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剣と魔法の世界に行きたいって言ったよな?剣の魔法じゃなくてさ?  作者: 六轟


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332/617

332:

 どういうことだ!?

 どうなっている!?


 なぜ伝令が1人も帰ってこない!?

 3000の騎兵を送り込んだのだぞ!?

 仮に勝てないとしても、結果報告位はできるだろう!?


 タリオが帰らないのは良い!

 それは作戦通りだ!

 奴を地上で始末することで、戦時下を理由にワシが国を牛耳り、そのまま王となる作戦だったのだから!

 だが……だがだがだが!

 奴が死んだかどうかすらわからぬ!


 玄武洞から怪物が消えていると知らせが来たときには、運命の女神はワシに微笑みかけたのだと思ったが……!

 くそ!


 今からでも調査隊を派遣して……いや、3000の騎兵が1人も逃げられずに殺されるか捕獲されたと考えるなら、完全に無駄だ!

 出入り口が1箇所しかないことがここまで仇となるとは……。

 仮に逆侵攻を受けたとしても、来る場所がわかっているのであれば防ぎやすいと思っていたが、相手もそれは同じだったか!


 迷い人の身体能力から判断した奴らの戦闘力は、はっきり言って小動物のようなものだった。

 基本的な魔術であれば使えるようであったが、それも大した威力ではない。

 奴らからは、迷い人……地上人の中には、強力な魔術を使える者たちもいるとは聞いていたが、そのような者たちが防備を固めていたというのか!?


 我々の侵略を知らせることができたとしたら、あの忌まわしいユリアナくらいの筈だが、奴が仮に地上まで逃げ延び、そこで我々のことを洗いざらい吐いて回った所で、それを信用して地上人の強者が集まるまでには時間がかかるはずだ!

 その前に地上に橋頭堡を作ろうと、早急に出せるだけ出した結果が3000だったというのに……!

 一体何が起きたというのだ!?


「すぐに増援を出すべきだ!」

「愚かなことを喚くな!伝令の1人すら戻らないのだぞ!?まずは、少数を調査に向かわせるべきだ!」

「戦力を結集して、玄武洞か、もしくは洞窟とジェノユニバースの境界に防衛ラインを構築すべきではないだろうか!?」

「タリオ陛下はどうなった!?ユリアナ様も見当たらないぞ!」

「討ち取られたのではないか!?捕虜になっている可能性もあるが……」


 熟練の兵士である我が部下たち。

 その中でも特に優秀で、指揮官としての才能を認めたはずの者たちが、この会議室の中で慌てふためいている。

 無理もない……。

 ワシですらそうなのだ。

 彼らがこうなるのも当然と言える。


「静まれ」

「「「「「「!?」」」」」」


 だからこそ、ワシが慌てた姿を見せる訳にはいかない。

 無理にでも、落ち着いているように見せなければ。


「戦争なのだ。想定外の事態などいくらでも起こり得る。いちいち喚くでない」


 だからといって、このような埒外の事態が起きてたまるか!

 そう叫びたい心を無理やり押さえつける。


「軍務卿!我々はこの後どのようにすればよいのでしょうか!?」

「既に国中の戦力を国境警備に必要な数を除いて結集するよう伝令がでていますが!」

「それで良い」


 そうだ!それで良いはずだ!

 慌てることはない!

 相手がどれだけ強力だとしても、神ではないのだ!

 何か、どこかに付け入る隙もあるはず!

 そこに我が方の戦力を集中することさえできれば!


「相手がどのような戦力を有しているとしても、我が方から始めた戦だ。逆にこちらへ攻め込んでくるとしても、それなりの時は必要であろう」

「成程!」

「そうだ!まだ時間に余裕はある!」

「今のうちにこちらの体勢を整えて迎え撃てば……!」


 一応は、こ奴らの意識も上向きになったようだ。

 戦う体勢を整えていなかったはずの地上人に、我が方の3000の兵が蹂躙されたであろう事実を忘れようと必死なようだが。


 こうなれば、『アレ』を使うしか無いか……?

 超古代文明の遺産である精神兵器……。

 もともとは、我々の祖先を殺し回った忌まわしき殺戮兵器だったと聞いているが、今ではその殺傷能力は失われている。

 しかし、『アレ』から発する音を聞いた我々は、何故か精神に異常をきたし、攻撃的になってしまう。

 今までは、場内のみでつかって、戦意高揚に利用していたが……。

 こうなれば……。


「決戦は近い!皆のもの!心しておけ!」

「「「「「「「は!!!」」」」」」」


 そうだ、もう後戻りはできないのだ!







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