表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

20/252

20.ケルちゃんがようやくワンコとして迎え入れられたよ

「ミサぁぁぁ~~~!!」


「飛び出しちゃイカン!」


 ……あ、うん。

 前回とおんなじ始まりだろうって?

 いや、なかなか話が進まないんだよ。


「え~と、お兄様?

とりあえず大丈夫だから、まずはその剣を下ろそうか?」


 刃物。ダメ。ゼッタイ。


「ミ、ミサ!

早くこっちに来てくれ!

頼む!」


 聞いてるかい?


「フィーナ!

早く軍に連絡を!

あと、ミカエル先生にも!

……フィーナ!?」


「……あ、あ……」


 フィーナまで腰抜かしちゃってるんだけど。


「お、お母様?

大丈夫ですか?」


「ミサぁぁぁぁ~~!」


 あ、ダメだね、こりゃ。


 説得は無理だと悟ったあたしは、くるりと後ろを振り返った。


「きゃんっ!」


 ケルちゃんが嬉しそうに尻尾をパタパタし始めたよ。

 嬉しいかい?

 かわいいねえ。

 それ、尻尾何本あるんだい?


「セ、セブンテイルケルベロス……」


 ん?お兄様なんて?


「……獄狼の王」


 んん?お父様なんて?


「きゃんっ!」


 ああ、はいはい。

 かわいいねえ。


「わっ!

ちょっ!

やめてよ、ケルちゃーん!」


 いや、ホントにやめてくれるかい?

 3つの頭でべろべろナメられて、おまけにその図体。

 あたしゃヨダレまみれだよ。


「ミサっ!」


 あ、うん。

 甘噛みされてるだけだから気にしないで。

 あたしの膝ぐらいまで咥えられてるけど、全然痛くはないから。

 わんこの口の中って、こんなんなんだね。

 あとでちょっと歯磨きしようね。


 しばらくあたしをナメ回したケルちゃんは満足したのか、嬉しそうに尻尾を振りながら、あたしの前におすわりした。


「お、落ち着いた、のか?」


 う~ん。

 まだみんなびっくりしちゃってるねえ。


「ケルちゃん。

ちょっとちっちゃくなれないかい?

あ、出来れば、頭も1つにしてくれると嬉しいよ」


「きゃんっ!」


 なんとなく、ケルちゃんが「いいよっ!」って言ってきたような気がする。


「おお~」


 ケルちゃんがぐっと身を縮めると、あたしの何倍もあった身体がしゅるしゅると小さくなっていって、柴犬の子犬ぐらいの大きさになった。

 尻尾は7本のままだったけど、頭はちゃんと1つになってたよ。


「わふっ!」


「うんうん!

よく出来たね!

偉いよ~!」


「わふわふっ!(すごいだろ~!)」


 ん?いまなんか、ステレオ放送みたいに聞こえた気がしたけど、気のせいかね?


「ミ、ミサ。

本当に、ソレは大丈夫なのかい?」


「お兄様。

だから大丈夫だって。

ケルちゃん。

おとなしくてかわいいだろう?」


 ケルちゃんがとことことお母様に近付いていく。


「奥様っ!」


 復活したフィーナがお母様の前に立ち塞がって、ナイフを構える。

 どっから出したの?それ。


 けど、ケルちゃんはそんなフィーナの足元にすりすりし始めた。


「きゅ~ん」


「……あ」


 そして、(いざな)われるようにケルちゃんを撫で始めるフィーナ。


 ふっ。

 落ちたね。

 そっからは沼だよ。


「わ、わたくしもっ!」


 それを見ていたお母様もケルちゃんに飛び付く。

 2人にわしゃわしゃされて、ケルちゃんはへそ天でご満悦だ。


 女好き。

 ケルちゃん。あんたも男だね。


 んで、一方、うちの男連中はと言うと、


「ほ、本当に懐いている、のか?」


「し、信じられん」


 いや~、どこの世界も、男は頭が固いねえ。



 こうして、我が家に新しい家族が増えたんだよ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] ケルちゃんがワンコになった! え、めちゃくちゃ可愛いのですが? モフってもいいですか?(*゜∀゜*)
2022/05/22 20:24 退会済み
管理
[良い点] 家族として迎え入れられて良かったです〜! 頭も大きさも調整出来るとは流石獄狼の王ですね笑
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ