1.死に始まり
「はぁ、、」
長かった会議を終え、ため息をつく。
ふと時計に目を向けると短針は12を少し超えたところを指していた。
自分以外は皆テレワークだというのに何故か自分だけ新人の面倒を見てくれという理由で出社している。
しかし肝心の新人君は突如体調不良でお休み。
さらに、珍しく仕事が早く終わり定時で帰ろうとしたところ突如部長からメールで呼び出され、何の意味があるか分からない会議に巻き込まれた結果、こんな時間まで一人で会社に残っている。
(一体俺が何をしたって言うんだ。。)
誰もいないオフィスの電気を消すとそこは真っ暗闇に包まれる。
非常灯はあるがとてもじゃないが見えないので、スマホのライトを点けてエレベーターに向かう。
エレベーターに乗り1階のボタンを押す。
ふとエレベーターについている鏡に目を向けるとそこにはどこか疲れた顔をした、冴えない男が一人立っていた。
髪もぼさぼさで明らかに手入れ出来ていないのが目に見える。
今日は金曜日だし、いっぱい寝ようと心に決めたところでちょうど1階に到着、エレベーターを降りた直後
『カタ、カタカタカタ、ガタガタガタ!ガタドドドドドドドドド!!』
とんでもない地震に襲われた。
俺は慌てて1階ロビーに置いてある机の下に潜り込む。
小学生の時に教えられた地震が発生した時の対処を忠実にこなす。
正直東京に出てきて地震は頻繁に経験しているが、こんなに大きいのは生まれて初めてかもしれない。
尚も地震は続いたが、1分くらいで何とか揺れが落ち着いてきた。
(震度7くらいあったんじゃ、、)
周りを見渡すと壁に飾ってあった絵は落ち、近くにあったパーテーションは倒れてしまっていた。
余震があるのではないかと10分程度机の下に潜ったままだったが、いつまでも机の下にいるわけにもいかないので、恐る恐る机の下から出る。
(もしかしたら家のモノ大変なことになってるかもなぁ、、)
片づけるのめんどくさいなぁと思いながらも、自分の体が無事で良かったと安心しつつ、会社のエントランスを後にしようとした。がどうも外の様子がおかしい。
こんな遅い時間なのに数人の人影がある。
いつもであれば0時を過ぎると、いたとしても守衛さんが1人いるくらいだが、良く見ると何かうずくまっている。
(もしかして、さっきの地震で誰かが怪我でもしたのか、、!!)
「お~い!大丈夫ですか?何か怪我、で、、も、、」
小走りで近づき様子を見ると、一人の人間に2人の人間が覆いかぶさっていた。
つーん、と鼻につく匂いがする。何かが腐ったような匂い。
月が雲にかかっていてぼんやりとしか見えていなかった光景が鮮明に見えてくる。
倒れているのは、いつも帰りにおつかれさまと声をかけてくれる守衛さん。
守衛さんに覆いかぶさっている2人は、目は血走らせ、歯をむき出しにし、髪は半分抜けたように薄く、内臓はむき出しになっていながらも、ガリガリと守衛さんの首に噛みつき、肉を引きちぎっていた。
明らかに異常な光景に腰が抜けてその場に座り込んでしまい、恐怖で動けない。
守衛さんに覆いかぶさっていた2人は俺に気が付いたのか、ゆっくりと守衛さんから離れこちらに近づいてくる。
(逃げなければ、、!!、殺される!)
頭では分かっている。頭では分かっているのに体が動かない。まるで金縛りにでもあっているかのような感覚。
目の前には大きく開けた口。俺はゆっくりと噛み殺された。
処女作になります。読みにくいところも多くあるかもしれませんが、応援してもらえると嬉しいです。




