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528:

「ではでは、早速ダンジョンを作りましょう」


下見を兼ねて、白川郷の観光地化予定の地域へとやってきた俺。

イチゴエアで飛んできたので、イチゴも一緒だ。

そして、自分も担当になるのだからとソラウも一緒に来ている。

そのソラウが、イチゴエアから降りてすぐに言い放ったのがさっきの言葉だ。


「……確認していいか?」

「はいはい、何なりと」

「ダンジョンっていうのは、あのダンジョンのことか?」

「ダンジョンの他にダンジョンがあるのかは存じませんが、恐らく大試さんがイメージするダンジョンではないかと」

「……アレって作れるのか?」

「ダンジョンボスのようなものとして生まれた私であれば可能です」

「おおう……」


つまり、ソラウがその気になれば、町中から魔獣がポコポコ生み出されるような状況にもできるってことか?

なかなかすごいな……。

これからもいい子に育てていこう……。


「とはいえ、秋に集中して展開されるダンジョンと違い、常時展開型にするのであれば、流石に100レベル超えの魔物が出てくるようなものにはできません。収穫できる食材も、それ相応のものにランクダウンするでしょう」

「そうなのか。それでもダンジョン作りたいって事は、何か狙いがあるんだよな?」

「レベルが10程の雑魚魔物からドロップする食材だとしても、この世界基準であれば十分高級食材と言える質のものが出ます。ですから、レストランで使用する食材の供給源としてはもちろん、食材の収穫自体を観光資源にできないかと考えました」

「収穫を?」

「はいはい。自分たちで狩った魔物からドロップした食材を事前に渡しておけば、食事の時間にそれらを調理して提供するサービス等如何でしょう?もちろん、ドロップしたものを自分たちでそのまま食べていただいても構いませんので、バーベキューコーナーも設置いたしましょう。とはいえ、流石にあらゆる食材をお客様がドロップアイテムから揃えられるとは考えておりませんので、こちらからも食材を提供できるようにご用意はしますが」


あぁ、なんとなく観光地っぽいな。

さくらんぼ狩りとか、釣り堀の食堂とかのイメージだろうか?

ただ、そういう場所には共通点がある。


「もちろん価格は、ちょっとボッタクリの観光地価格だよな?」

「おやおや、そこは是非サービス提供料と表現していただきたいですね」

「ふふふ……ガンガンサービスを提供して、お金で返してもらわないとな」

「えぇえぇ、世の中ただより怖いものはございませんし、楽しい思い出のためにじゃぶじゃぶお金を使っていただきましょう」


ソラウと2人で悪い顔で笑みを浮かべる。

お主もなかなか悪いことを覚えたではないか!


「ところで、さっきからなんで尻尾巻き付けてくるんだ?」

「食材として生まれた私にとって、私を食べていただきたいと思える相手であり、実際に食べていただけた大試さんへの想いは、全感情の中で最高の優先度となっておりまして、オートで尻尾を動いてしまうのです」

「これ、そんなに親愛表現っぽいもんだったのか」


とりあえず俺に巻き付いている尻尾を撫でてみる。

鱗で覆われているはずなのに、そこまで固くはなく、しっとりしていて温かい。


「……んっ」

「あ、くすぐったかったか?」

「いえいえ……初めての感覚でした。これが……情愛……」

「……」


え?

尻尾ってそんな重要な感覚器官なの?

情愛って……。


「ますたぁ!」


変な雰囲気になりかけた俺とソラウの間にイチゴが飛び込んできた。

さっきからあざとくほっぺを膨らませながらこっちを見てたけれど、とうとう自分も構ってほしくて我慢できなかったらしい。


「いちごも考えたよ!食材ダンジョンが作れるなら、いちご狩りしようよ!」

「いちご狩り?」

「うん!私が品種改良して作ったいちごがあるから、これをドロップするようにしてもらえば、きっと大人気間違いないもん♡」

「おやおや、それは名案ですね。イチゴは、子供から大人まで大人気の食材です。しかも、市場で流通していない美味しい品種とくれば、多少ぼった……サービス提供量が高いとしても、食べたがる者は多いでしょう。観光地ですから、お財布の紐も緩いでしょうし」

「え!?なんかすごく褒められちゃった……。えっと……ありがとう?」


イチゴが珍しく俺以外のやつにお礼を言ったり照れたりしているだと!?

そうか……お前も精神的に成長しているんだな……!

その調子で、世界をぶっ壊す恐怖のAIから卒業しような!


「ではでは、イチゴをドロップするモンスターの設定から考えましょうか」

「あ、そうか。ドロップアイテムにしないといけないんだよな」

「えぇ……?いちごのいちごちゃんがモンスターから……」

「イチゴが提案したんだろ」

「そうだけどぉ……」

「デザインは、普通のいちごっぽくしておきましょう。但し、実のところに顔をつけるのは如何ですか?その顔が、実を収穫するときに叫ぶとか」

「恐怖しか感じねぇ……」

「おうおや?そうでしょうか?いちごの身といえばこの白い粒の部分ですし、それらすべてに顔をつけて叫ばせれば、賑やかで面白いかと考えたのですが」

「もっと怖いわ!」

「いちごのいちごちゃんが!?」


結局、全く動かない植物系モンスターに落ち着きました。

もちろん、収穫するだけで経験値が得られて、レベルが上がります。






感想、評価よろしくお願いします。


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― 新着の感想 ―
尻尾の付け根が割と敏感と聞いた気がするな 昔雌猫の尻尾重点的に撫でくりまわしたら足の擦り寄り度がヤバいくらいになってたからね…
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