EXEP(エクストラエピソード).『魂の行方』
「さてー、貴方の魂の調整は完了しましたー。
まもなく貴方は転生することになりますー」
「……お手間をお掛けします」
「どうせ今のことは覚えてないので、せっかくならこれから貴方が転生する人の人生を軽く説明してあげますねー」
「!」
「貴方はミサさんのいた世界。ミサさんのいた国に転生します」
「……」
「女の子ですねー。
ですが、やはり咎を背負った身。
その人生はなかなかに波瀾万丈です。前半は特にー」
「……覚悟の上です」
「まず、早くに母親を事故で亡くしてしまいます。そして、父親とふたりで細々と暮らしていくわけですが、その後、母とも姉とも言えるような存在と出会います」
「!」
「しかし、その新たな母でも姉でもある人物とも、やはり途中で死別することになるのです」
「……待ってください。それって、まさか……」
「貴方は失意に沈みますが、2人の母との思い出を胸に、父と2人で手を取り合って生きていきます。あ、途中で結婚もするし子宝にも恵まれますよ。
後半はわりと幸せに暮らしていけるのではないでしょうか」
「……し、しかし、それでは時系列もおかしいですし、何よりパラドックスが……」
「んふふー。私を誰だと思っているんですかー?
その辺の不都合は全部まとめて何とかしてるから大丈夫なんですー」
「……失礼、愚問でしたね」
「あ、そうそう。
その新たな母とも言える人になんですけどー、あんまり変なことを布教しすぎないようにしてくださいねー。
そのせいであの人、あんなんになってるんですからー」
「……貴女という人は……」
「んー?」
「……いえ、どうせ今のことは覚えていないので難しいかと」
「あ、そうですねー」
「それに、それがあったからこそ、彼女は彼女たりえたのでは?」
「んー、それもそうかもしれませんねー」
「……とはいえ、格別のご配慮ありがとう、ございます……」
「いえいえー。
生まれた命には自由を。皆が笑えるように。
それが私のモットーですからね!」
「……」
「じゃあ、そろそろ行きましょーか」
「……はい」
「また魂を磨いて、私の所に戻ってきてくれることを祈ってますね」
「……貴女が、何に祈ると?」
「……んー、ミサさん?」
「ははっ。
まあ、頑張りますよ」
「はい、待ってます!」
「……では、また」
「はい。また~」
これにて完結となります。
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