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47/252

47.どうやら、あたしにラブコメ展開は向かないみたいだよ

「ほら!

王子だろ!

しゃんとしなよ!」


「……こ、こども……。

ミサ、の、子供……」


 だーめだ、こりゃ。


 ケルちゃんが盲目の蛇とやらを撃退してくれたあと、あたしがバグった王子(バカ)をどうしようか悩んでいると、


「僕に乗ってく?」


 ケルちゃんが犬化(本当は獄狼化)して、大きくなってくれた。

 あたしはお言葉に甘えることにして、王子(アホ)を抱えようとしたけど、見た目に反して重いんだよ、これ。


「ちょ、っと!

くそ重たいね、あんた!

自分でケルちゃんに乗りなよ!」


「……子供。

ふふふ、子供って……」


「だー!もう!

いつまでバグってんだい!

……って、ぎゃー!」


 あたしは王子(バカ)の重さに耐えられずに、そのまま倒れこんじまった。


「いててて……って、おわっ!」


 気付いたら、王子(アホ)があたしに覆い被さってる上に、顔がめっちゃ近くにあるんだけども!

 ……悪かったね、『きゃっ!』じゃなくて。


「ちょ!

近いって!

ねえ!

くそ王子!」


「……ふふふー。

子供だってさー、はははー」


 ……むしろ、正気じゃなくて助かったのかね。


「もー何やってんのー」


 見かねたケルちゃんが王子(バカ)をくわえて助けてくれた。


 いや、ホント助かったよ。


「ねーねー。

こいつ、このまま食べていーい?」


「食べちゃダメ!」


 いや、ダメ、かなぁ。


「ボク、こいつに耳切られたんだよねー」


「あ、そうだったね。

……ちょっとぐらいならいいかね」


「……お、い。

ふざけ、んな」


「あ、正気に戻った」


 ちっ。









 そして、そのままケルちゃんの背にのって森を進みながら、王子(バカ)にケルちゃんのことを説明した。

 私の家で引き取ることになったから、実質、私の家族だと。


「なーんだ!

そういうことか!

はっはっはっ!

そうか!

あの時のケルベロスか!

いや、あの時はすまなかったな!

いやー!

かわいいなー!

それに蛇も追っ払って、強くてカッコいいんだなー!」


 そう言って、ケルちゃんの背に頬擦りする王子(バカ)


 え?

 なんでこの人、ケルちゃんに媚売ってるの?


「や、やめろよー!

そんなに褒めても、嬉しくなんてないからなー!」


 そう言いながら、照れくさそうに手で顔を擦るケルちゃん。


 うん、ケルちゃんが可愛いからもっとやれ。



 そんなやり取りをしていると、ケルちゃんが突然、鼻をひくひくさせた。


「ミサ!

血の匂い!」


「え!?」


「ボク、この匂い知ってる!

水みたいな人と、太陽みたいな人!」


「……だれ?」


「太陽……まさか、クラリスか?」


「え?」


 王子が顔を青くしてる。


「……それに、スケイルは水属性なんだ」


「え!?

血の匂いって!

それ、大変じゃないか!」


 さらに、ケルちゃんが鼻を利かせる。


「これ、さっきの蛇もいるよ!」


「盲目の蛇か!」


「ヤバいよ!

ケルちゃん!

匂いの方向に急いで!」


「わかった!」


 そして、あたしたちは急いでクラリスたちのもとに走った。


 クラリス、スケさん、無事でいてくれよ!




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― 新着の感想 ―
[良い点] 王子、すごくイイ奴感を出してるな。この屈託のなさ!簡単にケロちゃんと仲良くなってしまうとは! それでもめんどくさい奴であることには変わりはないが。(笑)
[良い点] いつの間にすごい進んでた! 蛇と蜘蛛、この先どうなる? カークも心配だ(´・ω・`)
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