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剣と魔法の世界に行きたいって言ったよな?剣の魔法じゃなくてさ?  作者: 六轟


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402/610

402:

『過去最大の逮捕劇となりました今回の騒動。芸能関係者だけではなく、我々報道関係者からも多数の逮捕者が出てしまいました。テレビ局が3社も消滅するという事態となり……』

『現場では、警察のマスコットキャラクターのピーポくんが大量に目撃されており、一部では警察の極秘部隊によるものではないかと……』

『警察内でも多数の逮捕者が出ているらしく、芸能界との癒着が次々と明るみに出てきています。警察関係者によりますと、王が大鉈を振るったとの情報が……』

『収容施設の場所は、完全に極秘となっているらしく、1万人以上の逮捕者が出ているにも関わらず、その人数がとこへ移されたのかも判明しておりません……』


 すごいことになってるなぁ……。

 やっぱり、私がオーディションで感じたあの嫌な空気は、気の所為なんかじゃなかったんだ……。

 王様には、感謝しないと。

 もし私が社長に拾われていなかったら……そして、王様が摘発してくれていなかったら、私もいつか逮捕される側に回っていたかもしれないな……。

 うん!ツイてるぞ私!

 学園に入って1年、色々有ったし、何度か死にかけたけれど、それでも今は自分の運の良さを感じてる!

 女の子にあんな酷い暴力振るう人が同級生に居たり、変な化け物に変な空間に隔離されて死にかけたりもしたけれど、それでも私は今日からアイドル候補生なんだもん!

 ……あれ?そういえば、女の子に暴力振るってたのも、あの変な空間に一緒に囚われたのも、犀果君だったな……。

 あの人から離れてれば、私は割と安全なのでは……?

 よしそうしよう!

 2年生になったら、犀果君と関わらないようにしながら、アイドル活動を全力でやるんだ!

 もう、パパにもママにもお兄ちゃんたちにも、「アイドルなんて夢見てないで花嫁修業をしなさい」なんて言わせないぞ!

 私は、絶対にアイドルになるんだ!


 そのために、まずは今日、初めての出社だ。

 場所は、学園の近くの商業地域らしい。

 個人でアイドル活動をするために、私はアルバイトをしていた。

 だから、春休みになってからも実家へは帰らず、学園の寮に残っていたけれど、そのアルバイトも昨日で最後だった。

「本気でアイドルになりたいなら、アルバイトの時間もレッスンに励むワン。レッスンにかかる費用は、全部経費で落とすから領収書持ってくるワン。生活費は、ちゃんと出ているワン?……そうワンね。貰えてないなら、こっちで寮を用意しようかと思ってたワン」

 って社長が言ってくれたから……。

 正直、まだ駆け出しにもなれていない私にどうしてそこまでしてくれるのかわからないけれど、それでも、あの人からは、本気さが伝わってくる。

 名誉欲とか……その……スケベ?な理由で私をどうこうしたいからって訳じゃなくて、私をアイドルとして売り出したいっていう気持ちが!


 まあ、顔もみえないから、本当に「そんな気がする」ってだけなんだけれどね……。

 どんな人なんだろうなぁ?

 カッコいいお兄さん?

 渋いオジサマ?

 実は、綺麗なお姉さんだったり?

 声は、あのキグルミが勝手に変えるって言うから当てにならないけれど、そこそこの身長はあるはずだし……。

 うーん、想像できないなぁ……。

 黒いシルエットの男性ってことにしておこうかな。


 ピンポーン


 私の寮の部屋に、呼び鈴の音が響く。

 寮の玄関で、インターフォンに私の部屋番号を打ち込むことでこの部屋に音がなるようになっている……はず。

 ってことは、寮の玄関まで迎えが来ているんだ!

 迎えをよこすとは聞いていたけれど、本当に来てくれたんだ……。

 どれだけお金をかけてくれているんだろう……。

 もちろん、もう準備はできている!

 持ち物も何度も確認した!

 顔も……うん、良いと思う!

 可愛い……よね?可愛いぞ私!アイドルになるんだろ!


 玄関に出るとそこには、サングラスをかけた、黒いスーツの女の人が立っていた。

 サングラスをかけているのに、すごい美人だってわかる。

 こんなきれいな人、芸能人でも見たこと無い……。

 これが、芸能事務所……!


「お早う御座います、仙崎様」

「お……お早う御座います!」

「私は、仙崎様のマネージャーを務めることとなりました、アイコと申します。よろしくお願いします」

「アイコさん……」

「はい。5人目のアイということですね」

「5人目……?」


 どういうことだろう?

 5人目……愛……?

 まさか、愛人!?

 そんな……あの社長に限って……。

 ううん!きっと、社員にアイって人がいっぱいいるってことだよね!?

 そうだよ!


「さぁ、時間もありません。車に乗って下さい。何か聞きたいことがあれば、社内でどうぞ」

「わかりました!よろしくお願いします!」


 落ち着け私!

 変な妄想している場合じゃないぞ!

 芸能界は、きっと私が思っているよりでたらめな場所なんだ!

 一々驚いていたら、身が持たない!

 強い心で挑むんだ!


 10秒後、寮の前のロータリーに止まっているデコトラに案内されて、速くもその強いはずの心がくじかれかけたけれど、私は頑張ります。






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― 新着の感想 ―
社用車(?)デコトラなんだww
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