「そうなんだよねぇ……はぁ……」


 委員長が、ヤレヤレって顔で自分の家族を見ている。

 愛されてるな委員長!


「さて、では時間も無い事だし、早速出発しようか!京奈は、犀果君たちを連れて席まで行っていてくれ。私たちは、車掌に挨拶してこよう」

「わかった!」


 そう言う侯爵たちと別れ、俺たちは列車へと乗り込む。

 京都自治区の最寄り駅までは、これに乗っていくわけだけど、そこからまた歩きなんだよなぁ……。

 俺は良いけど、うちのメンバーには、途中でバテそうなのが多い……。


「特にアルテミス、お前だ」

「何がれす?」

「駅から歩いて京都自治区まで行けるか?」

「無理れす」

「だよな?というわけで、駅からはお前は俺が抱っこしていく!」

「ここまでも抱っこされてきたので、たのみます!」


 片手を上げて笑顔でそう言ってくる幼女。

 うーん……守護しなければ……。


「犀果君って、妹さんにも甘いんだろうなぁ……」

「だだ甘じゃぞ。デロッデロじゃ」

「あ、ソフィアさん!お久しぶりです!」

「うむ!久しいの!おぬしの酒と菓子、毎度楽しみにしておるぞ!」

「それはそれは!」


 周りが色々言っているけれど、俺は紳士なんだ。


 そうして俺たちは、楽しい楽しい列車旅にでかけたんだ。







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