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剣と魔法の世界に行きたいって言ったよな?剣の魔法じゃなくてさ?  作者: 六轟


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401/610

401:

いつの間にか400話に到達していました。

ストレス発散のために書き続けている本作ですが、お付き合い頂きありがとうございます。

「……ぐお……お?何だここは……?」


 目が覚めると、知らない場所に居た。

 壁一面が真っ白で、天井には照明すら無いというのに何故か明るい。

 壁自体が光っているのか?

 それに、窓の一つもない。

 何がどうなっている!?


『目が覚めましたか?』


 声がした。

 その機械音声のような音の出どころに顔を向けると、そこにはロボットがあった。

 ……なぜこんな古臭いデザインなんだ?

 私の子供の頃のアニメにでもでてきそうじゃないか。


「何だこれは?」

『お早う御座います。いい朝ですね』

「おい、ここはどこだ?」

『……繰り返します。お早う御座います。いい朝ですね」

「おい!……へぶっ!?」

『挨拶は、生活の基本ですよ?』


 突然、掃除機のホースみたいなロボットの腕が伸び、恐ろしい速さで私の顔に叩きつけられた!

 このロボットを操っているのは誰だ!?

 私にこんなことをしてただで済むと思っているのか!?

 警視総監だぞ!


『お早う御座います。いい朝ですね』

「……おはようございます」


 どうやら挨拶が返ってくるまでこの理不尽が続きそうだと気がついた私は、早々に素直に返事を返すことにした。

 なに、この程度の媚びへつらいなど屁でもない。

 後から仕返しはさせてもらうがな!

 精々今は、自分が上位者になったつもりになって喜んでいれば良い!


『目が覚めたのであれば、今日の刑務作業へ向かいますよ』

「刑務作業?何を言っている?」

『おや、自分の置かれている状況を理解していないのですか?』

「だから何を言っているのかと聞いているんだ!」

『では、簡単に説明しましょう』


 ロボットは、その無機質な表情を変えること無く……そもそも表情が変わる機能が搭載されていないかもしれないが……私の前まで近づいてきて、説明を始めた。


『貴方は、収監されました。終身刑です。ここから生きて釈放されることはありません』


 怒り狂いそうになる自分をなんとか抑え、ロボットの説明を聞く。

 私は、一昨日このラフレシアという刑務所に収監されたらしい。

 逮捕される時に、かなりのダメージを負っていたからか、丸1日以上寝ていたそうだ。

 それを聞いて思い出す。

 そうだ……私は、あのガキに暴力を振るわれ、意識を失っていたのだ!

 貴族になりたての成り上がりのくせに、なんと調子に乗ったやつだ!?

 今すぐ逮捕してやる!


「おい!私は警視総監だ!今すぐ釈放しろ!」

『違います。貴方は、衆人番号12005号です』

「まだ言うか!」

『指導を開始します』


 ロボットがいきなり変なことを言い出した。

 その事に嫌な予感がした。

 それは、その数瞬後に現実のものになる。


『初回のため、右脚の小指からにしましょう』


 スビッ


 音なのか何なのか、私にはそれすらわからなかった。

 しかし、衝撃のようなものを感じた気がして、自分の右脚を見る。

 裸足の右脚には、小指がなかった。

 その事実に気がつくと、段々と痛みが染み出してくる。

 滴る……いや、吹き出す血に比例して、激痛が暴れる。


「なんだこれはあああ!?」

『教育です。反抗的な態度を行う度に、貴方は手足の指を失うでしょう』

「ぐ……あああおおお!」


 どういうことだ!?

 ここが刑務所だというのなら、このような馬鹿な真似が許されるはずがない!

 悪徳刑務官など、現実には早々いない。

 確かに、日常でも口が悪くなるほどの罵倒を浴びせる者は多いが、ここまでの拷問を行うなどありえない!

 だが、現実問題として、目の前のロボットは攻撃してきた。

 今、私がどんな抗議をしたところで、状況が改善する気がしない……!


「ぐぐぐ……」

『大人しくなりましたね。では、刑務作業へと向かいましょう』


 引きづられるようにして、どこかへと私は運ばれていく。

 ついたのは、シャワー室のような、床に排水口が存在する部屋だった。

 部屋の中にあるのは、何に使うのかもわからない機械と、人間を拘束するために作られたような椅子だけ。


「なんだ……何をする気だ……?」

『今から貴方は、人体実験の被験者となります』

「なんだと!?」

『ご安心下さい。死なないように最大限の医療体制をもって行われますから』

「そういう問題ではない!人体実験だと!?そんなこと、この日本で認められるものか!」

『問題ありません。ここは、日本ではないので』

「なんだと……!?」

『時間が押しています。始めますよ』


 私の動揺などお構いなしに、ロボットは私を椅子に固定していく。

 足の痛みで、抵抗する余力すら残っていない私は、完全になすがままだ。


『まずは、この薬品から試していきまましょう。提供者によると、マウス実験では、投与後数分で全身に激しい痛みを感じているような反応を示した後、皮膚が剥けて死んだそうです』

「まて……たのむ……なぜそのようなどくぶつを……」

『わかりません。しかし、この実験を行うことで、ギャラ発生します。それがあなた達やこのラフレシアを運営していく資金となっておりますので、健康に気をつけて今日も一日頑張って行きましょう』


 ここが……日本ではない?

 しかも、このような人体実験が容認されているなど、いったい何がどうなって……?

 私の混乱が収まる前に、ロボットによってなんらかの薬品が俺に打たれた。


 そこまでが、私が意識を取り戻した初日に行われたことだ。

 私は、どうやら激痛で気絶していたらしいが、怪我はすでに痕も残っていない。

 ポーションを使ったらしいが、治せばいいというものではだいだろうに……。


「ん?これはこれは!警視総監殿ではありませんか!?」

「……ん?おぉ!貴方はあの芸能事務所の……」

「えぇ!社長を努めています!まさか私のことを覚えていてくれたとは!」

「なに、そちらの女性アイドルが、非情に印象に残っていましてな」

「それはそれは……あ!?やめろ!ただ話していただけじゃないか!」

『私語は禁止と言ったはずです。教育を始めます』


 また指が無くなった。




 ここに来て、もう何日が経ったのだろう?

 すでに、時間すら曖昧だ。

 人体実験をうけたり、穴を掘ってから埋めるという何の意味もない作業を繰り返しているが、誰かが助けに来ることもない。

 どうやらこの施設は、本当に監獄のようだ。

 これだけの大人数が押し込められているにも関わらず、外部から救助が来ることもないということは、それを国は受け入れているということ……。


 何故こんな事になった……?

 私は、日本の平和を守っていたはずだ……。

 裏でバランスを取り、金と女を提供される代わりに皆の安全を守っていたというのに……。


 全ては、あの男のせいだ……。

 犀果大試……。

 あの男に関わったせいで私は……。


『お早う御座います。いい朝ですね』


 また、この無機質な声が聞こえてきた。

 朝が来てしまったか……。


「お早う御座います」

『では、今日も元気に人体実験へと参りましょう』

「……はい……」


 この施設に、死刑という制度は無いそうだ。

『死なせるくらいなら、最後まで利用し尽くして世間に貢献させます』とかなんとかあのロボットは言っていた。


 私は、あと何十年ここでこうしていれば良いのか……?

 すこし形の変わった手足の指を見ながら、誰も答えてくれない疑問を繰り返す。

 外からは、恐竜の鳴き声のようなものが聞こえた気がした。

 本当に恐竜なら、死ぬ前に1回は見てみたいものだ……。


 何を馬鹿な……。

 ゲームやアニメじゃあるまいし……。

 そう……これから私の身に待ち受ける苦痛も、この施設も、現実なのだから……。






感想、評価よろしくお願いします。


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― 新着の感想 ―
>私は、日本の平和を守っていたはずだ……。 鏡を目の前に用意させたほうがいいのでは?もしくは恐竜も屠れそうなブーメランを投げつけるとか
こんばんは。 本編400話到達おめでとうございます! 今回の監獄を見てて、何故かふと劇場版ドラゴ○ボールZのメタルク○ラ編に出ていたビッグゲ○スター(捕まった人達に「これからあなた達をすり潰して、ビ…
地底かー……脱獄しても生き延びる道がないなぁ
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