2.生まれ変わる
(痛い、痛い、いた、、うん?痛くない?)
目を開けると会社の守衛室前に横たわっていた。
変な感覚がある。頭がぼーっとする。休日に昼過ぎまで寝ていて頭が痛くなってしまった時のような感覚。
(たしか俺は、、)
思い出そうとすると、フラッシュバックする。噛み殺される光景、痛くて、恐ろしかった。
ばっと周りを見渡すがどこにもあの恐ろしい怪物の姿は無かった。
あの光景は現実だったのか、働きすぎで気を失って夢でも見ていたのか良く分からない。
周りはまだ暗く、そんなに時間は経っていないのかもしれない。
時計を確認しようと腕に目を向けると、短針は1を少し過ぎたあたり。そして気が付いてしまう。
腕には多くの歯形が付いており、肉の多くは引きちぎられていた。慌てて自分の体を確認する。
体はところどころ腐っているような色をしており、中には皮膚が無く、骨まで見えてしまっているような箇所まであった。
「ダンだゴれ、!、、、ヴん?」
声までおかしくなっている。何かのどに詰まっているような感覚があり、上手く声が出せない。
すぐさまスマホを取り出しインカメを起動した。
そこには、目は血走らせ、歯をむき出しにし、髪は半分抜けたように薄くした、まるでつい先ほど自分を襲った怪物のような姿をした自分がいた。
『ピコン!』
絶賛絶望していると突然スマホに通知が来た。
何も操作していないのにインカメの画面から変わり何やら文字が表示されている画面に変わる。
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種族:ゾンビ(元人間)
名前:神谷優斗
性別:男
年齢:0歳(人間年齢享年25歳)
レベル: 1
HP:50/50
MP:10/10
攻撃:15
防御:20
魔攻:15
魔防:10
俊敏:5
運 :20
ユニークスキル:蘇生術
スキル:痛覚無効、飢餓 LV.1
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何かゲームキャラクターのステータス画面のような画面が現れた。
(なんだこれ、、ゾンビ?、に俺の名前、享年25歳、それにスキル??)
訳が分からない。何かのウイルスだろうか。
『ガサッ』
「!?」
後ろから物音が聞こえ酷く驚く。
恐る恐る振り返るとそこには、大口を開けて襲ってきた怪物の姿があった。大声を出しそうになるのをぐっと我慢する。
(また襲われるかもしれない。。)
うめき声をあげつつ少しづつ近づいてくる。だが、襲ってくる気配は無い。
何故だ。自分も同じような姿だから襲われないのか?などと考えていたが、それも束の間、怪物は一瞬何かに気が付いたような表情をしたあと、歯をむき出しにして襲ってきた。
さっきと同様、首に噛みつかれた。が、不思議なことに全く痛みを感じない。
俺は近くに落ちていたビジネスバックを手に取り、思いっきり怪物の頭めがけて振り切った。
すると案外ダメージがあったのかよろよろと後退り、怪物を自身の体から引き離すことが出来た。
だが、また立ち上がってこようとしてきたため、武器を探しに近くの守衛室に向かおうとする。
しかしどうしたことか、体が思うように動かず、足を引きづるような動きになってしまう。
後ろを振り返るが、怪物も同じようにあまり早い動きは出来ないようだ。
なんとか守衛室にたどり着いた頃には息も切れ切れ、入るとそこには守衛さんが趣味でやっていた野球のバットが置いてあった。
守衛さんに心の中で謝りながら拝借する。
怪物は守衛室のドア付近まで迫っていた。
俺は守衛さんから拝借したバットを思いっきり怪物の頭めがけて振り切ると、怪物は吹き飛んでいき、それから再度起き上がることは無かった。
処女作です。読みにくい部分もあると思いますが、応援していただけると嬉しいです。