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地球の王のクイーンアソート  作者: アホイヨーソロー
スターダストダンスホール 前
38/190

(6)

 翌朝。

「現王様、もうお体はよろしいのですか?」

 筋肉痛は一日で癒えた。今朝もユエが外付け骨格を持ってきてくれたが、大一は痛みがないことを理由に大丈夫と断った。

「踊りの調子はいかがですか?」

「今日からそれなしで1からみんなに教えてもらおうと思って。恥ずかしがってないでできないことはできないって言わないと迷惑だろうし。」

「左様でございますか。それでよろしいのなら御心のままにされて構わないのですが。」

 ユエは少し歯にものが詰まったような言い方をする。

「…つまりどういうこと?」

「いえ、出過ぎたことを申してしまいました。」

 深く頭を下げられる。

「ちゃんとダンスを習ったわけでもないのに、いきなり踊れるのはおかしいでしょ?」

 この全身を補強する装置と学習機能の相性が良すぎるのが問題なのだ。この二つだけである程度の動きはできてしまう。

「知ってることと出来ることと解ることは違います、現王様。」

 謎掛けのような胡乱な言い回しをされる。ひっかかるけど付き合ってられない。彼女たちと向き合うためにも、自分が思う最善を尽くすのだ。ユエに反発する気持ちもあったのか、大一は彼女を顧みることなくさっさと寝室から出ていってしまった。

「まずマリー、昨日はごめん。自分の意思とは関係なしに動く体がちょっとずるいなって思ってたんだ。」

「あ、そうだったんですね。てっきり嫌われてしまったかと!」

 いつもの調子で笑顔になるマリー。

「それで今日はみんなに一からダンスを教わりたくて。骨格は外してきたし、正真正銘完全なド素人に…」

「まあ現王様、そんなにへりくだらなくても。」

 恥を捨てて教えを乞う『王』の姿がなかなかどうしてバカ真面目さを感じさせる。

「では私と続きを…」「ローズマリーあなたは昨日楽しんだのだから私に譲るべきですよ。」「踊りはワタクシにお任せください。」

 やいのやいのと今日も争う三人。大一はもう一つ考えがあった。

「三人から教えてもらいたいんだ。それならみんなと、誰とでも踊れるようになるし。」

 姫たちはキョトンと顔を見合わせる。

「ふふ、現王様は欲張りですね。」

 ルオンが最初に笑って答えた。今日のところはいいでしょう。とイブとマリーが続く。そうして四人で踊りの稽古が始まった。

 足の運び、手の動き、エスコートの仕方。ルオンとマリーとイブがそれぞれ得意なことを現王様に教えていく。こればっかりは仕方ないが、見聞きしたことはすぐにドライブの記憶領域に蓄積されていく。故に踊れるようになるまではそんなに時間がかからなかった。

「じゃあ今日はこんな感じで。」

 昨日の失敗の埋め合わせか、一通りマリーと踊ることにした大一。マリーも笑顔を崩さずに手を取る。言われた通りの足運び、手付き、エスコート。軽くこなしていく様は傍から見るとずいぶん余裕を感じられる。大一もそんなに苦しい表情を見せない。二人の時間はあっという間に過ぎた。

「明日はワタクシをご指名くださいませ。」

 ルオンとイブから解散する時にお願いされた。もちろん大一もそのつもりだった。

 次の日また次の日と公平に平等に彼女たちと一日一日を過ごしていく。

(これでいいのだ…。)

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