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 白川郷の一部に地上型のダンジョンが生成された。

 これにより、我が白川郷リゾート(仮称)は、無限ともいえる食料自給を可能にしたのだ。

 代償として、魔物を倒さず放っておくと、そこまで強くはないとはいえ、魔獣たちが白川郷へと溢れだし大変な事になるけれど、そこはそれ。

 倒して倒して食いきってしまおう。

 今は、シオリが喜び勇んでダンジョン食べ放題ツアーに行ったので、暫くは大丈夫だと思う。

 聖騎士等のうちが保護したりなんだりしている女性たちも、美味しい食材が手に入るという事で出撃していった。

 なにせ、レベルが10とかそんなもんなので、一般人でもスコップ持ってりゃ倒せるような相手ばかりなんだ。

 それを倒すだけで、美味しい食材と経験値が貰えるんだから、これは中々客寄せになるのではないだろうか?

 夏休みの自由研究でここの魔物たちのドロップアイテムリストを作るというのもいいかもしれない。

 是非挑戦してみてくれ!

 参加費は……どうすっかなぁ……。

 まあ、それは追々でいいか。


「今回皆に集まってもらったのは他でもない。白川郷を観光地にするにあたって、どんなお店、もしくは娯楽が有ったら嬉しいかという意見を聞きたかったからだ」

「大試屋がいい」

「聖羅しか喜べない物は却下」

「私もあれば嬉しいです!」

「アタシもまあ……1回は行くわね」

「もの好きすぎる……」


 今ここには、俺と聖羅と有栖とリンゼがいる。

 とりあえず身近な人たち全員から話を聞こうかとは思っているんだけれど、まずは婚約者からかなと考えた結果だ。

 因みに、会長からは「お休み」という答えを頂いて苦笑いをしながら撤退し、理衣からは「生徒会仮メンバーって話を思い出してくれる会長」という答えを頂いて「そうだな……」と言いながら撤退してきた。


「じゃあ、お煎餅屋さんがほしい。しょっぱいやつ」

「あー、悪くないな。常温で日持ちするからお土産にもなるし。採用!」

「でしょ?あと、お土産なら木刀も置いてほしい」

「それもまあ採用!」


 聖羅がドヤ顔をする。

 毎日テレビを見ながら煎餅齧ってるだけの事はあるな。


「私は……貸衣装のお店が欲しいです!皆で一緒に和服を着て温泉街を歩き回ったりしたいです!」

「それも悪くないな!採用!」

「ありがとうございます!」


 江戸時代風のコスプレとか、割と人気出そうだもんな。

 何より、観光客相手のぼったくり気味の値段設定にしやすそうなのがいい。

 それに、十二単を着てキャッキャと喜んでいる有栖が見たい。

 すごく見たい。

 あれすごく重くて、着た状態で動くのは結構大変だって話だけど、有栖のパワーなら平気だろうし。


「折角自然豊かな場所なんだし、管理釣り場を作りなさいよ。なんなら、美味しい魚でも養殖してブランドにしちゃいなさい。白川郷サーモンよ!」

「おお!豊富な雪解け水を使って育てられた脂の乗った極上サーモンか!食材は、ダンジョンから豊富に集められるとは言え、ダンジョンの中で遊ぶって訳にもいかないし、他の場所で管理釣り場や釣り堀を作って、そこで釣れた魚を焼いて食べれるようにするのもいいかもな」

「本当に作ってくれたら、アンタと2人きりで試してみたいわ……。その時は付き合いなさいよ?」

「わかった。採用!」


 リンゼが珍しく素直にお願いをしてきたので、ノータイムで返事をしてしまった。

 冷静に考えたとしても肯定していたけれど、やっぱり婚約者から顔を赤くしながらそんな事を言われて断れる男がいるだろうか?

 いや、いない。


 あれ?おかしいな?

 提案された事全部採用しちゃったぞ?

 このままだと、俺が採用したお店だけで街ができるんじゃないか?


「ぬるい!ぬるいぞ大試よ!」


 そんな中、ズバッと腕時計から飛び出てくるソフィアさん。

 彼女の場合、甘い物か酒を要求してくるだろうという予想がつく。

 提案されたら採用するぞ?


「じゃあ、鋭いソフィアさんは、どんなお店が欲しいんですか?」

「うむ!まず、カップル限定ドリンクなどのこっ恥ずかしいメニューのある甘味処や醸造所は、わざわざワシが提案するまでもないくらいじゃろうから省くとしてじゃ……」


 やっぱりそれが欲しかったのか。

 でも、それを省いて他の店を提案したいのか?

 ちょっと予想外。


「やはりここは、予約制の貸し切り風呂が必要じゃろう!」

「「「!?」」」


 ソフィアさんが変な事を言った瞬間、聖羅たちの目の色が変わった。

 貸し切り風呂がそんなに欲しいのか?


「……貸し切りという事は、混浴もあり?」

「もちろんじゃ聖羅!」

「み……水着……せめてタオルを巻いて入浴しても怒られないですよね!?完全な裸じゃないからセーフって良い訳もたちますよね!?」

「もちろんじゃ有栖!」

「まあ……アタシは別にどっちでもいいけど……大試がどうしても一緒に入りたいっていうなら良いと思うわ。両者合意の上でね」

「もちろんじゃリンゼ!」


 何故か皆食い気味で賛同している。

 そんなに魅力的か?

 それなら、俺達用に露天ぶろ付きの別荘的な物作っちゃうか?

 一応今の家にだって、大き目の風呂場とプールもあるんだけれど、旅行先はまた別カウントなのかもしれない。


 3人から肯定的な意見が出たのを確認したソフィアさんは、徐にスマホを取り出した。


「あー、ワシじゃワシ!ソフィアじゃ!水城よ!観光地には貸し切り風呂が欲しいとは思わんか!?」

『欲しいわ!猫も可よね!?』

「もちろんじゃ!じゃあの!次は……理衣!ワシじゃ!ソフィアじゃ!貸し切り風呂が欲しいと思わんか!?」

『欲しい!あ……でも、大試君にエッチな女の子だって思われたりしないかな……?』

「大丈夫じゃ!大試の童貞力の前には、ガッチリ服を着てようが脳内でエッチな事考えてるじゃろうし!」

『えっと……じゃあ、いいの……かな?』


 そんなこんなで、やけに押しの強い大精霊エルフによって、貸し切り風呂が建てられる事が決定した。

 あと、ソフィアは多分温泉に連れて行ったら大暴れして逃げようとすると思う。






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