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剣と魔法の世界に行きたいって言ったよな?剣の魔法じゃなくてさ?  作者: 六轟


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526:

「というわけで、キオナさんに新しく作るホテルのレストランの1つを任せたいんだ。和のテイストもありつつ、異国感もあるメニューで度肝を抜く場所にしたいんだよね。そこで、カレーも甘い物もがんがん作れて、おまけに山奥の観光地に住み込みになっても受け入れてくれそうな人材を探してた所でさ」

「えぇ……?ホテルのレストランを取り仕切るって、それすごい重要なポストなんじゃないんスか……?あたし、山から出て来てからの対人経験、殆どこの店と買い出し位しかないんスけど……」

「大丈夫大丈夫!俺と普通に喋れてるし余裕だって!」

「大試くんだって初対面の人とは硬くなる上に名前も覚えられないじゃないッスか!」

「そうだった……慣れると平気なんだけどな……。無口になるか、攻撃的になるかで……。あと、慣れてる人たちとの会話でも、3人以上だと自分がどのタイミングで口を開けばいいのかわからなくなったり……」

「っスね……」

「え!?なんで2人ともいきなり暗くなってんの!?」


 メンタルが不意打ちでダメージを負ったけれど、それでもこれはチャンスだ。

 人外だけれど、料理が上手くて、美人で、普通の観光地(この世界にはそんなもん大して無いみたいだけれど)っぽくない料理を提供できる料理人で、新しい店が欲しいと考えているという欲張りセット的存在が目の前にいるなんて!

 しかも、よく知らんが山の中で元々暮らしてたみたいだから、白川郷というまだまだこれからな土地でも嫌がらずに暮らしてくれそうだし……。

 まあ、白川郷で俺の出資する店で働いてくれる従業員には、王都と白川郷間の新幹線代を無料にする年間パス的な物を支給しようと考えているから、買い物がしたくなったとしても問題なく王都に行けるだろうし、そこまで生活に支障はないと思うんだけどもね。

 あと、温泉も入り放題にしようかな……?

 いや、むしろ職員用に専用の温泉を作るか……?

 どうしよう……ホテルとか旅館作るのは楽しそうだけど、それより職員の福利厚生考える方が楽しいかもしれない……。


「でもぶっちゃけた話、繰り返しになるっスけど、本当にあたしでいいんスか?店長の方がいいんじゃ?」

「確かに魔王様の作るカレーは、他にはない素晴らしい物だと俺も思う。でも、王都から他の所にスカウトして連れてったら、多分ここに頻繁にやってくるどっかの王様がキレるから……」

「どっかの王様って、1人しかいないじゃないっスか……」


 俺は、週に3回くらいの頻度でこの店に通っている。

 なのに、その内の2回くらいは王様に会う。

 あのおっさん、死ぬほど忙しいはずなのに来すぎだと思うんだ。

 いや、死ぬほど忙しいからこそ、ストレス発散のために来ているのかもしれないけどもさ。


 ポポーポポポポ、ポポーポポポポ


「おう!来たぞ!」

「いらっしゃいませ~☆」

「来ちゃったな……」

「来ちゃったっスね……」


 どっかの王様が来店。

 一気に店の中の筋肉密度が上がった。


「父上、もう少し目立たないようにして頂きたい。王であるとバレれば、私もここに来辛くなるではないですか」

「今日は、お客さんいっぱいだね!」

「王子も来たぞ……」

「来ちゃったっス……」


 ロイヤルで暑苦しいのが2人も……。


「む?今日は、魔王は居ないのか!?」

「ちょっと出かけてるらしいですよ。新しいレシピが閃いたとか言ってたらしいです」

「今度は、夏野菜とシーフードだって!」

「ぐ!それは待ち遠しいな!明日も来るぞ!」

「いも……私も婚約者に食べさせてやりたい。スケジュールを空けるか」


 仕事しろよ王様と王子様。


「それで大試は何しているんだ!?飯を食ってるだけという雰囲気では無さそうだったが!」

「いや、白川郷を観光地にするために美食は欠かせないなと思って、俺がよく行く飲食店を参考にさせてもらいに来てたんですよ」

「なに!?話には聞いていたが白川郷でここのカレーが食えるようになるのか!?ならば行くぞ!」

「私もハネムーンに寄らせてもらおうでは無いか。ウェディングケーキも発注しておこう」

「……ってことらしいですけど、どうですか未来の料理長?ケーキとか作りたくないです?」


 俺は、悪い顔になってキオナさんに話を振る。

 プルプルしている彼女に止めを刺す!


「う……うぅ……!ああああああ!行くっス!元々あたしは、ケーキとかシュークリームとか、そう言う物が作りたかったんス!カレーも好きっスけど、一番作りたいものはそういうのなんスよ!」

「しゃああああ!美人料理長兼ホテルor旅館の看板娘ゲットだぜ!」

「……え?看板娘って何の話っスか?」

「折角美人のお姉さんをスカウトしたんだから、大々的にPRに使わせてもらおうかと思って。もちろんそんな事しなくてもいいけれど、もしやってくれたらギャラ弾みますよ?」

「ぐぐぐぐ!人間はやっぱり汚いっス!でもあたしも都会に染まっちゃった自覚があるんで、お金貰えるならやるっスよ!」


 キオナさんから快諾を貰えた!

 これで、正統派レストランの人員はともかくとして、もう一つのレストランの方は何とかなりそうだ!

 いやぁ、運が良かったなぁ!


「あ、そういえば確認してなかったけれど、キオナさんって独身?寮は作るつもりだけど、既婚者用も必要なのか確認しておきたい」

「いや、あたしそう言うの全然で……」

「へぇ、意外だ。パンクなロックが好きそうな服装だから、もうギター弾きながら生肉食べるの好きな彼氏でもいるのかと思ってました」

「そんなん化け物じゃないっスか……。そもそも、ユキオナゴは伝統的に、交わった男を冷凍して永遠に保存するって習慣があるんスよ。まあ、あたしみたいにそう言うのが嫌で里を抜け出すような変わり者もいるっスけど……」

「へぇ」

「ただ……」

「ただ?」

「あたし、お母さんが冷凍した男の人が持ってたスマホで見たアニメのキャラが好きで、現実の男に興味持てなくなっちゃったんスよね……」

「二次元コンプレックスの雪女かぁ」


 ビデオが無くなってきたせいで、DVDとかBDに対応し始めた悪霊くらいの時代の流れを感じるな……。

 その内サブスクにも対応するんだろう。


「なんスか!?恋愛対象がアニメの王子様じゃダメっスか!?」

「いや、正直そう言う設定好みですね。詳しくお話をお伺いしても?」

「ダメに決まってるじゃ無いっスか!」

「えー?ウチもキオナの恋バナ聞きたーい!」

「おう!俺も興味あるな!」

「ラッシーでも飲みながら聞こうではないか」

「何ノリ気になってんすかアンタら!?」


 その後盛り上がって、飲み物を5回もおかわりしてしまった。






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