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剣と魔法の世界に行きたいって言ったよな?剣の魔法じゃなくてさ?  作者: 六轟


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520/607

520:

「へぇ……新幹線を1ヶ月で納品しろとはねぇ……」

「無理ですかね?」

「ギャラ次第かなー……」

「……因みに、どのくらい要求します?」

「20デスくらいでどうだい大試君!?」

「俺の死亡数で取引するのはどうなんですかね……?まあ、それでいいならやりますけど……」

「やったああああ!実験したい魔道具いっぱいあったんだよー!僕が使うと10秒で死んじゃってさぁ……。あ、あとハンバーガーもありがとう」


 マル義兄さんの研究室を訪ねた俺は、高度な交渉によって新幹線の発注を行った。

 新幹線自体もアイたちに頼もうかとも思ったんだけれど、今後お客さんを大量に乗せて運用することを考えれば、今の文明レベルに合わせて作られた物である方が望ましいと思ったからだ。

 メンテナンスなんかまでアイたちに頼りきりになるのもどうかと思うので、あくまで一般の職員が運用する事を想定した車体にしたい。

 トンネルだけは、100年後の未来でも「え……?これどんな技術で作ったの……?宇宙人にでも教えられた……?」とでも思われそうな技術を惜しげなく使っているけれども、こればっかりは工期の関係上しかたがない。

 だってアイに頼まず普通の業者に頼んだとしたら、10年経っても多分完成してなかったと思うし……。

 リニアモーターカー……俺の死後、どうなったのかなぁ……?


「ところで大試君、新幹線を運用するシステムに関してはどうするつもりだい?」

「システム……とりあえず最初はうちの人間にやらせて、徐々に人材育成していこうかなって考えていました」


 アイとかに任せれば何とかなるだろ。

 多分。


「それも悪くないかもしれないけれど、どうせならプロに任せてみない?」

「プロ?どういうことですか?」

「今国内で運用されている新幹線は、全部ガーネット家の会社が制作しているのは知っているかな?」

「知らないですけど、まあそうなんだろうなって気はします」

「まあ、うちが作って売ってるわけ。でも、新幹線って言うのは車体と線路があれば運用できるってものじゃないんだ。運用ノウハウっていうのは、一朝一夕に培えるものではないからね」


 まあ、それはそうなんだろう。

 ただ、お金がなぁ……。


「観光施設や宿泊施設を作らないといけないので、できるだけお金は節約したいんですよ」

「それなら大丈夫!だって、その新幹線を運用するノウハウを持つ国内唯一の会社は、やっぱりガーネット家が運営しているから!親戚価格で受けてもらえると思うよ!」

「へぇ……」


 まあそりゃ、売るならセットというか、全部まとめたパッケージで売れるなら、それに越したことは無いか?


「因みに、誰が社長さんなんですか?公爵閣下ですか?それともマル義兄さん?」

「いやいや!ウチにはもっと社長に適した人材がいるからね!父でも僕でもないよ」

「え?じゃあ誰だろう……?」

「多分大試君は、会った事まだ無いんじゃないかな?」

「俺が会った事が無いガーネット家の人……?あ、もしかして、長男さんですかね?」

「その通り!うちの兄は、すごく優秀で真面目なんだよね。魔道具造りも得意だけれど、僕みたいに新しい物を開発するのは得意じゃないみたい。反対に、既に開発されている物を黙々と作る事とか、小型軽量化、効率化なんかが得意らしくてね。そんな感じだから、うちの兄妹の中では、兄が一番社長ってものに向いてるんだ」

「まあ……マル義兄さんが社長になって好き勝手したら、すぐににっちもさっちも行かない状況になりそうですよね……」

「だろう?まあ、僕が社長になってる会社もいくつかあるんだけれど、あくまでそれは名義だけでさ、実際には、僕より真面目でしっかりした親族が指揮を執ってて……って、まあその辺りは良いか!」


 いいんだろうか?


「それで、その兄がやってる会社ってのがGRって呼ばれててさ、ガーネットレールウェイカンパニーの略なんだけど、そこに発注するのが一番お手軽だと思うよ。大試君だって、別に自分で新幹線をどうこうしたいわけでもないんだろう?」

「まあそうですね。こっちとしては、同級生にして未来の大事な開拓民のリクルートのためにやってるだけで、新幹線自体はそんなに……。あ、でもホテルに関してはガチで手を出すつもりではありますが」

「大試君が作るホテルかぁ……。楽しみだなぁ……。ただ、ちょっとその前に注意点があるから伝えておくね」


 珍しくまじめな顔になるマル義兄さん。

 アンタにいきなりそう言う顔になられると怖いじゃないか。


「大試君、うちの兄はね、基本的には真面目だし、性格も人当たりが良い」

「はぁ……それは何よりですね」

「ただね、とんでもない地雷があるんだ」

「地雷?」

「うん……。まあ、その……なんだ……」


 目線を逸らすマル義兄さん。

 なんだよ!?

 言ってくれよ!


「あの人はね、鉄道オタクなんだ」

「へぇ……この鉄道があまり発達していない世の中で珍しいですね」


 前世みたいに、5分10分に1本電車がホームに入ってくるような世界ならともかく。

 ……まあ、俺の住んでいた所に電車は走っていなかったが。

 全部ディーゼルだった。


「うん……。しかも、その中でもかなり重度なオタクでね……」

「重度……?」


 なんだか雲行きが怪しくなってきたな?


「さっき大試君が言った、『新幹線自体はそんなに……』なんて言葉を聞いたら、ノータイムで魔道具ぶち込んでくるかもしれないから注意してね?」

「あれ?いきなりヤバい臭いしてきたぞ?」

「はいこれ、念の為魔道防弾チョッキをあげよう」

「えぇ……?」


 俺が死ぬような実験をさせようとしている人から心配されるレベルの危険な人……って事?

 こわない?




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こんにちは。 趣味を否定されたらズドン…893よりヤバい!?
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