おひまガエル様
昔々の事です。
水と緑があふれる緑水の国には、人の手のひらにのれるサイズの、小さなカエルの勇者様がおりました。
カエルの少年が、水の女神様に選ばれ、水の勇者となったのです。
日照りの日に雨雲を作り出し、必要な量の雨を降らすこともでき、自在に水の力を操る事ができる、素晴らしい勇者様です。
でも、この勇者様は少し変わり者で、彼と親しい者たちは、誰もが、苦笑とともに、おひまガエル様、と呼んでいました。
よく晴れていて、天気はいいけど暑すぎて、止めどなく汗が流れ落ちていく、そんな日が何日か続いていたある日の事です。
町外れの沼地の、お気に入りだろう、蓮の葉の上に、目を閉じながら、気持ち良さそうに、ゲコゲコと調子外れな歌を歌っている、彼の姿を見かけました。
人の村の子供たちも、楽しそうに一緒になって歌っていますね。
彼らの歌が終わりに近づいたころポツリ、ポツリと、上から水滴が落ちてきて、上を見上げると。
空一面を、雨雲が、おおっていました。
雨は半日ふり続き、乾いた大地は潤いを取り戻していきます。
子供たちは、楽しそうに、はしゃぎながら、雨のなかを、走り回っていました。
またとある日の、昼下がり。
、お気に入りの岩の上では、長々とお昼寝を楽しむ彼姿がありました。
、そんなのんびりを愛する、変わり者の勇者様。
平和でのどかな村の中。
幸せそうに、笑い会う村人たち。
その、楽しげな笑顔を見ながら、お気に入りの岩の上で、おひまガエル様は、今日もたっぷりとお昼寝をしていました。