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遊園地に来て最初にしたのが写真撮影。
そして、そのままカフェでお茶。
もっと色々やることがあるんじゃないかと思われるかもしれないけれど……正直、とても堪能しちゃってる!
こんなのもう本当にデートだもん!
でしょ!?
うん!頭の中の皆も同意してる!
「男を落としたいならトイレに御香入れておきなさい」とか言ってた大昔の娘までキュンキュンしてる!
やっぱり、男の子とあーんし合うのは良いよね!?
だよねー!?
(ふむ、そこまで良いものか?もっと直接的な接触をしたほうがいいのでは?接吻は?生殖は?)
この人外ドロドロ以外は、もうずっとキャーキャー言っている。
でもコイツは、男女の心の機微とか全くわかってないからノーカンで!
「あー……恥ずかしかった……」
「そうですね……でも、楽しかったです……!本当にデートみたいで……」
「ん?男女で出かけるのってデートなんじゃないですか?いや、そもそも男女どころか同年代と出かけること自体殆どなかった田舎のコミュ障的感覚は当てにならないかもしれないですけど……」
「デート……えっと、これってデートでいいんですか?」
「そのつもりでしたけれど……。美寿々さんが、そういう事に憧れているらしいと小耳に挟んだので、たまの休日だし楽しんでもらおうかと」
「え!?誰がそんな事を!?誰にも言ってないのに……」
「あー……黙秘します……」
私ってそんなにわかりやすい女だったのかな……?
もしかして、私の気持ちにも気がついて……?
「アイドルたるもの、下手にそこらの男と出かけるわけにも行きませんからね!俺みたいに秘密を共有できる関係者じゃないと!社長ですからねー俺!」
あ、気持ちに関しては気がついてないよねこれ……。
「そのかわり、今日は美寿々さんのお願いはできるだけ全部聞いていきますから!何でも言って下さい!
え?何でも?
本当に?
どこまでならセーフ?
流石に、今の私にそこまですごい要求をする度胸は無いけども……。
「じゃあ……あの、ここに行きたいんですけど!」
それでも、このくらいなら大丈夫だよね!?
スマートフォンという、私が寝ている間に生まれた機械はすごい。
外で幾らでもインターネットというものにつなげて情報を得られるんだから。
もっとも、まだまだ私は使いこなせていないけれど……。
SNSというのをアイドルらしく初めてみたけれど、『和』とか『雅さを感じる』とか『おばあちゃんちに行った気分になった』なんて見た人から言われるんだよね……。
そんな私でも、『ガーネットランド カップル おすすめ』って検索することくらいはできるし!
その中から私が選んだのは、男女でくっつきやすい所が高評価というアトラクション!
「お化け屋敷?」
「はい!行ってみたかったんです!」
「成程……」
あれ?大試さんの顔がちょっと硬い……?
「わかりました。じゃあ行ってみましょうか!」
そう思ったのも一瞬だった。
すぐに私の手を引いて、案内図を頼りに進み出してくれる。
あー……本当にす
「着きましたね」
「着いちゃいましたね……」
「よく考えたら、ちゃんとしたお化け屋敷って初めてかもしれないです」
「私もです!地元には無かったので」
「前s……前に住んでいた地域では、学校の文化祭とかで生徒がやるしょぼいの位しか無かったんですよ。一緒に行く友達もいなかったので、あの時は一人でするする進んで何事もなく出てきちゃいました……」
「あはは……でも!今日は私がいますよ!」
「そうですね。よろしくお願いします」
「お願いされました!」
何をお願いされたのかわからないけれど、大試さんに手を握られてお願いされたなら答えはもう一つだし!
「ようこそ、ガーネットランド名物お化け屋敷へ!」
「すみません、ここの名前ってホーンテッドとかつかないんですか?」
「なんですかそれ?ここはただのお化け屋敷です。それ以上でも以下でもありません」
「成程」
大試さんが係員さんと話していたけれど、意味はよくわからなかった。
「カップルチケットでご入場のお客様ですね?当施設でももちろんカップルサービスがございます。この施設内には、1体だけ本物のゴーストが紛れております。そのゴーストを見つけると、カップル限定で呪いをかけてもらえる得点がありますよ」
「呪いが特典なんですか?」
「はい!数時間だけですが、甘酸っぱい雰囲気になる呪いです!因みにそのゴーストは、完全にガーネット家の管理下にあるため、危険は全くございません」
「ゴースト自体よりもその呪いのほうがびっくりだわ……」
「どうやら生前からイチャコラが好きな人間だったそうで……」
「へぇ……」
これは、絶対にそのゴーストを見つけないといけない!
甘酸っぱい雰囲気にしたい!
……なんて思って入ったけれど、出てくる幽霊やおばけは確かにすごい技術で本物みたいに見える。
なのに、正直あの神社の地下に何十年も居た身としては、全く怖くない……。
それはそれとして、怖がっているふりをしながら大試さんの腕に抱きつくんだけど。
「……うおっ!?ふぅ……」
あれ?
大試さんの様子がおかしい……?
もしかして、お化け苦手なタイプだった?
可哀想なことしたかな……?
「お化け、苦手でした?」
「お化け?いや、それはそこまででも」
「でも、さっきから様子が……」
「あー……いや、暗い所で動くものが見えると、俺の実家がある地域だったら普通に命の危険があったので……」
「あ、リアルで危なかった感じですか?」
「ダンプカーみたいなサイズの熊とか、綱引きで使う綱みたいな長さのヘビもいましたからね……」
なにそれ怖い。
どうしよう……。
そんな話聞いたら本当に怖くなってきちゃった……。
だからもっとぎゅっとしていいですよね……?
結局、ゴールしてもゴーストは見つけられなかった。
「残念でしたね。また次回挑戦してみて下さい」
「あはは……」
「頑張ります!」
ゴールにいた係員さんに慰められながらも、ちゃっかりと腕に抱きついた状態を維持する私。
もうこの後ずっとこのままでも何も言われないのでは?
よし、そうしよう。
「それにしても御二人は、なかなかのアツアツっぷりですね〜」
「アツアツって……」
「そうですか!?ありがとうございます!」
「私も生前は、そういうアベックを妄想して楽しんだものです。今日は良いものを見せていただきました」
「ははは……。楽しんでいただけたなら良かったです」
「えへへ……」
ちょっぴり恥ずかしいけれど、私に残された時間は少ない。
大試さんが私にこんなふうに付き合ってくれるのなんて、きっと早々ないと思う。
だから、今日の私はワガママになる!
胸に抱きしめたそのちょっとゴツゴツとした腕の感触を堪能しながら、決意を新たにした。
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