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剣と魔法の世界に行きたいって言ったよな?剣の魔法じゃなくてさ?  作者: 六轟


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433/615

433:

「変じゃない?大丈夫だよね……?」


 頭の中の皆に聞いてみる。

 数十年どころか数百年はオシャレにブランクがある女の子たちばかりだけれど、私と一緒に衣装さんやメイクさん、スタイリストさんたちに教えてもらったおかげで、今風のオシャレにも随分慣れてきた。

 その自分の感覚を信じるのであれば、うん!可愛い!……よね?


 鏡の中の私は、自分で自分を褒めたくなるくらい可愛いと思う。

 だから大丈夫……初めてのデートだけれど、きっと大丈夫……!




 今日は、久しぶりのお休みだった。

 たまの休日を満喫しようと思ってやる事を考えたけれど、最近忙しすぎたせいか、いざ休みと言われても何をしたらいいのか思い浮かばない。

 仕方なく、いつも通り美味しい朝食を頂こうと思って食堂に向かったら、大試さんが話しかけてきて。


「美須々さん、ザギンでシースーしません?」


 って誘ってくれた。

 まあ、最初意味が分からなかったけれど……。

 ようは、私がお休みを無駄に過ごそうとしている事に気が付いたのか、それならと一緒に出掛けないかと誘ってくれたらしい。

 それって、デートだよね……!?


 うん、皆の意見だと、10対0でデートです。

 なので、これはデート!


 行き先に希望があるかって聞かれたけれど、経験も無いからなぁ……。

 だから、マンガとかでアイドルの女の子がしていたお忍びデートを思い出した。

 あれは、幼馴染の男の子と主人公のアイドルである女の子が、変装をして遊園地で遊ぶって言う内容。

 途中でファンに正体がバレそうになって、男の子に手を引っ張られながら走って逃げたりとか、女の子の事を心配した父親がこっそりついて来ていて、それに気が付いて大喧嘩したりとか……。

 そして夕方、閉園間際の茜色の中で、2人はその日の最後に観覧車に乗る。

 夕日に照らされながら、今日が終わらなければいいのにって感がるヒロイン。

 でも、時間は止まらない。

 観覧車の天辺まで来てしまった。

 だからヒロインは、勢いと、ちょっとの勇気で男の子の隣に座って、手に手を重ねてしまう。

 顔が赤いのを夕日のせいにして。

 驚いたような顔をしている男の子の目を見つめて、そして……。


 うん!皆も賛成みたい!


 という流れで、遊園地に行きたいと言ってしまったんだよね……。

 それ自体は、よくやったぞ自分と褒めたいくらいなんだけれど、準備ができてもうすぐ出発ってなった今になって、不安になっちゃったんだよね……。

 世の中の女の子たちって、こういう時どうしているんだろう?

 もしかしたら、私と違って皆自信満々だったりするのかな……?

 いやでも、流石にそんな人ばっかりじゃないと思う!

 きっと、不安で不安で仕方ない娘が多いはずだよね!?

 だよね皆!?


 脳内会議だと、8対2くらいの割合で、不安な娘が多いだろうと予測されるっと……。

 2割も自分に自信がある女の子が私の中にいることが驚き!


「帽子ヨシ……伊達メガネヨシ……メイクヨシ……服ヨシ……。あ!えーと、万が一の……本当に万が一の時のための準備で下着は……ヨシ!完璧!」


 自分に言い聞かせるように、敢えてそう宣言する。

 今日の私は可愛い……!

 今日の私は可愛い……!


 そして、玄関で待っている大試さんの所へと向かう。

 どーだ!

 これが今大人気のアイドル様の本気だぞ!

 一目ぼれしても良いんだからね!?





「お……おまたせしましたっ」


 声がちょっと裏返っちゃった気がするけれど……まあしょうがない。

 だって緊張してるし……。


「いや、俺も今来たところなんで……美須々さん、今日のファッションすごく似合ってますね!春らしさもありながら、和っぽいテイストも入れつつ派手になり過ぎないように纏められてて、すごくいいです!」

「うひゅ!?あ……ありがとうございましゅ……」


 変な声が出た……変な声出ちゃった!!!

 うぅ……最近は、テレビに出るのも慣れてきたのに、大試さんに褒められただけでここまで心が乱れちゃうのはなんでなんだろう……。


 そんな私の恥ずかしい所を見なかったことにしてくれた大試さんの優しさに甘え、2人で玄関を出る。

 外には、デコタクシーが止まっていた。


「遊園地まで送ってもらいましょう。安心してください、今日は、デコレーションの電源を入れないようにお願いしてありますから」

「あはは……はい……は!?」


 確かに、それは重要な事だと思う。

 お忍びだって言っているのに、ピカピカされてたら目立つこの上ないし……。

 だけれど、そんな事よりも私の意識は、タクシーまでの道のりを進むためだけのために、手を差し出してエスコートしようとしている大試さんの行動に向けられていた。


「どうかしました?」

「えっと……えーっと……手が……」

「……あ!ごめんなさい!最近ロイヤルの女性たちの相手をすることが多かったせいで、つい……。嫌ですよね」


 そう言って手を下ろそうとする大試さんの手を慌てて掴む。

 はしたないかな?

 でも、勇気を出すぞ!


「嫌じゃないです!寧ろうれしかったです!よろしくお願いします」

「お……おう?なら良かったです。行きましょうか!」

「はい!」


 もうこの時点で、私の幸せメーターは合格点を越えていた。





感想、評価よろしくお願いします。


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― 新着の感想 ―
この時点で合格点超えてたら最後行くまでにキャパオーバーなるしかないな!
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