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245/252

245.おまえらグルだったのかぁーー!って思ってたらぁ~!!バタンキュウなのでした。

「言ったぁ~!」


「バカ王が再びプロポーズしたぞぉ~!!」


「ミサたんはおいの嫁~!!」


「けど、まあ、知ってたな」


「うん、知ってた」


「知ってた知ってた」




「え!? どゆこと!?」


 突然のシリウスのプロポーズに大観衆は大盛り上がり。

 いや、あんたらはいーよ。見てるだけだし。あたしもそっちにいたいよ。

 考えてみ? こんな大観衆の前でプロポーズされて大注目浴びて、こんなんどう思ってても断れる雰囲気じゃないやん。

 いや、オッケーならええよ? わー! うそー! 信じらんなーい! って喜んでりゃいいんだから……いや、それもキツいな。

 でももし、いや、ちょっと……みたいな感じに思ってる相手だったらどうするよ。その人らの気持ち考えたれ?

 マージで、フラッシュモブからのプロポーズ受けた全女性に同情するわ。あんたらよく頑張ったね。


 てか、断りづらい状況作って何とか成功させようとかっていう打算があったんならだいぶキモいんやけど。




「俺らでいろいろアドバイスした甲斐があったな!」


「ホントホント! 皆で夜なべして考えたからね!」


「でもまさかホントにやるとはね~」




「いや、あんたらの入れ知恵かい!」


 聞こえとるからね! あと最後の奴!




「いやー、まさか国外れの村までわざわざ国王陛下が来られて何の話をするかと思ったら、開口一番『良いプロポーズの方法はないか!』だからねぇ」


「ホントホント。緊張して待ってたこっちは拍子抜けよ」


「そーそー。んで、そのあとは一番に泥だらけになって復興を手伝ってくださってね」


「で、夜は皆で鍋を囲んでプロポーズ方法を考えたもんだ」


「いや、何とか決行できて一安心ですな」


「いやいや、安心するのはまだ早いですぞ。喜ぶのは結果が出てからです」


「たしかにたしかに」




「いや、気まずいわ!」


 そんでバカが相変わらず安定のバカすぎるて!

 まあ、復興を一番に頑張ってるのとか、バカのおかげで皆と仲良くなってるのとかはいいと思うけどさ。




「む? いや、スケイルの奴が民に相談してみて、さまざまな意見を取り入れるのがいいと言うものだからな」


「スケさん! 黒幕はあんたかい!」


「ピーピピー」


 口笛ヘタクソ!

 やり口からして参謀がいるとは思ったけど、魔導天使はどいつもこいつも!


「ん? てか、この感じだと他の関係者の皆も知ってた?」


 ヘタクソな口笛を吹いて、そっぽ向いてるスケさんの隣にいるクラリスたんをみる。


「……ピーピピー」


「いや、あんたもヘタなんかい!」


 おまえもか! ブルータス!!

 ふたりして誤魔化すな! 腹黒カップルが!


「はっ!」


 そうなるとまさか。

 

『僕は知らなかったよー』


 あ、うん。だよね~。ケルちゃん。


『ミサ。いい加減覚悟を決めなさいよ』


『そうなのです。答えが出てるなら場なんてどこでもいいのです』


「あんたらもかい!」


 どうやらルーちゃんアルちゃんもご存知だったようで。

 あたしの味方はケルちゃんだけなのね。


『えー! なんで僕だけ教えてもらってないの~!?』


『だって、あなた嘘ヘタじゃない』


『むー!!』


 いいんだよ。ケルちゃんはずっとそのままでいてちょうだいよ。こんな腹黒どもに毒されちゃダメだよ。


 うーむ。

 どうやらあたしは嵌められたらしい。

 

「ミサ。答えを、聞かせてくれ」


「ぬぐっ」


 ずずいっと来るシリウスおバカ王。

 いやいや、ちょっち待っとくれ。

 あたしゃ魔力いっぱい集めて疲れとるんよ。

 もうさっさとお風呂入って寝たいんよ。

 儀式終わって一安心で気が抜けたとこにそんなんぶちこまれても、まともに話せる気がしないんよ。


「ミサ! さあっ!」


「おおぅ」


 一歩も引かぬと王子様。

 あ、もう王様なんだった。

 あかん。ちょい混乱しとる。

 え、どうしよ。

 なんて答えよ。

 いや、答えは出とるんよ。

 出とるんやけど、こんなぐいぐい来られると困ると言うか。もう眠いというか。


 あ、アカン。

 なんか、急に疲れと眠気が……。


 あ……



「ミサっ!?」
















「……ん、あれ?」


 ここは……。


「……なんもない?」


 えっと、あたし、どうしたんだっけ?

 あ、そか。儀式のあと、バカにプロポーズされて、そんでテンパって焦って、疲れと眠気に負けて気を……、


「失ったはずなのに、ここはウェアー?」


 なんもない、真っ白な空間。

 あ、でも、なんかここ覚えてる。

 あたしがバラキエルさんに眠らされてるときに、謎のメイドのパワーで皆の様子を見てたとこだ。

 なんで、またここに?


「……ん?」


 気付いたら、目の前にまたテレビ画面みたいな空間の歪みが。

 また、あたしに何かを見せようとしてる?




『陛下! 少しは休んでください!

 もう三日三晩働き詰めですよ!』


『大臣か。

 俺はまだ平気だ。

 民は安心して眠れる場所さえないのだ。

 民を安定させてやることも出来ずに何が王だ』


『し、しかしっ!』


『大丈夫だ。自分の体力は理解している。

 途中で倒れることの方が迷惑がかかることもな。

 限界が来る前にはちゃんと休む。

 だから、だからもう少しだけ……』


『陛下……』


『悪いな。悪政が続く帝国を陰から支えてくれていたお前を大臣にした挙げ句、また心配させてしまって。

 手間のかかる王ばかりですまない』


『……いえ、それが私の仕事ですから。

 それに、こんな手間なら大歓迎ですぞ。

 もっと休んでいただかないと困りますがな』


『ふっ。ありがとう』


『どれ。私ももう一踏ん張りしますかな!』







「……」


 これは、シリウスの復興の時の?


 そこでまた画面が切り替わる。







『……お兄様』


『クラリスか』


『ミサの気持ちも分かってあげて。

 前世の記憶っていうのがどういうものか、どれほどのものかは私たちにも分からないけれど、そのときに生涯を伴にすると誓った伴侶がいたのなら、その記憶を持っているミサはきっと複雑な気分なのよ』


 これは、あたしがシリウスのプロポーズに時間が欲しいって言ったあとすぐかね。


『……分かっているさ。

 分かっているからこそ、ミサには幸せになってほしいんだ』


『お兄様……』


 ……。


『突然、こんな世界にやって来て、右も左も分からぬまま、いつの間にか世界の命運を背負う宿命を持たされて。

 ミサはあんなんだからたいして気にしてないかもしれないが、その心の負担はとんでもないはずだ。

 だからこそ、ミサには幸せになってほしい。いや、俺が幸せにしたい。そう思ったんだ』


『……そうなんだ』


『ああ。

 過去に愛する者がいたのならそれでもいい。

 それを忘れる必要はない。

 だが、ミサには今を幸せに生きて欲しい。

 ともに歩み、ともに幸せになってほしい。

 そう思ったから、俺はミサにプロポーズしたんだ』


『……そっか』


『見ていろ。1年後、俺はミサに負けないように良い男になってみせる。それから先も、ミサのために、世界のために良き王となろう。

 そのために、俺は何でも頑張るぞ!』


『……ミサに、届けばいいね』


『ああ!!』



 ……ホント、馬鹿な男だよ。











「……サ!」


「うあん?」


「ミサっ!!」


「おわっ!」


 いつの間にか目が覚めたみたいだ。

 気が付くと、目の前にシリウスの顔があった。


「……ここは」


 知らない天井、ってやつだね。


「街の診療所だ。

 壇上で倒れてしまってな。どうやら過労らしい」


「……あ、そか。

 あたし……」


 そっか。

 倒れて、そんで、シリウスの姿を見て……。

 あの映像は、またあの謎メイドの仕業かな。

 ホントに、あの人はいつも余計な世話焼きを。


「すまないっ!」


「んあ?」


 急に頭90度でどした?

 あやうくヘッドバットされるとこやぞ?


「ミサが儀式を頑張ってくれて疲れていたはずなのに、余計に疲れさせるようなことをしてしまった」


「あ、いや、べつに……」


 まあ、事実ではあるけど。


「俺は本当に、いつもそうだ。

 自分の都合で振り回して。いつも、自分ばかりで……」


「……」


 そんなことない、ことはもうとっくに分かってるよ。


「いや、すまない。

 今はとにかくゆっくり休んでくれ。

 さっきの答えはまた、ミサの調子が戻ってからでいいから」


 シリウスはそう言うと席を立って部屋から出ていこうとする。


「ちょっと待てぃ!」


「え?」


「答えるから。

 ちゃんと答えるから、ここに座ってよ」


「……え?」


 覚悟を見せてくれたあんたに、ここで応えなきゃ女が廃るってもんさね。




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