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剣と魔法の世界に行きたいって言ったよな?剣の魔法じゃなくてさ?  作者: 六轟


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471:

「作戦を発表する」


 恐らく有史以来初めての試みだ。

 王家の牝馬が交尾したいというからと雄熊を捕獲して2頭を至近距離でお見合いさせるという頭のおかしい計画。

 提案したのは俺だけれど、それでも言い訳はさせてもらいたい。

 熊と交尾したがる馬が悪いだろ!!!


「まず、白花が見たっていうその熊だけど、毎日同じ場所に来てるんだな?」

『その通りです。自分た攻め込んでも大丈夫であると納得できるまでは攻め入らないつもりなのでしょう』

「なら、今夜決行だ。つっても、別に難しい話じゃない。やつがやってきたら、後ろから追い立ててうちの庭に追い込む。視界がひらけた場所で俺が力任せに奴を押さえつけ、その間に白花が見定める。それでいいな?」

『それでいきましょう。はぁ……私の生殖器が期待で発情しています……』

「勘弁してくれ……」


 いや、草食動物の発情の臭いとか出産の時の臭いは、肉食獣を引き寄せるって言うしむしろアリか?

 俺のメンタルを考慮しないのであればだが……。


「のう大試、ワシ、猫の世話しながらダラダラするつもりだったんじゃが、何故このような妙ちきりんな事になっとるんじゃ?」

「俺に聞かれても……」

『オス人間!トラウトサーモン食べたい!もう食べたい!』

『後でな……』

『じゃあチュール!』


 ソフィアさんにソフィア用のチュールを手渡してから、問題の熊の歩くルートを確認する。

 白花が言っていた地点に来てみると、確かに草が押し倒された跡がある。

 大型の動物がここに来ていたのは間違いないらしい。

 それも、これだけくっきり残っているってことは、複数回来ているのも本当だろう。


 熊は、自分の縄張りっていうものをかなり大切にする。

 それは魔獣も同じはずだから、この跡をつけた熊も多分同一の1頭だけだろう。

 餌がものすごく豊富な鮭の遡上してくる川とかなら話は別だけれど、そうじゃないこんな普通の場所の場合、もし縄張りの主ではない熊がこんなに堂々と動き回っていたら、縄張りの主の熊が放っては置かない。

 その辺りの執拗さに関していうと、熊の習性はかなりおかしいというか、人間には理解できないレベルなんだよなぁ。

 自分のものであると決めた場合、それが土地だとしても物だとしても絶対に他の者には渡さない。

 奪おうとするものがいれば、どこまでも追いかけて叩きのめす。

 だから、熊の倒した獲物を見つけたら、絶対にそれに手を出したらダメなんだ。

 逆に、その熊を誘い出す手段としてはぴったりなんだけども。

 開拓村でもよくやってたなぁ……。

 俺じゃないぞ?

 母さんが熊肉取るために……。


 まあ、今回はそんなストロングスタイルではなく、ちょっと後ろから驚かして追い立てるだけだから、平和的なやり方だと誰もが評価するだろう!

 その後俺がその熊を押さえつけるという工程がなければ……。


「その熊の狙いがなにかはわからない。白花を食べたいのか、魚を始めとした他の者を食べたいのか、俺達人間を食べたいのか、さっぱりな」

『雄に食べられる……うっ……!』

「……えーと、まあいいや……。狙いがわからない以上、おびき寄せるための餌を用意すると逆効果の場合がある。相手が頭が良くて慎重な個体である可能性が高いのであれば、そんな罠だとわかりやすいもんを用意するのは止めたほうが良いと考えた。だから、追い立てる事にするんだ。あの熊がやってくるのがこのルートで、熊が立ち止まるのがここ。そして、俺が隠れる場所がここだ」


 俺は、手書きの簡易的な地図を広げて説明する。

 白花は、非常に真剣に聞いている。

 ちょっと鼻息が荒いけれど、まあ理解はしているだろう。

 ソフィアコンビは、チュールとそれを食べる猫のことしか眼中になさそう……。


「白花は、安全を考えて馬房の中で待機していてくれ。鍵は開けておくから、俺が熊を取り押さえてから出てきてくれ」

『わかりました。私のベストルッキングガイをよろしくお願いします』

「……はい……」


 一体俺は何をしているんだろうか……?

 さっきから1分に1回は必ず自問自答しちゃってるぞ……。


「ターゲットに名前つけておくか。熊じゃわかりにくいし」

『実は、こんなこともあろうかと私が考えておきました』

「へぇ?どんなの?」

『ビゲストキャップストロングブラックベアー3世でどうでしょう?』

「多分生息地的にツキノワグマ系のデザインだからルナ18号にしよう」

『あの、ビゲストキャップストロングブラックベアー3世……』

「ルナ18号を取り押さえたら、白花に近くで見てもらって実際に交尾するかどうかを決めてもらう。俺としては、そこで諦めてくれることを期待しているけれど、もし交尾したいのであれば、そこから更に電撃で麻痺させつつ勃起と射精を電撃で誘発させて交尾を可能な限り短時間で終わらせる。それでいいな?」

『……はい、わかりました。あなたに従いましょう……』


 多少不貞腐れている感はあるけれど、もう俺が主導して行くべきだろう。

 何故って?

 白花の理想を追求するととんでもないことになりそうだからだよ!


「よし、じゃあ皆、これからやることはわかっているよな?」

「なんじゃ?チュールはもう流石に止めたほうがいいんじゃないかのう?」

『なんで!?チュール!もっとチュール!』

『あ、私もチュールというの貰ってもいいですか?新しい世界が開けそうな気がするので』

「そう!夜に備えて……昼寝だ!」


 頭疲れたからね……。






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肉食馬ほど熊より怖いものはない
子種をむしり取られるかもしれない熊くん可哀想www
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