ライブ帰りでの悲劇
登場人物
香久山 天理
18歳の奈良県に住んでいる女子大生。
タクシーのおっちゃん
タクシードライバー。被害者。
夜、ヤフオクドームでライブが終わり、心地の良い余韻に浸りながら大濠公園駅に向かって歩いていると強烈な尿意に襲われる。
実は、私ーー香久山天理はかなりのピンチに直面している・・・!そう確信した。
人の流れ的にドームには戻れないし、ホテルの最寄りの祇園駅までバスに乗って移動してたら絶対に漏らしてしまう・・・
どうせ駅のトイレも長蛇の列ができているだろうし・・・
そう悲観していると、突然天啓が降りてきた。ーーそうだ!タクシー使えばよくね?15分くらいなら我慢できるでしょ、と。
明治通りまで歩く。タクシーはすぐ捕まった。
タクシーに乗り込む。尿意は限界に達してた。
「祇園駅までっ・・・!」
「はいよ」
順調に進めばギリギリ我慢できそうだ。おしっこの事を忘れて寝よう、起きたらホテルに着いてるはずだ。タクシーのおっちゃんほんま頼むで・・・!そう考え目を瞑った。疲れていたのかすぐに意識を手放した。
尿意で目が覚める。タクシーに乗って20分くらい経っていたらしい。橋の上で信号待ちをしているようだ。外を見ると川と一蘭の本店が見えた。こんな調子だとホテルまであと10分ほどかかりそうだなぁ、ホテル着くまで我慢できそうないなぁ・・・
そう諦めていた時、再び天啓が降りてきた。ーー今日、たまたま生理でナプキン付けてるじゃん!ちょっとずつ漏らしていけばギリギリ持つんじゃね??と。
思いついたら即実行!たまたまナプキンを付けていた自分に感謝しつつ早速尿道を緩める。
ブシャッッッッ!
予想以上に勢いよくおしっこが出てしまう。さすが6時間分の尿だ。あと2回までなら大丈夫やろ。さっきよりも慎重に尿道を緩める。
ドバーっ
・・・よし、まだいける
ドバーーーっ
・・・やってしまった。ナプキンから液が溢れ太ももを伝い下に落ちる。
これ、料金を支払うときに汚れていて見つかったら怒られるんじゃないのか?と考えてしまった。泣きそうな顔と言い訳を作らなけれか・・・!
いろいろと考えているとすぐホテル前に着いた。結局、言い訳は出てこなかった。俯いて顔を作る。車内に明かりが点く。
「嬢ちゃん、嬢ちゃん!ちょっと!!」
若干キレ気味に呼ばれる。ライトで照らされた白い座席に赤いシミができていた。まあばれるわな。
「すいません、すいません。ごめんなさい、ごめんなさぃほんとにごめんなさぃ・・・」
「まあまあまあまあいいよ、嬢ちゃんが今日の最後の客だから。お金はいいからさっさと降りな」
タクシーのおっちゃんは酷く疲れた顔をしていた。
「いやほんとごめんなさいごめんなさい・・・」
消え入りそうな声で謝罪の言葉を発しながらタクシーから降りる。タクシー代が浮いた。やったぜ。
次、ライブと生理が被るときはショーツ型ナプキンにしよう。ホテルまで歩きながらそう考えるのであった。