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RE: 例の件進捗どうですか?
マルティン・ガーネットより大試君へ
僕は、真実の愛を見つけたよ。
彼女は、なんて素晴らしいんだ!
昔から、人間の体っていうのはなんて脆いんだって嘆いていた。
どうすれば強くなれるのか、どうすれば魔物と戦えるようになるのか。
その結果が、魔道具なわけなんだけどね。
もちろん研究開発は楽しい!楽しいんだが!
僕としては、生物種としても人間を強化したかったんだ!
色々考えたさ!でも、結局殆どが失敗だ。
遺伝子に関する研究がまだまだ足りなすぎるんだ。
これでも、その分野では世界一の知識を持っている者の1人であると自負しているんだよ?
更に、研究に使う機械を作るのだって僕だから、普通の研究者とは段違いのスピードで技術革新しているつもりだ。
だが!その自信は今日崩れ去った!
天才は、太古の昔に存在していたんだ!
彼女たち恐竜人間……彼女たち曰く、ディノロイドというらしいが、生物としての強さが僕らとは段違いなんだ!
筋力は人の平均の2倍は有るし、骨は所謂セラミック!しかも成長するんだ!
そして、彼女たちは繁殖する!わかるかい?繁殖だよ!?
一個体として無茶な作り方をしたわけじゃないんだ!
男と女がいて、性交を行い、子供を生むんだ!
しかもしかもしかも!!
遺伝子を解析したら、僕ら人間とものすごく近いんだ!
それに、弄った形跡まで有る!
つまりね、彼女たちは作られた存在なんだよ!
人間という種の情報に、恐竜等のデータを継ぎ足して、それでいて人としての形質も維持したまま生命体として成立させている!
正に究極の技術だね!
彼女たちが乗っていたという生き物は、別に人間の性質は持っていなかった。
恐らく、この恐竜みたいな生き物たちの遺伝子を使って人間を強化しようとしたんだろう。
ただ、問題も有る。
このデータを見ると、人として成立するまでに何世代かかかっているというか、種として進化することで成立したというか、とにかく、第一世代では完成していなかったように思われるんだ。
だけど、生物は強い!
彼ら自身が生き物として進化することで、恐竜と人の形質がいい具合に混じり合い、こうして今僕の目の前で生きている!
彼女を見てくれ!力強い体に太く長い尻尾!繁殖力の高さをアピールするかのような豊かな乳房!
顔は、やっぱり恐竜だけれど、僕的にはアリ……なんだ……。
どうしよう……自分にこんな性癖が有るなんて知らなかったよ……。
ねえ、どうしたら良いと思う?
プロポーズするべきだろうか?
その場合、多分大試くんに色々協力してもらうことになると思うけど、いいかな?
あ、ごめん。
実は、これもうプロポーズした後に書いてるんだ実は。
彼女の答え待ちなんだ。
初めて女の子ナンパしちゃったよー。
はははは。
「っていうね、連絡があってね」
「それは……その方はその……大丈夫なんだろうか?姉上は、無理やり交尾させられていたりしないのか?」
「交尾……それは大丈夫だと思うけど……うーん……」
生け捕りにした恐竜人間たちは、王様の指示で、我が国最高の研究機関に送られることになった。
それはつまり、リンゼの家な訳だ。
アイたちが超特急で運んでくれたよ。
最高機密、極秘で行われるソレに関して、一応詳しい内容をメールなんかで送れねーわと濁しながら問い合わせてみたんだけど、帰ってきたのがアレである。
「正直さ、困惑が隠せない」
「そ……そうか……そちらも大変なんだな……」
「うん……」
初めて会ったときからまる義兄さんはぶっ飛んだ人だった。
だから、今更と言えば今更なのかもしれないけれど……。
「あ、食べ終わった?足りなくない?」
「あ……あぁ、問題ない。とても美味しかった」
「そっか。じゃあ服を用意してもらうから、ソレに着替えたら出かけよう」
「出かける?どこへだ?」
「お姉さんのとこ」
「姉上に会えるのか!?」
「うん。っていうか、何もわからないから会いに行かないとどうしようもないし、話を進めるためにもユリアナには手伝ってもらいたくて……」
「わかった!連れて行ってくれ!」
女王様がどんな状態なのか俺にはわからない。
だけど、妹がいれば多少は口も軽くなるんじゃないだろうか?
出会って数時間で違う種類の生き物から求婚されているという異常事態で頭が混乱していたとしてもだ……。
「こちらです。ここからは、許可のない者は入れないことになっていますので、私はこれで」
「わかりました。ありがとうございます」
リンゼの実家の裏にある巨大な研究施設へとやってきたら、事務員みたいな人に案内されて初めて入るエリアへと来た。
バイオハザードマークがデカデカと描かれている扉の中に入ると、そこには信じられない光景が待っていた。
『あぁ、なんて美しいんだキミは!』
『やめろ……心にもないことを言うな……』
『本心だよ!僕は、初めて女性にトキメキというものを感じている!』
『仮にそれが本当だとしても、私は侵略者で、負けた敗残の女王で……』
『心配しなくて良い!僕の義弟に頼めば、いくらでも隠蔽できるから!そのためなら土下座……いや!地面に埋もれるくらい頭を下げるのもやぶさかではない!』
『……私のどこがそこまで気に入ったというのだ?妹であれば、お前たちと似通った姿だが、私は同族にすら陰口を叩かれていたんだぞ?まあ、胸は大きいし、顔もいいとは言われていたが、性格はキツくて付き合いきれない等とな……。そのディノロイドの間の評価ですら見た目だけの私を、地上の民であるお前がどうしてそこまで……』
『正直、見た目からして大好きだ。どこがとか言われても困る。もう何もかも好きだ。そんな自身のなさそうな表情も最高だ。今すぐにキミを抱きしめてベットへ連れていきたいくらいだけれど、多分僕の力じゃ無理だろうなぁ……』
『な!?破廉恥な!結婚前の男女で交尾など!』
『うん、だから結婚してくれないかな?』
『……どうかしている……』
「姉上が発情している……」
ガラス越しにラブロマンスが展開されている。
多分、マジックミラーなんだろうなこれ。
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