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剣と魔法の世界に行きたいって言ったよな?剣の魔法じゃなくてさ?  作者: 六轟


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468:

「ソフィア!!!げんきでねぇええええええ!!!!」

「ニャアアアア!(苦しい!?オス人間!なんとかして!!!!)」

「私も寂しいわあああああ!!!!!」


 涙の別れをする美少女と猫。

 涙の理由は違えど、見た目としてはまあ美しいだろう。

 視界内に美少女がいるだけで世界は輝く。


「大試君……ソフィアの事、お願いね!?」

「はい、お任せください。それよりそろそろ時間ですし、急いだ方が良いんじゃ?」

「そうなのよね……わかってはいるんだけれど……ソフィアああああああああああ!!!」

「ニャニャニャア!!(だからギッチリ抱きしめないで!頬擦りしないでえええ!!!)」


 大騒ぎだなぁ……。


「すっごいのう……水城は、1週間ホテルの会合に生徒会長として参加させられるだけなのであろう?何故あそこまで……」

「まあ、ソフィアが心の支えなんじゃないですか?」

「照れるのう」

「ソフィアですよ?ソフィアさんじゃなくて」

「冗談じゃ。それはそれとしてわっかりにくいのう……」


 何でこんな事になっているかといえば、会長が王都内の高等学園の生徒会長によって行われる会議に呼び出されているからだ。

 期間は1週間。

 場所は、王都内で最も高級なホテルである『王国ホテル』で、期間中は泊りになる。

 会議と言っても、別に重大な物では無いんだけれど、将来的に学園の生徒会長になるような者たちは、それ相応に高いポストに就く可能性が高いので、それを見越して顔を繋げたり、会議自体に慣れさせたりするという狙いがあるらしい。

 一応議題も用意されていて、今年は『魔獣出没件数の急増について』となっている。

 んなもん学生に話し合わせても何にもならないだろうと思わないでもないけれど、それでも何かしらそれっぽい結論を出させることが重要なんだろう。

 集められる者たちの中でも、王立魔法学園の生徒会長はVIPだ。

 ほぼ確実に貴族だし、集められた者たちの中で最高の役職に就く可能性が高いのだからもちろんだけれど、それだけに期待も大きい。

 限られた人員と予算、そもそも学生たちに出せる答えでなくてはいけないという面倒な制限をかけられながら、それでもそれっぽいアンサーを提示するのは大変なんだろう(他人事)。


 それはまあいい。

 俺にはあんまり関係ないし。

 問題は、1週間寮を空ける先輩が、ソフィアの世話を侍女の方々に任せられないと言い出して家に連れて来た事だ。

 ソフィアは、見た目は完全に猫だけれども、神剣によって召喚された精霊なわけだ。

 無いとは思うけれど、もし万が一暴走したり、公にはしていないけれど、精霊であることを理由に狙われたりした場合、お世話係の方々にかかる負担が大きすぎると判断したらしい。

 それで連れてくるのが家な辺り信用されているんだろうし、猫を預かるくらい問題ないんだけれど、1週間愛猫から引き離されるという現実の前に会長自身が暴走気味なのが今なんですわ。


 仕方ない、このままだと埒が明かないし、何とかするか……。


 俺は、会長の方に手を置き、できるだけ優しい声と笑顔で語りかける。


「会長、ソフィアの事は俺に任せてください」

「大試君……」

「朝と夜に動画チャットできるようにしますし、アイが1人専属でお世話についてくれるらしいですから何も心配いりませんよ」

「でも……私……」

「それに、ソフィアだって、会長のそんな不安そうな姿を見せられたら、つられて不安になってしまいますよ?猫というのは、人間の感情に敏感なんです。さぁ、ソフィアに元気な笑顔を見せてから、会議へと出発してください。このままでは、愛しい主の事が心配で、ソフィアが泣いてしまいます」

「……そうね……そうよね!私やるわ!1週間くらいあっという間よね!頑張る!」

「ニャアニャア!(オス人間!チュールちょうだい!)」

「ほら、ソフィアも応援してくれています」

「ふふ!ええ、行ってくるわ!」


 そうして、会長は涙を拭きながら笑顔で出かけて行った。


「……疲れた」

「のう大試、猫ってどう世話するんじゃ?チュールやっとけば問題ないんじゃろうか?」

「そんな事は無いですけど……あれ?でも、精霊だからなぁこいつ……」


 差し出したチュールをベロベロ食べているソフィアを見る。

 猫缶でいいんだろうか?

 普段何与えられてるんだろうな……?

 キャットフードにも好みがあるだろうしなぁ……。


 分からない時は、本人に聞くのが早かろう。

 というわけで、チュールが無くなったタイミングでソフィアを抱き上げ、聞いてみることにした。


『なぁソフィア、普段食事って何貰ってんだ?』

『チュール!』

『オヤツじゃなくて、ごはんだ』

『いっつも違う物貰ってる!カリカリしたのとか!ネトネトしたのとか!お肉食べたい!』


 ふむ、どうやら飽きないように色々与えられているらしい。

 好き嫌いはそこまで無い感じか?


「そこまで決まっていないみたいです。カリカリでも猫缶でもいいみたいですね。本人……本猫?的には肉がいいらしいですが」

「肉のう……。折角じゃし、裏山で狩りでもしてみるかのう?」

「裏山?」


 俺は、家の裏の方を見る。

 確かに、山はある。

 あるが……ほぼ山脈って感じなんだけど、これ裏山になるんだろうか?

 ここで狩りってなったら、相当本格的な物なんじゃ……。


「ソフィアも新鮮な肉食べたいと思うじゃろ?」

『メス人間!今はごはんより遊びたい!』

「じゃよなー?」


 ソフィアさんがニッコニコでソフィアに構いだしたので、そのまま一旦任せて猫用の玩具を準備する俺。

 いやぁ……美女が猫と戯れているのは画になるわぁ……。

 俺なんて、チュールやっててもただの餌付けにしか見えんだろうしな。


「狩りは明日にして、今日の食事はアイに買い出しを頼みましょう。それより、折角ですから庭で遊ばせてあげませんか?」

「なんじゃ?あんまりお腹すいとらんのか?」

『空いてない!遊びたい!』

「おうおう、なら遊んでやろうぞ~」


 ソフィアにネコ用ハーネスをつけて、その紐をそわそわしているソフィアさんに渡す。

 ニッコリ顔で受け取り先頭で歩き出すエルフと、あまり馴染みのない自然豊かな場所に興奮気味の猫の後について、家の裏手へと向かった。





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