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下町ウォーターフロント  作者: りす君
7/13

第7話:お好み焼きは、出ません。

風呂上がりに、溜池と赤羽は自販機で飲み物を買おうとしていた。

風呂上がりに飲み物を買おうとしていた俺と赤羽に、蔵前が声を掛けてきた。


(ガチャコン)


溜池:

「あれ、女子達はもう入ったんじゃねぇの?」


(カシャ…グビッ)


蔵前:

「入ったよ。 私も、(のど)が渇いちゃってさ。」

赤羽:

「確か蔵前さんって、亀戸が居る1班だよね?」


(ガチャコン)


蔵前:

「そうだよ。 あと、(ゆかり)深鈴(みすず)、山川君と延岡(のべおか)君、あとその出来損ないリーゼント野郎。 アハハッ!」

溜池の心の声:

「女子にまでそう言われるとは哀れだな、亀戸。」

赤羽:

「へぇー、そうなんだ。」

蔵前:

「赤羽君達の班は、かりんちゃん(辰巳)と、汐ちゃん(汐留)と、鶯谷さんと、お好み焼き中毒野郎。 そして、溜池君と赤羽君の6人でしょ?」

溜池・赤羽の心の声:

「あぁ、籠原が亀戸と同じ様な扱いをされている。」

赤羽:

「よく覚えてるね、すごい。」

蔵前:

「アハハッ! 誉めたって、何も出ないよ。」

溜池:

「はは…。」


蔵前 亜栖花。 6月生まれ(本人談)。 髪型はポニーテール。 身長163cm。 明るく、社交的な性格で、1年生ながら東京テレポート学院高校の弱小野球部マネージャーを務めている。 自宅は、千葉県 市川市という越境通学者。裏表が全く無い所は良いのだが、たまに絡んできてうざったく感じる事は彼女には秘密。


溜池:

「そういや、1班の班長は誰だっけ?」

蔵前:

「紫だよ。 夕食終了後、各クラスで班長会議が開かれるから顔合わせると思うけど。」

溜池:

「あいつ、物静かだけど大丈夫か?」

蔵前:

「…溜池君、紫をナメてたら恐いよ。」

溜池の心の声:

「いや、全くナメてないけど。」

蔵前:

「ああ見えて紫は、結構な毒舌だから…。」

溜池・赤羽:

「………。」

蔵前:

「気をつけた方が良いよ…って、二人ともどうしたの? ん?」

???:

「あんたね…、飲み物を買いに行って、なかなか戻ってこないと思って様子を見にきたら…。 あーすーかぁ?」

蔵前:

「ひぃっ!?」


(グイッ)


???:

「ゴメンね、二人共。 わざわざ、このバカと絡んでくれて。」

蔵前:

「ゆ、紫、ゴメンって。 本当にゴメンって、ねぇ。 許して…。」

???:

「それじゃ、私はこの子を連れて帰るから。 また後でね。 (小声で蔵前に)このメス豚が。」

蔵前:

「ひぃっ!?」


俺達と会話していた彼女は、落ち着いた口調で終始笑顔だったがオーラがおぞましく、とても恐ろしかった。

蓮根(はすね) (ゆかり)。 1月生まれ(本人談)。 身長154cm。 髪型は、蔵前と同じくショート。 眼鏡を掛けていて、虚弱体質。読書好きで、高校入学後は毎日のように区立図書館や学校の図書室、書店等に居るらしい。そのため、辰巳とは仲が非常に良い。 蔵前とは小学校の時から幼なじみで、親友。 千葉県 浦安市出身・在住。


赤羽:

「こ…、恐かったな。 蓮根って、こんな奴だったっけ?」

溜池:

「…俺も、まさかこんな奴だったとは知らなかった。」


冷や汗を掻きつつ、俺と赤羽は部屋に戻った。


[5階 504号室]


赤羽:

「あぁ、疲れた。 そういや、もうすぐ夕食だな。」

溜池:

「今日は、本当に色々あったから腹が減ったよ。」


(コンコン)


籠原:

「入るでぇ。」


(ガチャ)


籠原:

「いやぁー、良い湯やったな。 ホンマ、腹減ったな二人共。」

溜池・赤羽:

「それは、一体誰の所為なんだ?」

籠原:

「(涙目で)二人して、怖いでぇ…。」


俺達は、夕食までテレビを観ながら待つ事にした。


(コンコン)


溜池:

「ん、誰だ? (ドアに向かいながら)どちら様ですか?」

???:

「俺だ、舞鶴だ。 開けてくれ。」

溜池:

「おうマイケン、今開けるから待ってくれ。」


(ガチャ)


舞鶴:

「いやぁ、部屋に居ても夕食までやる事ねぇから退屈なんだよ。 成田は仮眠するって寝ちまうし、八頭(やず)はまだ風呂から帰ってこないから暇で来ちまった。」


舞鶴(まいづる) 絹瑚(けんご)。 通称マイケン。 2班の班長。 10月生まれ(本人談)。 身長170cm。 学校では、剣道部に所属している。短髪で精悍な顔立ちをしていて、性格も良く女子に人気がある。 頼りになる男。 家は、足立(あだち)千住(せんじゅ)にある舞鶴会館(剣道場)。

勉強もそこそこ出来、家事全般も出来るというまさに絵に描いたようなスーパーマン。 しかし、そんな彼にも弱点がある。


溜池:

「そういや、今日一日女子と一緒に行動したけど…大丈夫だったか?」

舞鶴:

「あ、あぁ…。 女子を単なる石ころだと思えば何とも無いさ、は、はは…。」

溜池の心の声:

「そう言いながらマイケン、冷や汗掻きすぎだろ。」


そう、彼はかなりの異性恐怖症。 つまり奥手なのだ。 彼は中学までエスカレーター式の男子校に在籍していた為、同い年ぐらいの女子に対して免疫がついていない。 女子と少しでも話す事が困難で、触られでもしたら鼻血を出して卒倒するぐらい。 そんな彼が何故、共学校を選んだのか。


籠原:

「ハハハッ! ホンマ、こいつはアホやねん。 東テレ(東京テレポート学院高校の略)を受験する際、男子校か共学校か確認せずに受験してしもうたらしいで。」

舞鶴:

「違う! 俺としては、東京学院高校(男子校)を受験したつもりが、誤って東京テレポート学院を受験してしまったんだよ。」

溜池:

「ど…ドンマイ。」

籠原:

「ダハハハハッ! 受ける高校も間違えちゃうとは、ホンマアホや!」


(コンコン)


溜池:

「ん、また客か?」

???:

「溜池、成田だ。 入って良いか? もう直ぐ夕食だから、そっちにいる舞鶴を連れ戻しに来た。」

溜池:

「良いぞ、入れよ。」


(ガチャ)


成田:

「失礼するぞ。 …おい、マイケン。 部屋に戻るぞ。 夕食まで部屋で待機してろって、中野に言われただろ?」

舞鶴:

「解ってるけど、つまんなかったんだよ。 お前は寝ちまうし、八頭は風呂から戻ってこねぇしさ。」

成田:

「はぁ…。 八頭なら、とっくに戻ってきてるし。 第一、班長であるお前が勝手に行動しちゃマズいだろ。 全く、かったるいんだよな。」

舞鶴:

「解ったよ、戻るから先に行っててくれ。」

成田:

「頼むぜ。 お前の所為で、仮眠が中途半端になっちまったよ。 あーあ…。」


そう言って、成田は部屋に戻っていった。


舞鶴:

「そういう訳で、俺は戻るぞ。 すまんな、わざわざ相手してもらって。」

赤羽:

「良いって。 それより早く戻らないと、また成田が悪態つきながら来そうだ。」

舞鶴:

「ハハッ、そうかもな。 それじゃ。」


(ガチャ…バタン)


舞鶴も、部屋に戻っていった。


溜池:

「しっかし、成田はここに舞鶴がいるとよく解ったよな。」

赤羽:

「ああ見えて、やれば出来るキレ者タイプなんだよな。」


成田(なりた) 亮佑(りょうすけ)。 4月生まれ(本人談)。 身長170cm。大人びた風貌、常に冷静に物事を観る性格。 容姿も第三者から見て文句無しであり、いかにも女子から人気がありそうだが、性格に難がある。 一匹狼みたいなタイプで、あまり人とつるまず常に自分自身の事を優先する。 悪く言えばジコチュー。 常に眠そうで、暇さえあれば仮眠(惰眠)をとっている。 実家は、文京区駒込にある定食屋「水仙(すいせん)」。 彼の姉が、ティーンズ向け雑誌のモデルをやっている。


溜池:

「おっと、そろそろ俺達も出ようぜ。 夕食だ。」

籠原:

「ヤッター! 飯や、飯! はよ、行こうや!」

赤羽:

「何が出んだろうな、一体。」


苦手な物が出ないよう祈りつつ、俺達は一階の食事会場へ向かった。

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