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69.サルサルさんはおモテになるみたいだよ

「でも、触れた相手の感情やら心の声やらを聞き取れるってのは、先生とおんなじなんじゃないのかい?」


 あたしはよくそれで先生から暴りょ……げふんげふん、ご指導いただいてるわけだけど。


「私のはあくまで感情の波をなんとなく感じる程度のもので、そこから考えていることを推測しているにすぎません。

まあ、ミサさんは同属性というのもあって、少々読みやすいのですが」


 なんか、あたしだけ損してないかい?


「……そもそもあなたは表情に出やすいので、実際はそんなものなくてもけっこうバレバレです」


 ……あ、さいですか。


「で、一方のサリエルのはそれとは比べ物にならないほど強力です。

相手に直接触れなければならないという条件はありますが、それさえクリアしてしまえば、相手の考えていることや、サリエルの知りたい情報を引き出したりといったことも可能なのです」


 え?

 それって、あたしが闇属性だったり、ケルちゃんたち三大魔獣を従えてることも分かっちゃうのかい?


「……まあ、そういうことです。

あなたに関する国家機密レベルの情報の漏洩が危惧される、ということです。

もともと王族には気安く触れたりできないので、シリウス君やクラリスさんは心配いりませんが、他のクラスメート。

特にミサさんの特性を知る人物たちは要注意ですね」


 あ、そか。

 アレとかクラリスは王族だったね。

 いっつもアレはぶん殴ったりしてるし、クラリスにはちょいちょいセクハラしてるから忘れてたよ。


「……あの2人がああだから許されてますが、本来なら不敬罪で死刑ですからね」


 おおう。

 気を付けるよ。

 たぶん気にせず行っちゃうけど。


 ん?

 てか、そのサルサルさんに触れられたら、あたしがあっちの世界から転生?してきたこともバレちゃうんじゃないのかい?

 軽く調べた限りでは、この世界に転生してきたよ~みたいな人はいないみたいだし、もしバレたらいろいろ調べられて、なんだか大変そうだね。


「まあ、そんなわけで、極力サリエルとの接触は控えてください。

彼もその辺りはわきまえているでしょうが、何が起こるか分かりませんからね。

……ただでさえ、あなたはおっちょこちょいなんですから」


 ……返す言葉もございやせん。


「……そうですね。

たとえば、カイル王子とサリエルと一緒にいる時にあなたが躓いて、サリエルが支えたり、助け起こそうとしたりとか。

カイル王子に手をあげようとしてサリエルに止められるとか。

その辺りが考えられますね」


 ……うん。

 めちゃくちゃ考えられるね。

 なんか、その場面がもう目に浮かぶからね。


「……はあ。

まあ、とにかく気を付けるだけ気を付けてください。

さすがに隣国の王子の側近相手に記憶の操作をするわけにはいかませんからね。

それに、彼なら抵抗(レジスト)するでしょうし」


 おっけー。

 国際問題とやらにならないようにだけ気を付けるよ。

 あっちでも他国との関係性はかなり微妙なバランスだったからね。

 下手なことはしないに限る。










「おっと!

危ない!」


「うぉぉっと、あぶなーい!」


「お、おぉ……」


 んで、案の定コケそうになったあたしを支えようとしてくれたサルサルさんを身をよじってかわすあたし。

 おかげで思いっきり顔から地面に激突したよ。

 いたたたたた。


「おお!

大丈夫か、ミサ!

この責任を取って、おまえのことは俺が娶ろう!」


「いや、あたしが自分でコケただけだから。

ことあるごとにそれをぶっこもうとしないどくれ」


「……」


 思いっきりサルサルさんを避ける感じで避けたけど、なんか怪しまれてそうだね。

 こりゃ、ホントに気を付けないと。







「え~、彼はカイル王子の側近のサリエルです。

今日から王子の護衛兼、世話係として王子の側に侍ることになりましたが、皆さんはあまり気にしないように」


 ミカエル先生に紹介され、サルサルさんは胸に手を当てて恭しくお辞儀した。


「ご紹介にあずかりましたサリエルです。

基本的にはただ立っているだけなので、皆さま気兼ねなくお過ごしください」


 そう言って、にっこりさわやかイケメンスマイルを決めるサルサルさん。

 クラスメートたちはモノクル越しのその甘い微笑みにざわつく。

 クラリスたちにも既にさっきの件は説明済みだから、あたしたちだけ胡散臭そうな顔してるけど、逆にそれが怪しくないかね?







「……すごい人気だね」


 んで、お昼休み。

 サルサルさんの周りには女子生徒が群がっていた。

 イケメンだけどアレなカイル。

 その面倒を甲斐甲斐しく見る知的イケメン。

 穏やかで物静かな大人の香り。

 まあ、この年ぐらいの女生徒が放ってはおかないよね。


「ええ。

妻はおりません。

私は王子の従者ですから」


「いえいえ、あなたも十分にお美しいですよ」


「ははは、年寄りをからかうものではないですよ」


 そんで、こんな余裕の対応。

 そりゃ群がるわ。

 てか、あんたらサルサルさんに触りすぎだよ。

 サルサルさんからしたら入れ食いだね。

 情報漁り放題じゃないかい。


 でもまあ、これであたしのことが普通の生徒だって伝わるならそれでいいのかもね。

 しばらくは様子見だね。




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― 新着の感想 ―
[気になる点] なるほど、秘密がバレる前フリですね?(笑) というか国家機密が裸で歩いているようなこの状況を放置するとは。 まあ、ミカエル先生が何とかするか。
[良い点] モテモテのサルサルさんとの攻防が始まりますね(*'ω'*) どうなることやら……不安だな( *´艸`)
[良い点] なんとかすぐに接触することは避けることが出来たのですね!顔面からダイブしてしまいましたが笑 このまま無事に過ごせれば良いのですが……きっと無理でしょうね笑
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