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プロローグ
魔法による特殊防壁のなされた会場。向けられたいくつものテレビカメラ。観客席を埋め尽くす観衆と、その歓声。
『第52回、高校生『矛と盾』魔法大会! いよいよ決勝戦です! 映えある優勝トロフィーと、賞金500万円を手に入れるのは、果たしてどっちの陣営かぁっ!?」
熱気を呷るようなアナウンスに、観客席からわぁあああっと歓声が上がる。
その歓声とスポットライトを浴びた、決勝進出者の片方である二人組は、顔を見合わせた。
「とうとうここまで来たな、誠介」
「ああ、絶対に勝つぞ、市彦」
そして二人はニヤリと笑う。口に出さずとも、二人とも、互いに言いたいことは分かっていた。
──千鳥もどこか遠くから、この試合を『視て』いるに違いない。彼女に恥じない試合にしよう、と。