〈4〉
遺跡の数少ない展示物を一通り見た後。広大な敷地を渡る手段、元気が有り余るドゥニアは徒歩で進もうとするので流石に引き止めた。
「レールウェイがあるので、それで巡りましょう。」
ルオンが提案をする。
しかし大一には考えがあった。
「貸出用のモトビークルっていうのがあるらしいから、それ使ってみない?」
資料を穴が開くほど眺めていたからこそ見つけられた、免許不要の安全な乗り物。一台に二人まで乗れるらしい。
「へえ。」
準備されたビークルは3台。一人1台と言いたいところだったが、事前に伝えていなかったせいで、高貴な人が乗れるぐらいのきれいなものがこれしか残っていなかった。
「二人一組で乗ればよいですね。」
ひらりとスカートをなびかせてルオンは一台の後部シートに座る。両腕を伸ばして大一をよんだ。
「現王様運転していただけます「スルカ姫、これスカートで乗っちゃだめみたいですよ。」
マリーがルオンに告げる。少しニヤついているのが目についた。
「くぅ…そうでしたか。では着替えを取りに行かせなくては…。」
「ルオン殿、私のでよければ。」
簡素な作りのボトムスをルオンにシーラが差し出す。
「まあ、ありがとうございます…。これは常に用意されているのですか。」
「私も、ルオン殿と同じく準備は怠らない質ですので。」
「なるほど。」
ルオンは快くそれを受け取って更衣室に入っていった。
「それじゃあ組分けをしようか。」
「現王様がご指名されてはいかがですか?」
イブは顎を触る。
「えっそれだと、なんか…不公平っていうか…」
「まさか。」
全員の仲を取り持とうとしているときに自分の意見を挟むべきではない。そう大一は考えていた。しかし他の姫たちは大一が選ぶことを望んでいるようだ。
「えー…んー…」
着替えているルオンも聞き耳を立てているのか更衣室がやけに静かだ。
「まず…イブは運転とか得意だよね?」
「そうですが、どうしてそれを?」
「前、空行ったときとかさ。あと運転してみたいって思ってるのは…」
バチリとドゥニアと目が合う。それはそうだ、せっかくの機会、この乗り物を運転したくないわけがない。
「じゃあ、イブ、ドゥニアと俺が操縦席で。」
ちゃっかり運転席を奪う。
(で…シーラとマリーが一緒になることはない)
「せっかく、後ろから抱きしめていただけるチャンスだったのに…」
「ごめん、一緒が嫌なわけじゃ…」
「わかってますよ。」
それで。
「マリーはこの前一緒にダンスしたから…」
「ええー、そこでそれ出します?」
チクチクと攻撃をされて、思はずうめき声を上げてしまう。だか本人は笑顔なのでそれほど怒ってはいないようだ。
「イブとマリー、ドゥニアとルオンで、俺はシーラと…」
多分これが間違いない組み合わせだろう。シーラの他の人と仲良くするチャンスを減らしてしまうのは惜しいが。
「かしこまりました。」
皆、快諾してくれた。ひとまず胸をなでおろす。




