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「準備はいいなー?」
「聞かれるまでも無いわ!」
「はい!」
「これから国1つどうにかするのにこのメンバーで大丈夫なのにゃ?」
「おやおや、不安ですか?」
「「防御力は十分だと思いますが?」
「モグモグモグ!」
「不安じゃないほうがおかしいんじゃないかニャ……」
俺、リンゼ、ユリアナ、ファム、ソラウ、亀たち、シオリ、そしてほぼ装備品状態のソフィアさんでお送りしております。
「ワシは不安じゃあ……もうこんな場所全て消し飛ばしてしまえばいいんじゃ……」
「そんな!?」
「……うぅ……誰じゃこんな純粋な瞳もっとるやつ連れてきたのは……」
ヤサぐれているけれど、まあ俺のサポートユニットとしては優秀だし、大丈夫だろ。
「じゃあいくかー」
「ってかまずボスのテンションが低いにゃ。前回のウッザイくらいにハイテンションはどうしたにゃ?」
「いや、だってもう謎の民族でもなんでもないからさ……」
「えぇ……?ほらほら、あそこに恐竜もいるにゃ。張り切ってニャーの分も仕事するにゃー」
「……パキケファロサウルスか……あいつも羽毛がモサモサ生えてるデザインにリファインされるのかなぁ……。本当に勘弁してほしいわ……」
「まずいにゃ!ボスが変なところでナイーブになってるにゃ!」
「おやおや!尻尾食べますか!?」
食べない。
自分の体を大切にしろ。
「巫山戯るのそこまで!アタシたちがこれからするのは、遊びじゃないのよ!」
「リンゼ、その探検隊コスプレ似合ってるぞ」
「え!?そ……そうかしら……?ってコスプレじゃないわよ!これは、ちゃんとしたゲ……探検用の装備なの!」
ゲームに出てきていた装備だとしても、ホットパンツみたいな探検服は、十分コスプレの範疇だと思う。
性能がいいとしても、ビキニ鎧着ている剣士がいたらコスプレだと言われるのと一緒だ。
とりあえず脚線美が美しい。
「大試殿、では作戦通り離宮のカティノ王女に接触するのを第一に案内すればいいのだな?」
「そうだな。ぶっちゃけるとさ、俺達としては、キミらの国がどうなっても知ったことではないんだ。重要なのは、こっちに攻め込んできて面倒なことにならないようにするってことで。後のことは、キミら自身でなんとかしてもらわないと」
「もちろんだ!こちらから一方的に攻め入ったにもかかわらず寛大な措置痛み入る!この御恩はいずれ!」
日本としては、特に被害も出ていないし、万が一そのディロイ王国とかいうのを平定しちゃって、恐竜人間たちの管理までしろとか言われたら困るから、できるだけ無かったことにしたいんだよなぁ。
ツチノコみたいに、何億円も賞金かかったまま永遠に見つからない程度のUMAであることが一番国益になるって偉い人は思っているんだろう。
強いて言うなら、資源採集はしたいかもしれないけれど、前世の世界と違ってこの世界では、ダンジョンとかで魔物からドロップするもので資源は割と賄えているんだよなぁ。
金属はゴーレムが落とすし、化学肥料の材料はアンデット系の魔物から採取したり、鳥系の魔物が生息している場所の地面を掘り返すだけでいくらでも手に入る。
持続可能かはわからないけれど便利な世界だ。
だからこそ、この地下世界という限定的な空間でも、何千年とか何万年も生き残れるんだろうけれど。
「タイシ!おにぎりちょうだい!」
「はいはい」
シオリ、3個目のおにぎりを所望す。
エルフの上位種として作られたらしい彼女は、食欲もエルフを超える。
食料を与えておけば特に文句も言わないので、それは助かるけども。
今回は、地下世界の探索でもしかしたら他の者にはわからない野生の勘的な何かを発揮してくれるかもと思って連れてきた。
恐竜兵士に悪魔とか呼ばれてたし……。
「そういえば、この前攻め込んできたのは3000人くらいだったらしいけれど、ディロイ王国の兵士って総数どのくらいなんだ?」
「そうですね……5万程でしょうか。といっても、国中に警備で散っておりますし、王都に残っていて即応できる人員となると10000人ほどではないでしょうか?先遣隊として3000人近くが瞬殺されたのであれば士気も低いでしょうし……」
ふむふむ……。
「え?5万人も兵士がいるのか?」
「?いますよ?」
「……総人口は、どのくらいなんだ……?」
「えーと、確か去年のデータだと120万人ですね」
「120万……」
うん、ダメだ。
そんな国統治したくねぇ。
こんな地下世界なのにどんだけ住んでるんだよ。
「絶対にカティノ様を王位に据えて無事に帰るぞ!」
「「「「「「おー!」」」」」」
気合が入った。
俺自身の幸福のために。
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