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雪すごいです。
積雪0だったのに朝起きたら1.5mくらい積もってました。
3時間除雪したのにまだなくならない……。
昔から……それこそ前世の頃から不思議に思っていたことが有る。
なぜ、漫画やアニメのキャラは、腹を殴られたら吐血するのか?
下血するのが先なんじゃないのか?と。
ましてや、腹殴られた結果の吐血なんてしている状態だったら、内蔵がかなり損傷している状態だろうし、大怪我じゃ済まない状況だろうに、なかなかそれで死ぬやついないよなぁと。
「でも、実際自分がその立場になると、咳とかそういう生易しいのじゃなくて、ゲロ吐くような感覚で血を吐いてる事に気がつくんだよな」
「ちょっと!?早く病院……いえ、聖羅に治してもらいに行くわよ!」
「いや、平気平気……ヒヒッ……なんとか……フヒッ……なるって……」
「何笑ってんの!?」
「笑いたくて笑ってるわけじゃ……ヒッ……多分脳が痛みに耐えられるように快楽物質的な物を脳内で分泌してるんじゃないかなフッ」
「それ大丈夫なの!?」
「まあ……多分こうすれば……」
俺は、いじ剣を取り出し腹部に巻く。
こうすることで、傷の回復はされないにせよ、これ以上悪化させずに維持されるはず。
ユリアナで実証実験は済んでいる。
「な?」
「な?じゃないわよ!」
大丈夫だって。
小さい時に熊と泥試合したときよりはまだマシだから。
左手食わせてる内に相手の目玉を潰したりなんて作戦をしているわけでもないし。
「僭越ナガラ、オリジンヲ置イテ帰ル事ヲオススメシマス」
「うるさい。お前もコレクションにしてやるってんだよ」
「理解デキマセン」
相手に理解を求める必要も、名乗り合う必要もないので、さっさと突撃する。
正直すごく痛いから、さっさと帰りたいし……。
変に動いてあのビームの狙いがブレる方が怖いので、まっすぐ正面から突っ込んでみた。
他の攻撃対象は、全員何重にも張られた盾の向こう側だし、確実に俺を狙ってくる筈だ。
狙いさえ絞れるなら、神剣を使ってビームを切り裂くくらいの事はできるだろう。
「排除シマス」
さっき腹に風穴を開けられたときの殺気のようなものを感じたその瞬間、カラドボルグを射線に差し込む。
シュン
音は小さいけれど、簡単に俺の体を貫通する光線が、神剣によって切り裂かれ俺の左右を通過していった。
うわあ……こわぁ……。
でも、そんな無茶なことをしたお陰で、相手の懐まで潜り込めた。
このまま機関部だけ破壊できれば……機関部どこかわからないから、当てずっぽうだけど!
しかし、流石にそこまで簡単に倒れてくれる程甘くない。
「吸入ノズル乱舞」
おそーじくんがそう言うと、左右のマジックハンドがついた蛇腹ホースみたいな物が急激に伸びて、出鱈目に振り回され始めた。
避けきれず、剣で受け止めるけれど、見た目よりもかなり重い一撃にふっ飛ばされ、振り出しに戻った。
って、よく見るとアレ掃除機のホースなのか……。
ウィーンって音させながら空気吸い込んでる……。
「ぐ!?ああああああ!?」
再度突っ込もうとした時、後ろの仲間たちがいる辺りから悲鳴のような、もしくは雄叫びのような声が聞こえた。
「姉上!?しっかり!どうしたのですか!?」
「この音……まさかこれが!?あああああああ!」
その発狂したような声の直後、カティノ様はユリアナに……。
「姉上!?」
「ぺろぺろぺろぺろ!!!」
飛びついて、舐め始めた。
「……っやっべぇにゃあ……」
「おやおや、例の音響兵器とやらはこれでしたか」
「掃除機の音で!?」
「猫とか犬も、掃除機の音で飛び上がるから……まあわからんでもないが……」
それより何より、イエスシスターノータッチ!とでも言わんばかりだったカティノ様がこうなってしまうほどの効果とは……。
侮れんな!
「……来ナイノデスカ?」
「まって、もう少しだけ」
くっ!早く止めてやらないと、カティノ様が醜聞をさらし続けてしまう!
こんなのおもしろ……不憫すぎる!
1分ほど様子を伺ってから、再突撃を開始した。
今度もビームを撃たれたけれど、狙いはかなり正確なせいで、剣で切り裂くこともなんとかなる。
それに、どうやら移動するための機関が壊れているのか、その場から動こうとしない。
あとは、両腕のロボといえばこれって感じの腕をかいくぐれば……!
「獲った!」
「目カラビーム」
勝利を確信した瞬間、2つの赤い目からビームが放たれた。
それを無理やり避けたけれど、肩の肉が抉られてしまった……。
目からビーム出す機能つけるなんて何考えたんだ?
古代文明のお掃除ロボットおかしいだろ……。
こんなの……こんなの……。
「最高すぎる!」
「いい加減諦めて吹き飛ばしなさいよ!本当に死んじゃうわよ!?」
「嫌だ!」
絶対死なない!
そのうえでアレを部屋に飾るんだ!
「木刀いっぱい!全部投げつけ!そして突撃だあああああ!」
「ダメにゃアレ。痛みと出血とロボみてハイになってるニャ」
「大試ー!おそーじくん狩ってー!」
「おやおや?ご両親の部下のロボットを壊しても良いのですか?」
「え?シオリ、攻撃されたら必ず壊してるよ?」
「成程、シオリ様は既に経験者でしたか」
「うん!おそーじくんすごく硬い!いっぱい殴る!」
「脳筋プレイというやつですね?」
投げ込んだ木刀の影に隠れながら、合計3本のビームを避けつつ進み、左右から迫る腕をギリギリで躱す。
初見だと流石にわかりにくかったけれど、何回か見ていれば、どの辺りなら避けられるかもわかってくる。
そして、近寄りさえすれば、剣を差し込んで最小限の破壊で止められそうな場所もなんとなくわかってきた。
腹部と思われる円筒のボデイの丁度中間辺り。
そこにあるスリットは、恐らく整備などをするときに開くドアなんだろう。
だから多分、ここを刺してやれば……。
「警告、警告、貴方ノ行動ハ国際法ニ抵触スル可能性ガ」
「今更警告されたって知らん!」
俺は、渾身の突きを放つ。
突き出した剣から、色々なものをめちゃくちゃに断ち切ってしまった感触がした。
あー……これ機械相手にしたらダメなやつ……絶対修理大変だぁ……。
まあ、お前もう展示物になるの確定だから、簡便な?
「オ……オオオオオ……」
おそーじくんは、ゆっくりと目の光を失っていった。
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