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527:

 今日も今日とて5時間の視察ノルマを達成し帰宅。

 早朝に半分以上達成していたので、まだ夕食前と言える時間だ。

 アイ自身も、夜は帰ってきている。


「夜更かしは、お肌の敵なので」

「え?アイって健康に問題が出たりする体だったのか?てっきりそういうの全て排除したパーフェクトなヒューマンボディ的な物かと……。体、大丈夫か?」

「ご心配をおかけして申し訳ございません。今日は少し……そう、月に1度具合が悪くなる日なので……」

「ますたぁ、私たちのボディは、そう言う行為をしたときに発情状態になるから、普段はあの日なんて無いよ?」

「そうなのです。アイはサラッとウソをつくのです」

「恋は病と言いますから、月に1度どうしようもないくらい恋心が高ぶるというだけです。人聞きの悪い事を言わないで下さい」


 とか帰って早々話しながらワイワイしていた。

 仲いいなぁAIたちは。

 アイたちを残して居間を後にし、自分の部屋へ荷物を置きに戻りながら色々と考える。

 今気になる事といえば、やっぱり……。


「どうすっかなぁ料理人……。飛び道具的な多国籍な感じの料理を作る料理人は見つけたから、そっちには補佐できる人を募集するだけでいいから楽だけれど、問題は正統派の料理人なんだよなぁ……。それも和食が得意な人が望ましい。山奥で、観光地で、新幹線を自由に乗り回せるとは言え僻地勤務だからなぁ……」

「おやおや、大試さんは料理人をお探しで?」

「おおう!?……って、ソラウか。ビックリした」

「何やら独り言をぶつぶつと言いながら歩いているのが見えましたので、興味本位で観察させて頂きました。ふむふむ……人間は、本当に独り言というのをここまで漏らせるものなのですね……。大変興味深い……」

「どこに関心を持ったのかわかんねぇわ……」


 ソラウにとっては、俺達の行動一つ一つが面白い物であるらしく、未だに変な所で大喜びしている。

 可愛いので別に嫌な気はしないけれど。


「ホテルにするかデカい旅館にするかもまだ完全には決まっていないけど、どちらにしても和食が得意な料理人が欲しいと思ってるんだ。やっぱり白川郷といえば、昔ながらの日本っぽさを前面に押し出していきたいからさ」

「ふむふむ……。であれば、私から一つ提案があるのですが?」

「提案?何?」

「私がそこで働けば宜しいのではないでしょうか?」

「……ソラウが?」


 いや、確かにソラウは、自分自身でもガンガン料理できるし、新しい料理も、やる気と高い知能ですぐ覚えていくから、料理人として配属するのも悪くない考えではあるのかもしれない。

 とはいえ……なぁ……。


「うーん……」

「あくまで提案です。大試さんのお役に立てるのではと考えただけですので」


 少しだけシュンとした表情でソラウが言う。

 普段嬉しそうにニコニコしているソラウには珍しい表情だけに、破壊力がすごい。

 心が痛い!


「いや、別にソラウが料理人として不適格だとか、そう言うことを言ってるわけじゃ無いんだけどさ……」


 そう、むしろメインの料理人が美女だと宣伝できるだろうしメリットがすごい。

 だけども……。


「ソラウが家からいなくなるのは、やっぱりちょっと寂しいなと思ってさ……」


 去年の秋、いきなりシモフリドラゴンとかいうのから進化して尻尾のある女の子になるという驚きの生体を披露して見せたソラウだけれど、あの出会いからもう半年以上、もう数か月で1年にもなるんだ。

 それだけの期間一緒に生活してきたんだから、やっぱりいなくなると思うと寂しいんだよな……。


「おやおや……おやおやおや……!」


 そんな俺の情けない意見を聞いたソラウは、だがしかしヤケに上機嫌になってしまった。

 名前を付けてやった時以来の喜び具合かもしれない!


「どうした!?そんな喜ぶことあったか!?」

「いえいえ!大したことでは……いえ、大したことなのですが!えへえへ!」


 ……あれ?名前つけた時の喜び超えてない?

 しかも、顔が赤くなってるし……。


「まあまあ、ご安心ください大試さん。大試さんを寂しい気持ちにさせずに、尚且つ私が料理人として仕事をする事を可能にする案がございますので」

「そんな都合のいい考えが?」

「はい、テレポートゲートを作ってもらえば宜しいのです。私たち、犀果様の……そう!家族限定の移動手段として!最愛の!愛されている私たち家族!か!ぞ!く!」

「お……おう、確かにテレポートゲートを作ればちょっと毎日帰ってこれるな……?新幹線を作るからって、移動手段もそっちばっかり頭に入ってたわ」


 それなら、ソラウに頼むのもいいか?

 これから他にも都合のいい料理人が見つかるかもしれないけれど、その時はシフトを組んだりなんだりで増やせばいいんだし。

 俺が作る職場では、年間休日数を最低でも120日以上にしておきたいし、将来的に3人はメインで指揮をとれる料理人が欲しいな。

 とはいえ、最初の1人としてソラウは適任だ。

 定期的に尻尾を俺に食べさせようとしてくること以外申し分ないし……。


「じゃあソラウ、最初のうちは、俺のホテルのメインレストランを任せてもいいか?」

「えぇえぇ!このソラウ、大試さんのお役に立てるのであれば喜んで拝命しましょう!それで、私への報酬についてなのですが……」


 報酬か……。

 ソラウが何を欲しがるのかさっぱりわからんな。

 何でも喜びそうだし。


「今日の尻尾は、中々肉質が良いのですよ」

「……喰えと?」

「はい」

「…………」


 カラアゲにしたら、鶏もも肉を100倍美味しくしたような味でした。





感想、評価よろしくお願いします。


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― 新着の感想 ―
尻尾肉は確かに美味しいとは聞くよね…なんて想像したら涎が出ちゃったさ…
好意?持ってる相手から離れると寂しいって言われたらそりゃ嬉しいですよね。そしてとうとう尻尾を食べましたね。もしかしてソラウ回が来るのかな?どうなるのかわからないけどまたはちゃめちゃでドタバタで面白いん…
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