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観客席から、一つの人影が飛び出す。
それは、高く宙を舞い、ステージへと降り立った。
誰がどう見ても、その動きは常人のそれではない。
顔には、金色に光る覆面をつけ、着用している学生服の首元には、王家の紋章がついている。
アレは何だ!?
鳥か!?
飛行機か!?
俺だよ……。
「「「「「ターイーシー!!!ターイーシー!!!ワアアアアアアア!!!」」」」」
俺がステージに姿を見せたことで、会場が更に沸き立った。
なんでコイツらこんな盛り上がってんの?
絶対ただのノリだろ。
俺がこの安っぽいテラッテラのマスクつけるところだって、周りの観客は普通に見ていたし、なんなら会場中のモニターにも映っていた。
俺1人ならそこまで目立たないけれど、聖羅が近くにいりゃそれだけで注目を浴びるんだよ。
『タイシーマスク選手が今!ステージへと降り立ちました!今ここに並んでいる彼らが、今大会本戦へと参加することを許された、優秀な戦士たちです!改めて、盛大な拍手と歓声をお願いします!』
「「「「「わあああああああああ!!!!!」」」」」
わあああじゃねぇよ……。
俺がマスクつけてやってきただけで盛り上がり過ぎなんだよ……。
絶対8割以上の観客は、周りの奴らが騒いているから一緒になって騒いでいるだけだろ?
残りの2割ば、中身が俺だってことをわかっている状態で苦笑いしてんだ。
きっついなぁ……。
『それでは、これより出場選手たしへのインタビューを行いたいと思います!出場者たちは、それぞれこの大会での豊富を1分以内で語ってください!ではまずは、金持選手から聞いていきたいと思います!金持選手!今大会では、何位を目標としますか!?』
『愚問ですわね!優勝狙いに決まっていますわ!私の進む道を塞ぐ方は、須らくサックの錆にしてやりますの!』
金髪ドリルのくせに、言ってることはすげぇ野蛮だ。
『ありがとうございました!続きまして、速水圭吾選手!』
「右に同じ、といった所ですね。もっとも、一番戦いたいと思っている相手は、タイシーマスクとかいう人物らしいですけれどね」
刈り上げメガネが、メガネをクイッと位置調整しながら言う。
メガネがずれるってことは、サイズもあってないんだろうし、新しく買い直したほうが良いぞ?
その後も、出場選手たちが順番に今大会の目標や、今の気持ちを答えていく。
そして、とうとう俺の所まで司会さんがやってきた。
『最後になりました!さいは……タイシーマスク選手!今大会では、出場者の約9割がアナタを目の敵にしているようですが、それについて何かコメントはございますか!?』
『なんで寄りにもよってこんな格好でここに立っているのか、今も大して理解できているわけではありませんが、精一杯頑張ります』
『はい!無難なお答えありがとうございました!』
あ、これは思ったより俺のコメントが面白くなかったから、一瞬で出番を飛ばしたな?
いい心がけだな。
『それでは、第1試合を開始したいと思います!赤コーナー!速水圭吾選手!青コーナー!タイシーマスク選手!』
「はい」
「ふっ……どうやら犀果を倒すのはこの俺のようだな。2回戦以降の者たちには謝っておかなければ……」
刈り上げメガネが、なんだか舐めたことを抜かしながら対面に立った。
いい度胸だ……。
「どうやら、本気でやっても文句はでなさそうだな」
「犀果大試、本当に素手でいいのか?こちらとしては、貴様がどのような武器で戦っていたとしても文句をいうつもりはないんだが」
刈り上げメガネは、俺の手元を見てそう告げてくる。
だけど、先にお前は俺をDisってくれたな?
だったら、俺もイキリちらして対抗するか……。
「構いませんよ。好きなタイミングで突っ込んできてください」
「……その余裕がいつまで続くかな?」
刈り上げメガネの眼光がするどくなる。
そして、刈り上げメガネが腰につけていた刀を引き抜き、俺へと向かって構えた。
『どうやら両選手の準備ができたようです!それでは……試合、開始ぃぃぃぃ!』
「「「「「わあああああああああああああ!!!」」」」」
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