表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
552/605

552:

「「「「「「ありがとうございましたー!」」」」」」パチパチパチ


 店員さん全員……どころか、店内にいた女性客全員に見送られながら服屋を後にする。

 最後の拍手は、一体何に対して贈られたものなんだろうか?


 気苦労でヘトヘトな俺の表情とは裏腹に、他のメンバーの表情は晴れやかだ。

 そりゃそうだろう……。

 3時間かけてお勧めされた服を全部買い上げたんだから……。

 店の中、人間はいっぱいいるのに、棚はガランとしてたもん……。

 大きめの収納カバンを持って来ておいてよかった……。


「はぁ……私の服……可愛い可愛い私の……くふふ……」

「犀果様、このポンコツのためにわざわざ服を買う事にどこまでの価値があったのですか?」

「ぽんこつ!?ひどくないですか!?」

「自分で歩くこともままならず、自分の主人である犀果様に運んでもらっている貴方には、お似合いの表現だと思いますが?大体、月の上級AIが幼女になって、その上赤いゴスロリ衣装を着せてもらってご満悦とは……」

「ぐぬぅ!」

「そうだそうだ!私だってますたぁに抱っこしてもらいたいのに!」

「私は、おんぶのほうがいいのです。胸を押し付けて悩殺してやるのです」


 姦しい……。

 元々AIだというのに、肉体を得ただけでこうもワイワイガヤガヤと出来るようになるもんなんだろうか?

 とりあえず、美少女たちのワイワイガヤガヤは健康にいいのでどんどんやるといいよ。

 多分、周辺のいろんな方々の寿命が今延びてる。


「まあまあ、そこまでにしておくんじゃ!アルテミスは、生れて初めて服を買ってもらったんじゃろう?それならば、歳に関係なく、女は有頂天になるもんじゃろ」

「ソフィア様は、アルテミスに甘すぎるのでは?」

「何を言う!ワシは、女児には甘いんじゃよ!もちろんアイもイチゴもピリカにもダダ甘じゃ!ほれ、アメちゃんをやろう!」


 下手をすると大阪のおばちゃんみたいになりそうなチーター柄のシャツを着ているにも拘らず、何故か神々しさまであるその美貌。

 そんなソフィアさんが指をパチンと鳴らすと、虚空から飴が出てきた。


 りんご飴が。


「俺、その台詞でりんご飴出す人初めて見ました」

「じゃろ?」

「狙ってやったんですか……」

「当然じゃろ!インパクトは大事なんじゃぞ!」

「……もしかして、というより、もう確信もって言いますけど。ソフィアさん、今、かなり浮かれポンチ状態ですよね?」

「女は、何歳になっても服を買ってもらえば有頂天になるもんじゃ!」


 まあ、そうなんだろうな……。

 だって、今ここで俺の周りにいる女性の中で、一番年下なのがソフィアさんだろうし……。

 AI連中は、それこそ最低でも文明2つに渡って存在してきたわけで……。

 あの聖羅ですら、小さい時に俺が初めて罠で狩ったウサギで作った帽子をプレゼントしたら狂喜乱舞して、そのまま走り回って川に落ちて帽子を無くし、助けられて家に帰って来てからも、三日三晩泣き叫ぶほどだったし、ファッションって言うのは、好きな人にとっては本当に大切な物なんだろう。

 俺は、自分自身のファッションに無頓着だからなぁ……。

 あ、女性のファッションについては一家言あるぞ?

 まず、巫女服だろ?キツネ耳だろ?競泳水着だろ?それから……。


「じゃが、わざわざ水着まで買ったのは何故なんじゃ?」


 俺の思考を遮るソフィアさんの疑問。

 ふふふ……聞かれたなら答えねばなるまい!

 俺が提供する、この時期限定でとっても仲良くなる方法を!

 前世から、一度はやってみたかったんだよなーこれ!

 多分、前世で長生きしていたとしても、一度も体験しなかっただろうイベントでもあるんだけど!


 俺は、りんご飴を食べながら、同様にりんご飴をぺろぺろしている女性たちに言ってのける!


「ナイトプールだ!」

「「「「ナイトプール?」」」」

「なんれすそれ?」


 ふふふ!そうか!知らないか!

 知識の塊みたいな顔しておきながら、そんな事も知らないか!

 仕方ない!教えてやろう!


「えーとな……こう、夜にプールをライトアップして……。あ、ライトはピンクとか紫でだな……。陽キャたちがパーリィナイするやつで……。皆でワイワイやって……仲良し……みたいな?プールだから夏も堪能できそうだし……」


 俺の素晴らしい知識を聞いた皆は、集まってヒソヒソし始めた。

 俺の腕に乗っているアルテミスも集まりたそうにしていたので、俺もその輪の中に腕だけ入る。


「これ、自分もよくわかって無いやつじゃろ?」ヒソヒソッ

「恐らく。しかし、憧れはあるようです」ヒソヒソッ

「思春期……って感じがしたかなー?」ヒソヒソッ

「きっと厭らしいやつなのです」ヒソヒソッ

「このりんご飴おいしいれす!お代わりください!」


 言いたい放題言われているが、まあいいさ!

 お前らだって、実際に体験すればそのすごさに圧倒される筈だ!

 だって、本職のパーリィピーポーたちが挙って参加するんだぞ!?

 ナイトクラブみたいに、俺が普通に生きていたら絶対に関わらないであろう異次元の空間がそこにある!


 はず!


「というわけで、紫色のライトでも買いに行くか」

「それには及びません。私が持っていますので」

「アイが?アイってパーリィピーポーだっけ?」

「いえ、デコトラとデコワゴンを作った時の残りが大量にありますから」

「あぁ……」


 ゲーミングプールは、パーリィピーポー的にどうなんだろう?






感想、評価よろしくお願いします。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
巫女服キツネ耳お姉さんはいいぞ。 巫女服キツネ耳お姉さんはいいぞ。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ