表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
剣と魔法の世界に行きたいって言ったよな?剣の魔法じゃなくてさ?  作者: 六轟


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

322/614

322:

「1人くらい生かしておけば情報吐かせられたのににゃ」

「いや、対話不能な感じだったし、面倒じゃん?」

「じゃんってにゃぁ」


 ラプトルっぽい生き物12頭、恐竜っぽい頭の人型生物も同じく12体。

 皆死んでる。

 俺が殺した。

 だってケンカ売ってきたし……。


「ふむふむ……あの頭部形状でどうやって我々と同じ言語を発声しているのかと思いましたが、どうやら舌が器用に動くことで唇を補っているようですね」

「「話そうと思えば話せるものですよ?」」

「おやおや、実体験者が……そういえば、私もそうでした」


 進化組が和やかに死体を漁っている。

 素晴らしい積極性だ。

 しかも、早速とばかりに木の枝に引っ掛けて血抜きを始めている。

 食料にするつもりか?

 シオリもラプトルっぽいほうは美味しいって言ってたけど、流石に人型はどうなんだ……?


 まあいいか!王様に渡しちゃおう!


「焼く?焼く?」

「いや、とりあえず焼くのはさっきのデカいやつにしよう」

「わかった!焼く!」


 シオリがティラノの解体に戻った。

 スパスパと斬ってちょうどいい大きさにして、更に土魔術っぽいもので串を作って刺している。

 もりもり刺している……。

 ひょっとして、アレ1頭全部で1食分か?


「ボス、それでどうするにゃ?」

「食べたら帰ろう」

「このトカゲ人がどこから来たか調べなくて良いのニャ?」

「調べたい?」

「面倒だからしたくないにゃ」

「だろ?」

「だろって……これでいいのかにゃあ……?」

「いんだよ俺が責任者だから」


 俺がルールだ!


 なんて言ってる内に、シオリの方からゴーゴーと音がしてきた。

 なにかと思ったら、手から火炎放射をしている。

 魔術なんだろうけれど、怪獣が口から吐き出すようなガチの火炎放射で、誰がどう見ても調理しているようには見えないだろう。

 ワイルドだなぁ……。


「あれ?味ってつけた?」

「あじ?」

「塩とか、スパイスとかさ」

「わかんない!いっつもこうしてる!」

「成程……」


 どこまでもワイルド式調理だ。

 だが、やっぱ塩味くらいほしいよな?


「やけた!食べる!」

「ちょっとまて」

「え?食べちゃダメ?」

「これをかけると美味しくなるんだ」

「なにこれ?」

「さっき言ってた塩とスパイスを混ぜたものだ」

「へー」


 サラッとシオリの持つ肉にかけてやると、すぐに齧り付くワイルドエルフ。

 そして……。


「んんんんー!!!!」


 小倉トーストを食べたときと同じように、目を輝かせながら猛然と食べ始めた。

 お気に召したらしい。


「俺達もいただこう」

「食べても大丈夫なのかにゃあ?」

「アースドラゴンで大丈夫だったんだから大丈夫だろ多分」

「すごいもん食ってんにゃぁにゃーたち……」


 皆に塩コショウをかけて串を渡す。

 ソフィアさんはもう動く気がないみたいなので、俺が串を持っているけれど。


「うわ、うっま」

「あー……美味しいにゃあ……疲れた体に染み渡るニャ……臭みとかも無いんだにゃ?」

「ふむふむ、栄養も非常に多いのですねぇ」

「「光合成より好みです」」

「さけ……さけのみたいんじゃがぁ……」


 全員高評価らしい。

 思ったよりも大人しい味だった。

 全体的に鶏のササミに旨味を足したみたいな味だな。

 アースドラゴンほどではないけれども。


 10分もしない内に、あのデカいティラノの肉が全てなくなった。

 ちなみに、肉の半分はシオリが食べた。

 エルフは大食いだけれど、オリジンになると更に食うらしい。


「おいしかった!」

「よし、じゃあ地上に行くか!」

「うん!」


 ティラノの骨と、さっきの血抜きしていた恐竜たちを収納カバンに入れてから出口へと向かう。

 帰ると決めたなら、さっさと帰らないと面倒事が増えるのは世の常。

 もう今日は十分働いた!もう何もしたくない!


 だけど、入ってきた洞窟へと進もうとしたその時だった……。


「あ、またちっちゃいの来る!」

「……は?」


 シオリがよだれを垂らしながら振り返る。


「はぁ……はぁ……」


 遠くからラプトルに乗った人型の生き物が来るのが見える。

 はぁ……もう一体狩るしかないのか……。


「おやおや?あれは、人間ですか?」

「ん?……あ、顔が普通だな」


 殺す気マンマンだったけれど、相手の頭がさっきの奴らと違って人間と同じだ。

 だけど、腕には鱗みたいなのがみえる……。


「良し、狩るか」

「いや、ちょっと待てニャ!」

「なんで?」

「人間かもしれないだろうニャ!なんでニャーのほうが気にしてるのにゃ!?」

「うーむ……」


 まあ、先制攻撃されても俺なら対処できるだろうからいいけどさ……。


「おやおや?」


 ラプトルが走って近づいてくるにつれて、その姿も明確に見えてくる。

 確かに肌に鱗があるけれど、それよりも気になる部分が見えてきた。


「血の匂いですねぇ」

「腹に穴が開いているっぽいな」

「「食べてしまったほうが良いのでは?」」

「どうしようかねぇ……?」


 とりあえず話を聞いてからだな……。

 って思ったんだけどさ……。


「っぐ!?ごぼっ!」


 俺達の前で、その人型生物は大量吐血してラプトルから落ちた。

 しかも、動かない。


「…………助けなきゃダメかな?」

「良いからかえろうぞ……」


 人型生物は、女の子だったっぽい。

 流石に腹に穴が開いている女の子は放置できんもんさ……。




感想、評価よろしくお願いします。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
>「1人くらい生かしておけば情報吐かせられたのににゃ」 内情調査と言う意味では必要だけど、秘匿したい保護対象(シオリ――オシリでなくて良かったね。いやストロベリー→イチゴとかAIでアイとかな大試のネ…
これが仮にショタだったら、見捨ててたんだろうか大試?
「ハーゴンの軍勢が我がムーンブルクの城を…」 みたいな話になるんだろう、きっと
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ